[『月刊住職』 2025年12月号より転載]

神儒仏三教の諸相 宋琦著 臨川書店 11000円
江戸時代に神道・儒教・仏教の三教が融合させて説いた松宮観山、石田梅岩、白隠を中心に、その思想と背景を論じる。中国三教との比較研究も考察。



空の時代の『中論』について 清水高志著 IAAB EDIT 3960円
仏教の著作もあるフランス現代哲学研究者がナーガールジュナ『中論』を一節ずつ講釈し、聴講する新潟県真宗大谷派僧侶有志らとの質疑応答も収録。



インド不二一元論哲学・原点へのいざない 宮元啓一著 花伝社 2750円
8世紀に不二一元論を説いたヴェーダーンタ学派の根本教典、シャンカラ註『ブラフマ・スートラ』「冒頭4スートラ論」と関連論書の翻訳を収録。



シルクロードの宗教1 山内和也編 帝京大学出版会 3850円
「帝京大学シルクロード叢書」第5巻で「玄奘の旅程に関する覚え書き」をはじめ仏教、キリスト教、ゾロアスター教、マニ教に関する論文6本を収録。



仏典の植物事典 満久崇麿著 八坂書房 3300円
仏教の経典や儀式に登場する植物約200種を木材の研究者が解説。3大霊樹、蓮華、マンゴーなどに加え香木や護摩木まで、写真と共に図鑑風に紹介。



宗教の本質 釈徹宗・若松英輔著 講談社 1210円
浄土真宗住職の宗教学者とキリスト教信者の批評家が宗教をめぐり交わした往復書簡を収録。信じる・歩く・名づけるなどテーマを変え相手の文面に刺激されながら思索を深める。新書判。



女の信心 妻が出家した時代 勝浦令子著 法藏館 1540円
古代から中世の史料を用いて出家した女性の信仰を考察。婚姻生活から解放された尼僧の実態と社会的役割を読み解く。1995年刊行書の文庫化。



空海の密教思想 竹村牧男著 青土社 3080円
空海の著作からその思想の概要を簡潔に解説。『新・空海論』などの論考を著してきた仏教学者が、密教、曼荼羅、修道論などテーマごとに空海の真意を読み解き、他者救済の道に迫る。



覚鑁 吉田宏晢著 作品社 1980円
平安時代後期の真言宗僧侶である興教大師覚鑁の生涯と思想を、比較宗教研究者の真言宗智山派管長が概説。空海の教学を引き継ぎながら密厳浄土思想を打ち立てた革新者の歩みをたどる。



法然の手紙を読む 阿満利麿著 筑摩書房 1430円
浄土宗開祖の法然が信者に宛てた手紙の原文と訳文を紹介しその真意を仏教学者が読み解く。相手に応じて易しく説かれた文面から浄土教の他力の教えとは何かを味わう。文庫書き下ろし。



英訳付き精進料理 青江覚峰著 家の光協会 1980円
季節ごとの精進料理約30品のレシピを真宗住職が英語と日本語と出来上がりの写真で紹介。簡潔な説明から材料や調理法がいかにシンプルか分かる。



哲学は人生の道しるべ 小川仁志監修 昭文社 1760円
仕事や人間関係などの身近な悩みを哲学者の名言や思考で解決する。知恵を借りる約40人は西洋の思想家を中心に、ブッダや老子、和辻哲郎も登場。



シッダールタ ヘルマン・ヘッセ著 光文社 990円
バラモンの息子シッダールタは身分を捨てて出家、解脱者ブッダと出会うも弟子とはならず……。ドイツ文学翻訳家の酒寄進一による新訳、文庫判。



桃太郎はなぜ「桃」から生まれるのか 斎藤英喜著 ビイング・ネット・プレス 2200円
昔話や神話、呪術や陰陽師などの伝承を最新研究を踏まえひもとく25編。著者は2024年逝去の宗教学者。



「まじない」の民俗 神崎宣武著 吉川弘文館 2420円
地域や家庭で伝承されてきた「まじない」の全国各地の事例を考察し、その歴史をたどる。雷除け、病気封じ、村境の守り、雨乞い、海女の魔除けなど。



疫病退散たべもの記 吉野りり花著 論創社 2200円
薬草からアマビエ和菓子まで感染症や疾患に効くとされる食べ物を旅エッセイストが日本全国で採集し考察する。寺社ゆかりの病除けの食も多数収録。



高尾山の社会史 金川英雄著 青弓社 3300円
修験道の霊場でもある東京都の高尾山の歴史を解説。霊山として信仰されつつ精神病患者の治療の場となるなど時代の社会状況の中での変遷をたどる。



南インド神々と出会う旅 河本憲治著 書肆侃侃房 2200円
インド南部3州の見どころをカラー写真と共に現地法人勤務者が紹介するガイドブック。寺院参拝や聖地での沐浴、食事、夜行列車、宿泊、土産まで。





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