[『月刊住職』 2023年11月号より転載]

近世思想と仏教 末木文美士著 法藏館 4950円
江戸時代の仏教について旧来の堕落論を克服した上でその特質を論じる。テーマは諸思想との交流、華厳宗僧侶鳳潭、女性、仏伝、近代への展開など。



東アジア祭祀芸能比較論 田仲一成著  知泉書館 6600円
中国・朝鮮・日本の祭祀芸能を文献と現地調査に基づいて分析。祈福・攘災・鎮魂に分けられる祭祀が東アジアでどう発生し展開したかを俯瞰する。



弥勒 宮田登著 講談社 1221円
民俗学者による日本の弥勒信仰の考察。農耕文化の中で未来仏に平和を祈る一方、鹿島信仰や富士講、近代の大本教といった独自の展開を見つめ、民衆の間で広がった日本的特徴を示す。文庫判。



成尋 水口幹記著 吉川弘文館 2420円
平安中期の天台宗寺門派僧侶の評伝。60歳で宋に渡り、天台山や五臺山の巡礼を果たして現地で逝去。宋で過ごした日々の記録『参天台五臺山記』を読み解き、その生涯の足跡を紹介する。



浄土思想 釈尊から法然、現代へ 岩田文昭著 中央公論新社 924円
浄土教の歴史を物語という観点から整理する。法蔵説話や王舎城の悲劇、法然・親鸞ら開祖の伝記、近代の新たな物語と漫画『ブッダ』まで。新書判。



書き込み式 ボールペン「歎異抄」練習帖 河出書房新社 1320円
「歎異抄」から親鸞の28の名言を1日1文書き写して意味を味わう。解説に加え「おだやかに過ごすヒント」の法話も。釈徹宗監修、岡田崇花の書。



仏天を仰いで 蜂屋賢喜代著 北樹出版 2640円
大阪を中心に活躍した清沢満之門下の真宗大谷派僧侶が百年前に発行した文集の復刊。愛、罪、救いなど誰にも共通する日常の悩みに寄り添う全30編。同派北米開教使の名倉幹が校訂。



悩みを手放す21の方法 枡野俊明著 主婦の友社 1650円
日常に禅の智慧を取り入れた生活を曹洞宗住職が提案。息を吐く、お茶をいれる、挨拶するなど21の基本動作を写真も交えて紹介し、知識よりも形を整えた行動の持続をと呼びかける。



日本宗教のクセ 内田樹・釈徹宗著 ミシマ社 2090円
フランス思想が専門で武道家でもある内田樹と宗教学者で本願寺派住職の釈徹宗の対談集。神仏習合など日本の宗教の特徴をテーマとしながら、話題はお墓や政治など融通無碍に展開する。



これだけは知っておきたい 統一教会問題 島薗進編 東洋経済新報社 1980円
旧統一教会をめぐる諸問題を歴史的・国際的文脈から捉えた論考。組織の源流から日韓関係、被害の実態、宗教二世までを、宗教学者の川瀬貴也や中西尋子、弁護士山口広ら八人が考察。



人口からみた宗教の世界史 宮田律著 PHP研究所 1265円
世界の宗教人口の推移やその背景となった要因を探る。ユダヤ教、キリスト教、イスラムを中心に、とくにムスリムの今後の増加を予想する。新書判。



14歳から知る日本人の宗教と文化 太田出版 1650円
日本の宗教史を縄文時代から仏教伝来、鎌倉仏教の祖師、近代における変貌まで図解で説明する。山折哲雄監修、インフォビジュアル研究所・大角修著。



〈聖なるもの〉を撮る 港千尋・平藤喜久子編著 山川出版社 2750円
聖地や聖者を撮影してきた宗教学者や写真家ら14人が寄稿。写真メディアが果たす役割や被写体と向き合う思いを綴る。失敗写真を反省する対談も。



災禍の神話学 沖田瑞穂著 河出書房新社 2420円
地震、戦争、疫病などを題材とした聖なる物語を紹介。インドの「マハーバーラタ」ほか東西の神話を引き、物語と宗教の関係を浮かび上がらせる。



神さまと神はどう違うのか? 上枝美典著 筑摩書房 946円
信仰対象の神さまと哲学上の神の違いは何か。西洋有神論の立場で悪をテーマに神の存在を考え、「私」の問題へと展開する宗教哲学入門。新書判。



怪仏異神ミステリー 本田不二雄著 三笠書房 869円
全国各地の異形の神仏像43体を写真と共に紹介し、背景にある思想や伝承を解説。既刊書『へんな仏像』に本誌連載などを加えて再編集し文庫化。



仏画 パーツ別の表現&着彩のコツ メイツ出版 2970円
仏を毛筆で描くための道具選びから線描きと着彩を30ステップで学ぶ。実践編では不動明王ほか三尊を描く。 下絵付き。仏画師の川端貴侊が監修。



ご真骨はどう伝わった? 日泰寺の歩み 覚王山日泰寺 550円
釈尊の遺骨が分骨され愛知県日泰寺に保存されるまでの歴史を、24枚の切り絵で描いたカラー絵本。取材と制作は画家でルポライターの高橋繁行。





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