[『月刊住職』 2025年8月号より転載]

盆行事と葬墓習俗の伝承と変遷 関沢まゆみ著 吉川弘文館 9900円
盆行事の地域差や埋葬墓地の歴史、葬送儀礼の変容などを考察。人々の霊魂観の変化を追うことで、柳田國男と折口信夫が創生した民俗学と比較研究法を検討し、その有効性を証明する。



インド哲学・知覚論へのいざない 宮元啓一著 花伝社 2750円
初期インド論理学派の6つの知覚論をサンスクリット語原典から和訳して註解。ミーマーンサー学派バーッタ派とヴェーダーンタ学派の論書も紹介。



やさしい密教 吉田宏晢著 作品社 2640円
仏教学者の真言宗智山派住職が真言密教と空海の教えを平易に解説する。テーマは真言、即身成仏、仏教の幸福感ほか。川崎大師寺報の連載の書籍化。



無駄骨を折る 横田南嶺著 草思社 1870円
臨済宗円覚寺派管長がほぼ毎日書き綴ってホームページで発表している文章の、2019年7月から翌年1月までの約90編を収録。「今日の言葉」や「今日の出来事」「僧堂提唱」など。



〈わたし〉を捨てる。 平井正修著 佼成出版社 1760円
幕末から明治に剣・禅・書の達人といわれた山岡鉄舟がたどりついた「無敵」とは、どんな境地か。敵を意識する「私」をどう調えるかがカギになるという。著者は臨済宗国泰寺派住職。



しんどさの癒やし方 泰丘良玄著 アルソス 1870円
現代人の悩みに臨済宗妙心寺派住職が仏の教えや自身の経験から解決のヒントを与える。自分、愛、人間関係、お金、仕事の5テーマで全28項目。



「し過ぎない」練習 枡野俊明著 クロスメディア・パブリッシング 1628円
日々の生活の中で必要以上にアクセルを踏んでいないか。曹洞宗住職が仏教や禅の教えに基づき、ついやり過ぎてしまわない、ほどよい生き方を伝授。



統一教会・現役二世信者たちの声 瓜生崇著 法藏館 1980円
旧統一教会信者を親に持つ20代から40代までの信者9人にインタビュー。親鸞会脱会者の真宗大谷派住職が聞き手となり、親世代とは異なり戸惑いもある二世の本音を巧みに引き出す。



世界と日本の宗教 森本聡著 勁草書房 2750円
仏教、キリスト教、イスラーム、儒教、神道、新宗教の基礎を解説する。宗教初心者を対象とした大学講義で宗教リテラシーを身につけるために必要な事柄を研究者がまとめた宗教入門書。



老乞食僧の命を繋いで百想 笹倉明著 論創社 2420円
タイで出家した直木賞作家による百編の随想録。現地の暮らしや行事、テーラワーダ仏教の解説、家族や友人との思い出話などを気の向くままに綴る。



時間・自己・幻想 マルクス・ガブリエル著 PHP研究所 1320円
副題は「東洋哲学と新実在論の出会い」で、ドイツの哲学者が仏教や老荘思想の価値を比較検討。巻末に浄土真宗僧侶の松本紹圭師との対談を収録。



本当にすごい縁切り寺 ブックマン社 2640円
縁切りにご利益があるとされる27寺社を紹介し住職・宮司のメッセージを伝える。痴情のもつれのみならず人生の悪い流れを断ち切る方法を紹介。



書籍の思想史 若尾政希編 平凡社 3960円
本の文化史シリーズの第5巻。思想史をテーマとして、「天海の思想形成と『東照社縁起』の成立」、「異安心事件と仏書出版」など論考計8本を収録。



戦前日本の「聖地」ツーリズム 平山昇著 NHK出版 1980円
明治以降に伊勢・桃山・橿原などが聖地として位置付けられた経緯を鉄道会社のキャンペーンなどから読み解く。日蓮ゆかりの地を巡るブームも検証。



天変地異のオープンサイエンス 矢守克也編著 新曜社 2970円
市民参画型科学による防災・減災の実践活動例を紹介する。稲場圭信「共生構築の倫理と技法」加納靖之「みんなで翻刻」など研究者11人が執筆。



横尾忠則 2017-2025 書評集 光文社 1144円
全国紙の図書案内欄に執筆した138冊の書評を集成。宗教書多数あり。美術家らしく白黒反転させたりといった見た目の遊びも再現する。新書判。



お参りしたくなる! 仏さまと仏像の教科書 渋谷申博著 ナツメ社 1870円
仏像の見方をイラストとともに解説する。仏の種類とランク、特徴や持ち物、どういう信仰の対象かなどを紹介。



三千世界 奈良国立博物館 名宝百三十撰 求龍堂 9680円
奈良国立博物館開館130年を記念し同館所蔵品から仏像や経典など仏教美術を中心に130件を紹介。掲載写真は写真家六田知弘による撮り下ろし。





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