[『月刊住職』 2022年12月号より転載]

チベットにおける仏教説話図の研究 大羽恵美著 法藏館 14300円
チベットで寺院の壁面や軸装のタンカに描かれた仏伝・前生話・譬喩譚の現存作例と特徴、諸問題などを考察する。B5の大判紙面に図版を多数収録。



ジャイナ教聖典選 河﨑豊・藤永伸編訳 国書刊行会 7700円
仏教と同時期に誕生して今もインドで続くジャイナ教の経典を現代語で抄訳。非暴力と無所有で知られる教えの原典を日本語で読める本は現在類書がない。開祖マハーヴィーラ伝記も収録。



儀礼と仏像 シリーズ実践仏教 倉本尚徳著 臨川書店 3520円
懺悔や誓願など仏教儀礼の歴史的展開と意味を解説。念仏・観仏の儀礼や年中行事における仏像の役割を考える。船山徹編集シリーズ全5巻の完結巻。



みちしるべ名講話選 えん―縁― 仏教伝道協会 220円
公益財団法人仏教伝道協会が毎年刊行している名僧たちの講話集「みちしるべ」シリーズから22編を選んで1冊に。著者は葉上照澄、青山俊董、松原泰道、信楽峻麿、石上善應ほか。



マンガでわかる 日本仏教13宗派 石田一裕監修 誠文堂新光社 1980円
日本仏教を宗派別に解説するありそうでなかった入門書。イラストをふんだんに使いながら内容は本格的で、各派の教義や名僧の紹介をはじめ袈裟の違いといったマニアックな項目もある。



日中浄土教の研究 小林尚英著 文化書院 22000円
日中それぞれの浄土教の概論。中国編では曇鸞・道綽・迦才・善導の浄土教の特色を述べる。日本編では『往生要集』での善導教学の展開や、菩提心の問題、法然の往生観などを論じる。



西山證空上人とその思想 菅田祐凖著 思文閣出版 6380円
法然の高弟で浄土宗西山派の祖・證空の生涯と思想を解説する。證空の真筆に注目し筆跡を分析。法語の紹介と略年譜も収録。著者は西山浄土宗住職。



仕事がつらいときに読む仏教の言葉 光澤裕顕著 星海社 1045円
ストレスや対人トラブルで悩む社会人に仏教の知恵で解決のヒントを示す。真宗大谷派僧侶で漫画家の著書が解説の合間にジャータカなどを漫画で描く。



禅と日本文化 新訳完全版 鈴木大拙著・碧海寿広訳 KADOKAWA 1540円
禅という観点から見た日本文化論のロングセラー。原著は英文で、国内で親しまれてきた戦前の翻訳ではなく、海外で読まれる1959年本の初訳。



代著名人が初めてあかす 私の死生観と宗教観 興山舎 2200円
本誌好評連載「寺院・住職に直言・提言」が単行本になりました。現代日本をリードする25人が語る宗教への在り方や死者への想いは実に新鮮。執筆者は池上彰、柳田邦男、角田光代、里中満智子、柳美里、香山リカ、落合陽一、鴻上尚史、松重豊…。



道元の心の哲学 有福孝岳著 晃洋書房 3190円
道元の著書「正法眼蔵」から心に関する言及を考察。三界唯一心、即心是仏、身心学道、心不可得、菩提心など。著者はドイツ哲学研究者で曹洞宗住職。



日蓮聖人のお心に触れる 深澤泉奥編著 展転社 1650円
本門佛立宗僧侶が日蓮の御妙判=御遺文を一句ずつ拾い上げ、一般読者向けに解説。法華経を説き題目を勧めた日蓮の教えを分かりやすく読みとく。



人物で学ぶ日本古代史2 奈良時代編 新古代史の会編 吉川弘文館 2090円
古代史に登場する人物を紹介する全3冊の第2巻。奈良時代の約50人のうち僧侶は行基、鑑真、道鏡ら10人。



死者を巡る「想い」の歴史 山本幸司著 岩波書店 2750円
古代・中世を生きた人びとが死をどう受けとめ、死者をどのように送ってきたのか。その想いを中世思想史学者が和歌や物語などを手がかりに探る。



「修養」の日本近代 大澤絢子著 NHK出版 1760円
明治以降の「自分磨き」の系譜をたどる。新渡戸稲造、松下幸之助、鈴木清一の思想を支えた伝統宗教の要素と、「宗教っぽいもの」を明らかにする。



教養としての能楽史 中村雅之著 筑摩書房 924円
寺社の法会から発展した能楽の歴史入門。義満が寵愛した世阿弥、吉野や高野山で催した太閤能、不敬だと禁止された演目などの逸話を集成。新書判。



「神様」のいる家で育ちました 菊池真理子著 文藝春秋 1100円
7人の宗教二世の実態を漫画化。親の宗教を信仰するのが当然と育てられ、やがて周囲と違う境遇に気づいても家族を裏切れない苦悩をリアルに描く。





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