[『月刊住職』 2025年6月号より転載]

近世・近代寺院蔵書の社会史 引野亨輔著 塙書房 14300円
江戸時代に刊行された仏教書から商業出版の成立事情を探る。地域寺院の蔵書を調査して書物から得られる知識の変容を考察、さらに明治以降の活版印刷がもたらした読書文化も論じる。



疫病と人文学 藤原辰史・香西豊子編 岩波書店 3630円
コロナ禍の傷痕を分野の違う研究者ら13人が論じる。宗教学者のリュウシュ・マルクスは「パンデミック下における仏教諸派の変貌」と題して伝統仏教11宗派が発表した声明を分析。



インド論理学へのいざない 宮元啓一著 花伝社 2750円
17世紀頃成立の論理学綱要書『タルカサングラハ』と13世紀頃の論理学の基礎用語集『タルカバーシャー』をサンスクリット原典から現代語訳。



仏教は、いかにして多様化したか 佐々木閑著 NHK出版 1210円
仏祖の説いた教えが部派仏教へ分岐してもなぜ共存できたのか。その後に大乗仏教が生まれ、日本の各宗派に変容する教団組織の歴史をたどる。「世界史のリテラシー」シリーズの仏教編。



死して生きる哲学 西田哲学における他者・身体・超越 喜多源典著 晃洋書房 2750円
西田幾多郎の宗教的思索に関する考察。禅仏教の立場からの伝統的理解を見直し、人間に先立って働く絶対者の自己否定の不可逆的関係性を明かす。



近代仏教儀礼論序説 武井謙悟著 法藏館 6050円
近代仏教の研究で軽視されてきた儀礼をテーマとする論考。当時の新聞・雑誌メディアの記事を用いて葬儀・施餓鬼・開帳・授戒会・禅会・遠忌・仏前結婚式などの変遷の過程をたどる。



清沢満之の宗教哲学 山本伸裕著 筑摩書房 1980円
明治の真宗大谷派僧で思想家の清沢満之が遺した諸論を見直し全体像を呈示。前期・後期の間に思想上の断絶があるとする従来の定説の解消を試みる。



禅的生活365日 玄侑宗久著 誠文堂新光社 1980円
1年間のすべての日に1文字ずつ、一、夢、餅、圓、玄……と割り当てて約200字で解説する。芥川賞作家の臨済宗住職がその日の漢字を気候や行事、仏教用語など様々な角度から味わう。



禅の真髄 大森曹玄著 鳥影社 2750円
剣・禅・書を3本柱とした臨済宗師家の仏教解説書。著者が指導した鉄舟禅会が同師の33回忌を記念し復刊。「坐るとは」「剣禅一如」など全8章。



日本人の死生観Ⅰ・Ⅱ 鎌田東二著 作品社 各2970円
神道ソングライターを名乗る宗教学者によるいのちをめぐる論集。第1巻「霊性の思想史」、第2巻「霊性の個人史」。自身のがん闘病の経過も綴る。



有名人の死に心がゆらいだら 髙橋あすみ・大井瞳著 大修館書店 2310円
有名人の訃報が報じられた時のファン心理や社会的影響を臨床心理士が分析。特に自殺だった場合のケアを助言。



増補改訂版 石塔調べのコツとツボ 藤澤典彦・狭川真一編 高志書院 2750円
宝塔、五輪塔、宝篋印塔などの見方を写真と共に解説し、実測・拓本・撮影の実技を説明。3次元調査等を増補。



初期道祖神塔事典 福田敏一著 雄山閣 6600円
17世紀にまで遡る石製の道祖神塔を悉皆調査し寸法や銘文などのデータと写真を掲載。関東・中部地方を中心に石塔出現の様相についても検討する。



新版 全国御朱印大事典 宝島社 2420円
全国の社寺の御朱印約1100点をエリア別に写真で紹介し、社寺の歴史や所在地情報を掲載。御朱印の頂き方やマナーも伝授。日本の神社仏閣研究会著。



芸大の先生に教わる仏像の歴史 礪波恵昭著 淡交社 2090円
芸術大学の人気美術史講義を再現。京都と奈良の主要な仏像を時代順に解説。時代背景に応じた様式や造像方法などを学ぶ。イラストは真船きょうこ。



超図解 仏像大事典 村松哲文監修 朝日新聞出版 1870円
「疑問がすべて解ける」を副題に、仏像に関して制作年代や目的、素材などに答える解説を付けたビジュアル図鑑。写真は帆足てるたか、仏画は長谷法寿。



平安美仏参拝旅 完全ガイド 東京ニュース通信社 1760円
関西周辺の41寺社に現存する平安時代造立の仏像をカラー写真で紹介。弘仁貞観時代と藤原時代に平安貴族らが発願した貴重な仏像と所蔵寺院案内。



人類5000年の名建築をめぐる旅 中川武監修・二階さちえ文 エクスナレッジ 1980円
紀元前から現代まで世界の建築物163件の写真を掲載し技術的特徴を解説。寺院、教会、モスクなど多数。





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