[『月刊住職』 2026年5月号より転載]
越境する教義問答 大谷由香編 法藏館 9900円
古代の日本仏教で何がテーマとされていたかを示す史料『東大寺六宗未決義』と『自他宗唐決疑問』の解題・論文・訳註・翻刻を収録。東アジアにおける仏教交流の様子が浮かび上がる
日本の古代寺院と造営氏族 小笠原好彦著 吉川弘文館 12100円
飛鳥・白鳳時代に大和とその周辺で創建された寺院の堂塔の配置や造営時期を出土瓦から検討。建立した氏族の性格や東国の寺院についても論じる。
間宗教テクスト論 阿部泰郎著 名古屋大学出版会 7920円
中世日本の宗教界における越境的なテキストを取り上げて考察。聖徳太子に関しては細字法華経、片岡山飢人説話、南無仏太子像などに注目。ほかに源信・慈円・西行・一遍らも論じる。
呪術と美術 加須屋誠著 中央公論美術出版 3520円
日本の仏画や絵巻などに描かれている人々の願いを読み解く。呪術と美術は双生児の姉妹であるとして、呪術における美的な形式と美術における超越的な力とを合わせて美術史家が解明。
「世界を動かす宗教」講義 池内恵編著 PHP研究所 1210円
現代の宗教が国際政治に与える影響を各分野の研究者が解説。トランプを支えるキリスト教福音派、イスラーム主義の今後、ダライ・ラマの転生ほか。
仏伝身読 藤田一照著 イースト・プレス 2750円
身読とは物語の深層に隠れている意味を掘り下げ深読みすること。ブッダの前半生である誕生・四門出遊・禅定と苦行・樹下の打坐・梵天勧請を曹洞宗僧侶がわが身に引きつけて読み込む。
日本人の死生観を問う 山本伸裕著 NHK出版 1870円
日本で生老病死がどう受けとめられてきたかを、やまと言葉の語源、たとえば命=息の道へと遡ることで分析。西洋由来ではない死生観を仏教の影響なども含めて倫理学研究者が考察する。
老いと死のことば 鈴木健一著 岩波書店 1100円
日本の古典文学から老と死に関わる古語を抜き出して解説。ぬけ初むる歯・かしらの雪・鳩の杖・ありのすさび・奥つ城・はちすのうてな他。新書判。
空海と鎌倉仏教 平岡聡著 KADOKAWA 1100円
鎌倉新仏教の祖師たちによる専修の教えには密教の影響があった。法然・親鸞・一遍・日蓮・栄西・道元らが空海の思想を継承していることを浄土宗僧侶の仏教学者が論証する。新書判。
精進料理の極意 梶浦逸外著 中央公論新社 1100円
「捨てるようなものでも必ずいかして使うのが鉄則」。妙心寺派管長を務めた臨済宗住職が精進料理の心得を説くエッセイ。1960年刊行書の文庫化。
運が貯金される 徳積みの仕組み 枡野俊明著 フォレスト出版 2035円
小さな善行が習慣化すれば想定以上の人生になる。損得を超えて社会に恩返しをしていく仕組みを曹洞宗住職が道元禅師の教えを交えながら伝授する。
袈裟と駅伝 黒木亮著 ベースボール・マガジン社 2640円
駅伝強豪の駒澤大学で陸上競技部主将として活躍した禅僧、大越正禅の半生を描く。著者も箱根駅伝出場選手。
教祖の履歴書 尾登雄平著 東洋経済新報社 1980円
ブッダ、イエス・キリスト、空海ら歴史上の宗教家7人を現代の起業家に喩えて紹介。職歴や自己PR、保有スキルなどをビジネス用語を駆使し解説。
哲学者たちの思想、戦わせてみました 三笠書房 957円
対立する主張を古今の思想家・宗教者の対戦として解説。ブッダ対パスカル「死ぬのが怖いをなくすことはできる?」他30戦。畠山創監修、文庫判。
増補改訂版 心の哲学入門 金杉武司著 勁草書房 2970円
心とはいったい何なのかを哲学的に探究。西洋思想に依拠しながらも専門用語を使わず解説するので、因果や認識などを普遍的な問題として学べる。
なぜ、人が神となるのか 古川順弘著 山川出版社 2090円
八幡神のルーツや怨霊となった菅原道真、神格化した豊臣秀吉や明治天皇など、人神の例を時代順に解説。記紀神話由来と異なる信仰の系譜を見直す。
オウム真理教の子どもたち 集英社インターナショナル 1980円
オウム真理教事件後に保護された信者の実子たちのその後を追う。昨年NHK「クローズアップ現代」で放送した内容に取材班が新事実を加え書籍化。
ガンダーラ仏教美術の謎 田辺理著 光文社 1650円
仏像発祥の地ガンダーラの寺院になぜ飲酒饗宴など反仏教的な彫刻が飾られたか。仏教が説く生天思想やギリシャ美術の影響に基づき考察。新書判。
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