[『月刊住職』 2025年11月号より転載]
マンダラの密教儀礼 森雅秀著 筑摩書房 1650円
マンダラの役割を灌頂や投華得仏などの秘儀の実践面から考察する。仏教図像学の研究者がすでに失われたインド密教の儀礼を当時の文献から読み解いていく。1997年刊行書の文庫化。
超訳 真言 安平真琴著 彩図社 1540円
40の諸尊の真言をカタカナで載せ、その直訳と分かりやすい「超訳」を添える。主なご利益・種字・解説を併記し、光明真言や大悲心陀羅尼など勤行でよく使われる真言も簡潔に紹介する。
運慶講義 山本勉著 新潮社 2750円
平安末から鎌倉時代に大寺院の造像を担った仏師運慶の作品を時系列に詳述。先行研究を整理し最新調査を踏まえた上で様式の特徴を論じる。運慶一門の系譜や時代背景も丁寧に解説する。
日本の仏教史年表 大角修著 朝日新聞出版 1870円
日本仏教1500年の歴史を年表と共に概説する。事件・信仰・文化・人物のテーマ別に、仏教公伝に始まり現代の宗教絡みの話題まで。山折哲雄監修。
空也と源信 岡野浩二著 山川出版社 880円
平安時代に市聖と呼ばれた空也と一世代後に『往生要集』を著した源信の2人の事績を検討。法然や親鸞らの浄土信仰の発展につながる教えにとどまらない仏教史上の存在意義を見直す。
日本の仏教を読み直す 吉村均著 北樹出版 2200円
日本倫理思想史研究者で仏教をチベットの諸師から学んだ著者が、インド・チベットの伝統を踏まえてと前置きし空海・道元・親鸞の著作を再考する。
日本浄土思想の歴史 円仁・源信・法然・親鸞 四夷法顕著 法藏館 2200円
日本の浄土思想の流れを4人の祖師に注目して解説。天台宗、浄土宗、浄土真宗と展開する念仏の教えを分かりやすく提示。文化教室の講話を再構成。
心を軽くする練習 藤原東演著 あさ出版 1485円
「うまくいかない時間はムダではない」「無理していい人を演じなくていい」など33の励ましの言葉で楽に生きるヒントを説く。臨済宗住職が禅の教えをやさしくかみくだいて助言する。
気にしないコツ 枡野俊明著 総合法令出版 1650円
感情に振り回されず悩みを少しずつ軽くしていく方法を曹洞宗住職が紹介。放下着や脚下照顧といった仏教語を掲げて解説しながら禅の智慧を伝授する。
いま生きなおしたいひとへ 学校や各種施設で数十万人が感動! 篠原鋭一著 興山舎 1980円
本誌好評連載が単行本になりました。小・中・高校の課外授業、少年院での講話、24時間開放する自坊に訪ねてきた自死念慮者や遺族との対話などを明らかにし、いつからだって人生を生きなおせると人々に語りつづける感動の実話30編。
立山観光ヒストリア 高野靖彦著 北日本新聞社 1980円
平安時代から修験の霊山で知られ江戸期に禅定登拝で信仰された北アルプス立山。近年のアルペンルート開通に至る歴史を地元の博物館長が解説する。
チベットの迷宮ポタラ宮殿 永橋和雄写真・文 田中公明解説 三省堂書店 3080円
歴代ダライ・ラマが居住したポタラ宮殿の写真集。1980~90年代に撮影の写真に約60頁分の解説が付く。
七福神、大集合! 鈴木健一編 三弥井書店 3300円
七福神の各々の成立や信仰を紹介。日本文学を専門とする研究者らが江戸文化の中の黄表紙や浮世絵、歌舞伎や漢詩の中でどう描かれているかを解説。
わくわくエンディングノート 端野貴康著 合同フォレスト 1760円
明日からの暮らしが豊かになるように楽しく作るのが終活ノート。心託コンシェルジュの肩書をもつ著者が亡父の例などを参考に書き方を伝授する。
狐狗狸さんの秘密 中岡俊哉著 二見書房 1650円
江戸時代中期に生まれ何度もブームを呼んだ占いコックリさんを解説。地域で違うやり方や迷信のメカニズムも考察する。1984年刊行書の再刊。
霊感のある人が見ている世界 片山鶴子著 KADOKAWA 1760円
霊能者でカウンセラーの著者が予兆や交霊といった体験を解説。その信憑性はさておき、霊感が強いと自称する人の心理状況が多少ながら見えてくる。
47都道府県・美術の偉人百科 森岡浩著 丸善出版 4840円
古代中世から近現代まで美術家約1000人の生涯と代表作を都道府県別に紹介する。仏教者は絵画の雪舟・白隠・仙厓、彫刻の運慶・円空・西村公朝など。
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