[『月刊住職』 2024年3月号より転載]

日本中世の地方社会と仏教寺院 黄霄龍著 吉川弘文館 9350円
北陸の仏教寺院から中世の地方社会の特質を論じる。白山信仰など多様な信仰と宗派が密集する越前・若狭・加賀地域で、中央権力からの影響があったのかを事例をあげながら検討する。



法隆寺と聖徳太子 東野治之著 岩波書店 2970円
古代史学者の近年の論文を収録。第1部で法隆寺が形成された過程や歴史的価値を明らかにし、第2部では聖徳太子の人物像が流布した状況を探る。



行基と道鏡 根本誠二著 高志書院 3300円
善僧の典型である行基と悪僧の代表格とされる道鏡、同じ奈良時代の高僧がなぜ正反対の扱いを受けるのかを、各々の生涯を比較検討しつつ解明する。



禅と念仏 平岡聡著 KADOKAWA 1012円
日本仏教の対照的な行である禅と念仏を、出家と在家、悟りと救いなど8つの視点から比較。その相違点と共通点を挙げて、社会や美術、芸能、政治などに与えた影響をたどる。新書判。



熊谷直実 浄土にも剛の者とや沙汰すらん 佐伯真一著 ミネルヴァ書房 3520円
源平合戦時代の下級武士から法然のもとで僧侶となった熊谷直実の評伝。出家の動機や逆馬の伝承などを文学や芸能も含め幅広い史料により検証する。



唯信鈔文意 親鸞著 阿満利麿解説 筑摩書房 1100円
法然門下で親鸞の先輩にあたる聖覚が著した『唯信鈔』に親鸞が注釈した浄土教入門書『唯信鈔文意』。この著作を真宗寺院出身の宗教学者が丁寧に解説する。原文付き。文庫書き下ろし。



やさしい仏教の話 桜井俊彦著 法藏館 1100円
「心に響く3分間法話」と題し真宗系単立寺院住職が身近な話題で仏法を説く。「カメラは仏さま?」「やさしいウソ」「コロナ尊者」ほか全38話。



その禅語、決まった時だけ掛けていませんか 岩﨑宗瑞著 淡交社 1980円
茶掛でよく見る禅語50句の示す境地や意味を臨済宗大徳寺派住職が解説。季節を重視する傾向が強い一行書をもっと自由な発想で掛けようと提案する。



謎とき世界の宗教・神話 古市憲寿著 講談社 1100円
社会学者が聞き手となり宗教と神話の専門家12人が講義する。講師とテーマは碧海寿広「禅と日本文化」、吉村誠「西遊記」、岡本亮輔「聖と俗」、堀田和義「ジャイナ教」ほか。新書判。



明解統一教会問題 宗教に無関心の人も宗教者でも知らなかった事実 櫻井義秀著 興山舎 2310円
本誌好評連載が単行本になりました。統一教会の研究を始めて35年になる筆者が、統一教会の全容を簡潔に、平明に解説。仏教界はもちろん日本人すべてにかかわる問題なのがよく分かる注目の書。



次世代創造に挑む宗教青年 川又俊則・郭育仁編 ナカニシヤ出版 2970円
教青年会がどのように地域振興に関わり、次世代を育てているか。8人の研究者が事例調査に基づき報告する。



一冊でつかむ世界の神話 東ゆみこ監修 河出書房新社 1793円
ビジュアル版入門シリーズの神話編。ギリシア・北欧・ケルト・オリエント・エジプト・インドの各神話の名場面を図解し、豊饒な物語の構成を紹介。



全国 名所図会めぐり 渋谷申博著 G.B. 1980円
江戸時代の「名所図会」から寺社など信仰の風景を抜き出し、現在の航空写真と比べて変遷を解説。江戸・京・大和・河内・摂津・伊勢の約50カ所。



京都たのしい社寺カタログ 片山直子著 朝日新聞出版 1430円
京都にある108の社寺を世界遺産・仏像・庭・四季・ご利益など観光すべきポイント別に紹介。カラー写真に境内地図と基礎データ、授与品の案内も。



仏像彫刻 表情・頭部・手・足 細部を美しく仕上げる 関侊雲・紺野侊慶監修 メイツ出版 3520円
30センチほどの木彫仏像を彫刻刀で作成する手順をカラー写真で解説する。QRコードから動画も視聴できる。



寺社の龍彫刻 若林純著 日貿出版社 5500円
写真家による「全国版・宮彫コレクション」シリーズ最新刊。全国260の寺社で撮影した様々な龍彫刻を柱・須弥壇・欄間など意匠別に紹介する。



怖い仏像 地人館編 Gakken 1980円
日本各地の“怖い”仏像の秘密を写真付きで解説。形相が恐ろしい不動明王や閻魔大王などから、背景の物語が怖い鬼子母神や荼吉尼天、即身仏まで。





Copyright (C) 2006-2024 kohzansha. All Rights Reserved.