[『月刊住職』 2025年1月号より転載]
日本古代の穢れ観と外来信仰 勝浦令子著 塙書房 9900円
古代の諸宗教の信仰や民間習俗にみられる穢れの観念を日本と東アジアとで比較し、とりわけ女性の出産に関わる穢れ観を中心にその実態を考察する。
高楠順次郎と近代日本 武蔵野大学高楠順次郎研究会編 吉川弘文館 8800円
女子教育拡充や大正新脩大蔵経編纂で知られる高楠順次郎の業績を研究者15人が多角的に論述し、多彩な事業に通底する思想や信仰を明らかにする。
近代チベット政治外交史 小林亮介著 名古屋大学出版会 7920円
19世紀のダライ・ラマ政権が勢力をどう維持したか。独立・自治の意味やチベット問題の起源を解き明かす。
戦争宗教学序説 石川明人著 KADOKAWA 1980円
「信仰と平和のジレンマ」を副題に、宗教的な軍事や軍事的な宗教を観察。従軍する宗教者や軍隊における精神主義などの事例を糸口に、平和への取り組みとその限界を宗教学者が論じる。
宗教・カルト・法 島薗進他著 高文研 2200円
NHKテレビ「こころの時代」の3回にわたる宗教者と学者らの討論を収録し、出演者13人のコラムを併載。テーマは宗教と家庭・性・子ども、信教の自由と法規制、宗教リテラシー。
法眼 唐代禅宗の変容と終焉 土屋太祐著 臨川書店 4180円
禅宗五家に数えられる法眼宗の開祖法眼文益の生涯と思想を原典資料に基づき解説。同宗が登場する前後の時代背景を考察し、唐代禅宗の終焉から宋代禅宗の胎動へと至る過程をたどる。
日本往生極楽記・続本朝往生伝 岩波書店 1001円
平安時代を代表する往生伝の慶滋保胤『日本往生極楽記』と大江匡房『続本朝往生伝』の2編に注解を付す。大曾根章介と小峯和明が校注。文庫判。
空海のことば365日 保坂隆著 誠文堂新光社 1980円
空海の著作から現代人に響く365句を抜き出して解説し、これらを暮らしの指針として日めくり風に1年の1日ごとに割り振る。著者は高野山大学大学院の修士号を持つ精神科医。
信心と利益 救いのよろこび 内藤知康著 法藏館 2200円
真宗学者が二種深信など教義の根幹を平易に語る。龍谷大学の人気授業を文字に起こし書籍化した「基礎から学ぶ浄土真宗」シリーズ全3巻の完結編。
図説 ここが知りたかった! 歎異抄 加藤智見著 青春出版社 1925円
親鸞が門弟に語った教えのキーワードや思想背景を真宗大谷派住職が図解で説明。『歎異抄』原文と現代語訳も掲載。2011年刊行書の再編集版。
またまた おうちで禅 花岡博芳著 春陽堂書店 2200円
臨済宗妙心寺派住職が読書して拾い集めた40の名言を禅の教えに結び付けて語るコラム集の第2弾。高僧のエピソードから著者自身の体験談まで豊富な事例を紹介しながら軽やかに解説。
禅宗語録入門読本 小川隆著 禅文化研究所 2970円
歴代の禅僧たちの故事や問答を読みながら漢文の語義と語法の基礎を学ぶ入門書。達磨、慧可、慧能、南岳、馬祖、青原、石頭らの肉声が蘇ってくる。
新版 禅僧が教える心がラクになる生き方 南直哉著 アスコム 990円
仏教という道具を使い生き方を見直すヒント集。人生に意味はないなど曹洞宗住職が一見辛辣な助言で思考の転換を促す。2017年刊行書の文庫化。
ブッダの海にて三千日 笹倉明著 大法輪閣 2750円
直木賞作家が67歳で出家しタイ僧院で三千日余り修行して何を学んだか。前半は托鉢と戒律の日々を記録し、後半はヴィパッサナー瞑想を解説する。
アルジャイ石窟 モンゴル帝国期 草原の道の仏教寺院 楊海英著 筑摩書房 2090円
13世紀に内モンゴル草原にあったアルジャイ石窟寺院と当時の仏教文化を歴史人類学と文献学の両面から解説。
悟りと破戒と救済と 日本近代文学と仏教 綾目広治著 アーツアンドクラフツ 3520円
仏教の影響を受けた近現代の文学者10人の表現を分析して批評。岡本かの子、水上勉、五木寛之、玄侑宗久ほか。
日本狛犬大全 荒勝俊著 さくら舎 2640円
日本全国の寺社に安置された特徴ある狛犬を地域別に写真付きで紹介。狛犬の歴史や全国の石工なども解説、著者は農学博士で東京狛犬散歩の会主宰。
創価学会秘録 高橋篤史著 宝島社 2750円
第3代会長池田大作を中心とする創価学会の裏面史。フリージャーナリストが入手した教団内部の年表と日蓮正宗僧侶の備忘録で半世紀の動向を綴る。
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