[『月刊住職』 2023年7月号より転載]

なぜ仏教は多様化するのか 平岡聡著 大法輪閣 2530円
インドでブッダが説いた教えが日本に至ってなぜ宗祖信仰へと変容したのか。進化論の「生物の個体は遺伝子の乗り物にすぎない」を援用し、大乗・中国・日本仏教への発展を検証する。



悟りと葬式 大竹晋著 筑摩書房 1870円
布施、葬式、戒名、慰霊、追善、起塔の起源を、印・中・日ほか地域ごとに経典や文献を遡って検証。悟りを求める仏教が葬式仏教となっていく過程を確認する。鍵は聖者崇拝と土着習俗。



お寺の掲示板入門 江田智昭著 本願寺出版社 1100円
魅力ある掲示板の作り方を浄土真宗本願寺派寺院の事例を紹介しつつ解説。住職方に向けてSNSの活用や著作権の問題などにもふれる。著者は「輝け! お寺の掲示板大賞」の企画立案者。



空海のことば 保坂隆著 インプレス 980円
空海の名言を「心が軽くなる言葉」「前向きに生きる言葉」などに分類して意訳し、現代人の心の杖として紹介。著者は密教を学んだ精神科医。新書判。



新時代の浄土真宗 浄土真宗本願寺派総合研究所ほか編 PHP研究所 1320円
浄土真宗本願寺派の基本姿勢を確認した上で、同派の平和や環境など社会課題への取り組みを解説。有識者が真宗への期待や要望を論じる鼎談を付す。



歎異抄 心に刺さるメッセージ 田代俊孝著 法藏館 1100円
『歎異抄』第十条までの師訓篇を真宗大谷派住職が現代語訳。親鸞の厳格な立場を確認し「何度読んでも新鮮な感動がある」という同書の魅力を語る。



覚悟はよいか 朝比奈宗源著 ごま書房新社 1980円
元円覚寺派管長が自身の生い立ちや信心を包み隠さず語る。1978年刊行書の復刻版。横田南嶺現管長が出家前に本書を貪り読んだと前文を寄せる。



『永平広録』「上堂語・小参」全訳注(上・下) 木村清孝著 佼成出版社 各4180円
道元の『正法眼蔵』と並ぶ『永平広録』から法堂での「上堂語」と、ややくだけた「小参」との原漢文を曹洞宗住職が現代語訳し注釈する。上下二巻。



道元と生きる 正法眼蔵随聞記 角田泰隆著 KADOKAWA 1408円
道元の思想をやさしく伝える語録を仏教学者の曹洞宗住職が解説する。2008年にNHK 「こころの時代」で放送された番組のテキストを文庫化。



自分を受け入れるスヌーピー 枡野俊明監修 光文社 1540円
非思量や放下著など60の禅語をチャールズ・M・シュルツ作の漫画『ピーナッツ』を手がかりに味わう。既刊「心をととのえるスヌーピー」の続編。



お寺の行動経済学 中島隆信著 東洋経済新報社 1760円
仏教の役割を祈りと葬式の2つの面から分析。ガバナンス(統治)不全に陥った寺院が今後どう生き残っていけばいいかを経済学者として提言する。



古代寺院の食を再現する 三舟隆之・馬場基編 吉川弘文館 3520円
西大寺食堂院跡の遺物を古代史・考古学・栄養学の専門家らが調査。僧侶の食生活を分析・再現し、寺院で魚肉は食べないとされる定説に再考を促す。



マナ・タブー・供犠 J・G・フレイザーほか著 国書刊行会 6820円
宗教思想の重要文献を初訳または新訳で収録する「宗教学再考」全6巻のうち本書は第1巻「英国初期人類学宗教論集」。監修は江川純一と山﨑亮。



物語チベットの歴史 石濱裕美子著 中央公論新社 990円
仏教国チベットの1400年の歴史を概説。17世紀以降は歴代ダライ・ラマが統治してきており、特に重要な5世、13世、現14世を詳述。新書判。



仏教ゆかりの植物図鑑 松下俊英著 東本願寺出版 1210円
無憂樹や菩提樹など仏典に登場する15種の植物を大島加奈子のカラー絵とともに紹介。釈尊の生涯をたどり、 植物名の由来や背景の物語を解説する。



茶の湯と宗教 神津朝夫著 淡交社 1320円
日本人がお茶を飲む慣習と宗教との関係を史料で見直し、禅宗だけではない寺院とのつながりを明らかにする。 新書判「茶道教養講座」の第12巻。



道をひらく言葉 昭和・平成を生き抜いた22人 NHK出版 1078円
NHKが蓄積する映像を編集した番組「あの人に会いたい」制作班が著名人の発言を活字化。仏教関係者は瀬戸内寂聴、酒井雄、永六輔。新書判。



仏師快慶の研究 奈良国立博物館編 思文閣出版 77000円
現存する快慶の在銘作品と重要作品の全63件を大判カラー写真で掲載。資料編には納入品やスキャン画像、諸論文、作品解説、年表などを収録する。





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