[『月刊住職』 2023年3月号より転載]

毘沙門天信仰とその伝播 北村太道編 起心書房 14960円
四天王の多聞天と同定され北方守護にあたるといわれる毘沙門天。その信仰をヴェーダや初期仏典に遡り、さらに密教における位置付けやアジア各地への展開を考察する。図版も多数収録。



宗教者は病院で何ができるのか 森田敬史他編 勁草書房 2970円
日本の医療施設で宗教者が非信者に対して行っている宗教的ケアの実情を研究者らが論じる。本願寺派のビハーラ病院のほかキリスト教、天理教、立正佼成会などの施設を事例に挙げる。



徹底討論! 問われる宗教と“カルト” 島薗進他著 NHK出版 913円
旧統一教会の問題について研究者と宗教者が討論したNHK 「こころの時代」の放送内容に論考を併載して緊急出版。共著者は釈徹宗・若松英輔・櫻井義秀・川島堅二・小原克博。新書判。



世界でいちばん素敵な宗教の教室 保坂俊司監修 三才ブックス 1760円
「お寺は何をするところ?」「カトリックとプロテスタントの違いは?」など素朴な疑問に答える形式で諸宗教を解説。写真も豊富なビジュアル図鑑。



じっくり読み解く般若心経 千葉公慈著 大法輪閣 2860円
般若心経を一句ずつサンスクリットの原語に遡って確認したうえで、古今の聖句を「ことばの鍵」として参照しながらやさしく解説する。著者は仏教学者で大学学長も務める曹洞宗住職。



再生する延暦寺の建築 海野聡著 吉川弘文館 3850円
織田信長に焼き討ちされた比叡山延暦寺に関する研究で手薄だった伽藍復興後に着目し、全山の建造物調査を元に天台宗寺院の建築的特質を解明する。



癌封じの寺 大安寺の365日 河野裕韶著 西日本出版社 1650円
在家から婿入りした奈良県・高野山真言宗大安寺副住職が修行の思い出やお寺の日常生活などを綴ったエッセイ。話題となった大安寺天平伽藍CG復元プロジェクトについても裏話を披露。



奇跡 MIRACULOUS MERIT 僕の親鸞 今井亮徳著 法藏館 1430円
真宗大谷派北米開教使として23歳からカリフォルニアの寺院に勤務してきた生涯を回顧。カウンセラーや仏教書英訳の仕事の軌跡―奇跡も綴る。



図解 歎異抄 齋藤孝著 ウェッジ 1540円
音読を推奨している教育学者が親鸞の語録を明快に紹介。前半は重要な語句を図版と共に読み解き、後半はふりがな付きの原文に現代語訳を添える。



駆け込み寺の庵主さん 心のモヤモヤ「供養」します 松山照紀著 双葉社 1595円
臨済宗妙心寺派尼僧がシングルマザーから看護師を経て出家するまでの半生を語る。続いて自坊に持ち込まれる人間関係の相談を禅の教えで回答する。



新装改訂版 道はるかなりとも 青山俊董著 佼成出版社 2200円
5歳で仏門に入り曹洞宗の尼僧堂で指導者として多くの弟子を育てた著者の自叙伝。1987年刊行以後の大本山の西堂就任などを追記した決定版。



戒・浄土・禅 松岡正剛著 KADOKAWA 1815円
書評サイト「千夜千冊」から日本仏教に関する書籍の記事を再構成。『往生要集』『正法眼蔵』など高僧の著作や現代の研究者による論考も。文庫判。



寄附の不当勧誘防止法その意味と問題点 櫻井圀郎著 桜の花出版 1430円
異例の速さで成立した旧統一教会被害者救済新法を平易に解説。同法があらゆる法人に関わることや、宗教活動が不当に制限される可能性にもふれる。



信じる者は、ダマされる。 多田文明著 清談社 1650円
統一教会に入信し脱会したルポライターが組織内で見た騙しの手口を具体的に紹介。キャッチセールスなど詐欺商法の被害を防ぐための心得を説く。



“正しい”宗教の辞め方・断り方 早川和宏著 三和書籍 1760円
新興宗教を取材してきたジャーナリストが信者の悩みに答える。創価学会、阿含宗、天理教、旧統一協会などの実態を伝える1990年刊行書の改訂版。



日本周遊奇談 井上円了著 国書刊行会 3960円
明治の哲学者が日本や東アジア各地を訪れて見聞した奇談・怪談425話を収録。宗教社寺の項では寺名の由来や廃仏毀釈が残した影響を語る。



奈良時代 木本好信著 中央公論新社 946円
奈良時代の約百年を歴史学者が政治史の面から詳しく解説。仏教を重んじた聖武天皇も政治的には無責任で社会不安をもたらしたと手厳しい。新書判。



日本史年表 山折哲雄監修 朝日新聞出版 1760円
旧石器時代から昭和以降までの歴史を年表で示してポイントを解説。政治や文化の流れが前後の過程から理解できる。寺社も隆盛した時代ごとに紹介。





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