[『月刊住職』 2024年2月号より転載]

仏教興亡の秘密 保坂俊司著 ぷねうま舎 2860円
インドの一地域宗教であった仏教が世界宗教になった理由を梵天勧請の教えに求め、日本の神仏習合などとも比較しながら検討。それが衰退の原因にもなったことを諸事例から裏付ける。



アジア仏教美術論集 東アジアⅦ 中央公論美術出版 6820円
仏教美術の様相を地域と時代別に考察するシリーズ最終の第12巻。「アジアの中の日本」をテーマに20人が寄稿。宮治昭・肥田路美・板倉聖哲編。



中国初期禅思想の形成 古勝亮著 法藏館 5500円
六世紀から九世紀にかけて外来の宗教として中国に伝わってきた禅をどのように中国人が受け入れたかを探究。本論考は博士論文として大学院へ提出後に著者が病没し、関係者により刊行。



必携お経読本 九仏庵方丈著 彩図社 1540円
法事でよく聞く経文を大きな活字で掲載し訳文を付す。阿弥陀経・般若心経の全文と、法華経・理趣経・金剛般若経の抄録。著者は在家の元会社役員。



基本史料でよむ 日本仏教全史 大角修著 KADOKAWA 2750円
六世紀の公伝から近年のカルト問題まで日本仏教の歴史を年代順に解説。根拠となる聖教・文学作品・歴史書などを長めに引用し現代語訳も併記する。



10人のお坊さんにきいてみた 講談社編 講談社 1760円
生きる意味や承認欲求など5つの悩みに僧侶が回答する。NHK番組『10人のお坊さん』の書籍化。回答者は篠原鋭一、露の団姫、長谷雄蓮華ら10人。



人間ざかりは百五歳 大西良慶・平櫛田中著 佼成出版社 1980円
前半は京都清水寺貫主の大西良慶が仏縁や智慧を説き、後半は彫刻家の平櫛田中が家族や仕事を語る。共に百歳を超えての語録を45年ぶりに復刊。



本願寺と鉄道の近代史 中西直樹著 三人社 5280円
近代日本で鉄道事業の発達に仏教寺院とりわけ東西本願寺が果たした役割を当時の史料で解説。参詣者の輸送や事故死者追悼法要の執行、鉄道従業員に対する布教活動などを明らかにする。



一億三千万人のための『歎異抄』 高橋源一郎著 朝日新聞出版 891円
親鸞の語録を小説家が現代語訳。誰にでも伝わる言葉で忠実に翻訳した上で、「親鸞一人」をめぐり思いを述懐。



善鸞 三田誠広 作品社 2860円
親鸞の嫡嗣でありながら義絶された善鸞を主人公とする芥川賞作家の小説。著者の先行作『親鸞』を息子の視点に切り替え、当時の門弟たちや他宗の祖師方との対話を生きいきと描き出す。



臨済録訳注 衣川賢次著 大法輪閣 7700円
臨済義玄の語録の原漢文と書き下し文、著者による現代語訳を掲載し、詳細な語釈を付ける。2019年刊行の「新国訳大蔵経」シリーズ禅宗部『六祖壇経・臨済録』に補訂して単行本化。



こころが調うゆる禅語 田中ひろみ著 幻冬舎 1430円
無功徳、冷暖自知、本来無一物など50の禅語を仏像好きイラストレーターが自身の体験を元に解説。そのこころをイラストや4コマ漫画でも伝える



心をたがやす 横田南嶺・前田万葉著 かまくら春秋社 1650円
臨済宗円覚寺派管長が仏典の一節を、カトリック教会枢機卿が聖書の言葉を、合わせて50句とりあげて分かりやすく解説する。両氏による対談も掲載。



日本人なら知っておきたい日本の伝統文化 吉村均著 筑摩書房 946円
日本人が明治以降に見失った信仰や文化を再確認。仏教学者の著書が学生に伝えてきた話題を集約する。新書判。



発見! ほとけさまのかたち 河出書房新社 1815円
仏像を如来・菩薩などのグループに分けてその特徴を解説。2022年に開催した子供向け展覧会を写真とイラストで再現する。奈良国立博物館監修。



古寺を訪ねて 菅原信夫著 幻冬舎 1650円
奈良・京都・鎌倉などの有名寺院にある仏像を参拝した記録を歴史と共に綴る。境内写真と自筆のイラストも掲載。元教員による自費出版の見聞記。



マンガ版教養として学んでおきたい5大宗教 マイナビ出版 1100円
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教を概説した4年前の刊行書をコミック化。原著の中村圭志と作画の徳永サトシの共著。新書判。



宗教とデザイン 松田行正著 左右社 3850円
グラフィックデザイナーが宗教の視覚表現をテーマに、三大宗教の世界観・布教・祈りを考察する。仏教では須弥山、印相、建築、曼荼羅などに着目。





Copyright (C) 2006-2024 kohzansha. All Rights Reserved.