[『月刊住職』 2023年2月号より転載]

インド大乗仏教の虚像と断片 グレゴリー・ショーペン著 国書刊行会 13200円
アメリカの仏教学者の重鎮による全14章の論考集。通説を「虚像」として検証し、碑文や壁画などの「断片」から仏教信仰を見直す。渡辺章悟監訳。



般若理趣経の基礎的研究 高橋尚夫著 ノンブル社 19800円
『般若理趣経』の11の類本のテキストとその現代語訳を収録。主に真言宗で読誦される同経は新たなサンスクリット写本が発見され注目を集めている。



現代語訳 南海寄帰内法伝 義浄撰 宮林昭彦・加藤栄司訳 法藏館 2750円
律を基本とする7世紀インドの僧院生活の記録集。留学生の義浄が唐の戒律の現状と比較し批判を加える。初の現代語訳の大著が文庫判として新装刊。



和解 インナーチャイルドの癒し方 ティク・ナット・ハン著 鈴木ひと み訳 徳間書店 1760円
ベトナム出身で昨年逝去した禅僧によるマインドフルネスの解説。瞑想の実践で内なる子どもに気づけば安らぎが生まれる。絶版本が版元を変え再刊。



日本の近代仏教 思想と歴史 末木文美士著 講談社 1298円
清沢満之・倉田百三・田中智学・鈴木大拙ら明治以降の知識人の思想を見直し、近代仏教の展開を論じる。2017年刊行書を改題再編集し文庫化。



日本の思想家入門 小川仁志著 KADOKAWA 1034円
現代を生きる羅針盤となる独自の哲学を説いた古代中世から現代までの日本人25人を解説。仏教を基盤とする思想家は空海、親鸞、道元、鈴木大拙、西田幾多郎を取り上げる。新書判。



仏心独語 長谷川岱潤著 西田書店 2530円
浄土宗住職が25年あまり編集長を務めた月刊「浄土」の編集後記265本を収録。誌面紹介にとどまらず、仏教界や社会の話題に切り込み、季節感にもあふれた時事エッセイ集。



親鸞聖人偈頌意訳本 正信念仏物語 松下雅文訳 法藏館 220円
真宗門徒が日常唱える正信偈を物語風に現代語訳。見開きの右頁に原文、左頁に本願寺派前住職による散文形式の意訳を掲載。施本にもなる小冊子。



ちょっと止まって、気づいて生きる ZEN問答でいこう 村越英裕著 佼成出版社 1980円
禅問答のプロセスを臨済宗妙心寺派住職が自身の修行時代のエピソードを交えて解説。日常的なピンチを乗り越えるためのプログラムとして提示する。



新版 さすらいの仏教語 玄侑宗久著 KKロングセラーズ 1210円
「どっこいしょ」「がたぴし」など仏教由来の言葉を臨済宗妙心寺派住職で芥川賞作家の著者が紹介するエッセイ集。2014年に刊行した新書の再刊。



パンダはどこにいる? 横田南嶺著 青幻舎 1650円
パンダになりたいと努力するパンダが主人公の絵本。自身の存在の尊さに気づくことを円覚寺派管長が伝える。絵の担当は妙心寺派寺族の横山由馨。



日蓮と世界認識 丹治正弘著 同成社 7700円
日蓮が自身の生きる中世の社会・政治・宗教などをどう捉えたのかを論証し、新たな日蓮像を提示。全6章で世界観や正統意識、対外意識などを考察。



日本人に哲学を広めた男 井上円了 三浦節夫著 教育評論社 2200円
真宗大谷派寺院出身の哲学者井上円了が大正8年に死去した時の新聞報道や追悼文を紹介し、円了の人物像を分析。村上専精ら仏教者の声も多数収録。



「人間革命」の黄昏 段勲著 花伝社 1870円
主人公は昭和30年代に上京し創価学会に入信した男性。生活につまずくたび信心が足りないと洗脳され、献金と折伏に明け暮れる実態を描いた小説。



インド文化読本 小磯千尋他編 丸善出版 2640円
研究者や実務家らがインドの歴史と現在の実像をテーマごとに解説する。宗教、言語、民族、カースト、文学、音楽、医療、教育、食など全13章。



疫病の社会史 五味文彦著 KADOKAWA 3080円
絵巻や文献に描かれた疫病の歴史を読み解く。流行病との闘いは、平癒の祈りをはじめ護符の配布や忍性らによる療養の施行など宗教の歴史でもある。



るるぶ 親鸞ゆかりの地 JTBパブリッシング 1100円
真宗教団連合の編集協力で京都・福井・三重・滋賀の浄土真宗十派本山を案内。親鸞の足跡をたどり、周辺の観光地やグルメ、買い物の情報も掲載。



ならば、マンガで説明しよう! 仏像 糸貫律画 栗原茉海監修 Gakken 1540円
仏像が怖いという主人公の少年にアスラが仏教の歴史から仏像の見方までをやさしく教える漫画。解説文付き。





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