[『月刊住職』 2022年2月号より転載]

仏教の考古学 上下2巻 坂詰秀一著 雄山閣 各2640円
インドの仏跡発掘から仏足石信仰の研究、日本の経塚や板碑の調査まで、立正大学特別栄誉教授による論考の集成。仏教考古学は文献学や美術史学より対象範囲が格段に広いのが分かる。



光明真言集成 全 田中海應著 東方出版 8800円
主に密教で念誦される光明真言に関する資料を集めた1978年刊行書の新装版。意義や功徳などを解説、土砂加持については明恵ほかの文書を引く。



唐代の禅僧 第8巻 臨済 衣川賢次著 臨川書店 3630円
中国禅宗で六祖慧能以降の12人を紹介するシリーズの一冊。臨済義玄の生涯と思想、禅語録『臨済録』を解説する。副題の「外に凡聖を取らず、内に根本に住せず」は、同語録の一節。



教養としての仏教思想史 木村清孝著 筑摩書房 1265円
仏教の思想的変遷の全貌を仏教学者で曹洞宗住職が解説。地域はインド・アジア諸国・中国・朝鮮・日本。教えはゴータマから大乗、密教、日本仏教への展開と未来の課題まで。新書判。



最澄と天台宗のこころ 桑谷祐顕監修 平凡社 2750円
「別冊太陽・日本のこころ」シリーズ。伝教大師最澄の千二百年大遠忌を記念し、最澄の生涯と教え、法を継いだ祖師たち、天台ゆかりの仏像・仏画の紹介などをカラー写真と共に掲載する。



坐禅経験者にこそ薦める新坐禅のすすめ 禅文化研究所編 禅文化研究所 1320円
ロングセラーの坐禅指南書をコロナ禍に改版。旧執筆陣の孫世代による文献の解説から写真付きの実習、禅宗用語集、坐禅会常用経典までを網羅する。



般若心経秘鍵への招待 高野山真言宗布教研究所編 法藏館 1650円
空海著『般若心経秘鍵』の書下し文と現代語訳。後半は般若心経を紹介する。解説は高野山大学教授の武内孝善。



寺院経営がピンチ! 坊さんの覚悟 瑞田信弘著 アートヴィレッジ 1320円
香川県の浄土真宗本願寺派住職が仏教界の現状を見つめ直し、その構造的問題を指摘。個々の寺院の存在意義を明確にするために具体的な「お寺のビジョン」を作成することを提言する。



ねぇ、お坊さん教えてよどうしてお葬式をするの? 岡崎秀麿・冨島信海著 本願寺出版社 1760円
「お布施はいつ渡すのか」など葬儀と法事への疑問にQ&A形式で答える。浄土真宗の葬送儀礼についても説明。



子規と日蓮 川口勇著 東方出版 2970円
仏教を詠みこんだ和歌や正岡子規の宗教句から日本での法華経受容史の一面を明らかにする。法華経行者日蓮の考察も。著者は法華宗正立寺前住職。



弘法水の事典 河野忠著 朝倉書店 9350円
空海が地面を杖で突いて水が湧き出たと伝わる約1500カ所を地域別に紹介。うち169の湧水は成分を科学的に分析して伝承の効能と照合する。



インド史 南アジアの歴史と文化 辛島昇著 KADOKAWA 1210円
2015年に死去した南アジア研究者によるインド五千年の歴史の概説。王朝の盛衰から諸宗教の台頭、植民地化への抵抗と独立までを辿る。文庫判。



こども世界の宗教 島薗進監修 カンゼン 1430円
世界の宗教のあらましを紹介する総ルビ付きの児童書。「手を合わせるのはなぜ?」「死んだら天国へ行くの」といった切り口で国際理解を深める。



現代スピリチュアリティ文化論 伊藤雅之著 明石書店 2750円
精神世界といわれる分野の21世紀の動向を追う論考。ヨーガやマインドフルネス、ポジティブ心理学など科学的実践と宗教の結び付きを読み解く。



人間晩年図巻 2008―11年3月11日 関川夏央著 岩波書店 2090円
作家や俳優ら著名人28人がどう死んでいったかを近親者の証言や死後明らかになった事実を元に紹介。1990年代編から続くシリーズの最新刊。



ほとけの周辺 牧野隆夫著 東京図書出版 1540円
仏像修復家の実際の体験をもとにした8つの物語。知り合いに身内のデスマスク作りを頼まれ遺体と向き合うなど、生死をテーマに創作を交えて綴る。



仏像列島 日本のすごい仏像100 本田不二雄監修 宝島社 1430円
全国の個性的な仏像百体を紹介するA4判ムック。美仏からミステリアスな像まで、あえて京都や奈良の国宝ではなく知る人ぞ知る地方仏を厳選する。



御坊日々 畠中恵著 朝日新聞出版 1540円
明治の一寺院を舞台とした連作短編小説5話。再建中の浅草東春寺住職・冬伯は相場師の顔も持つ。冬伯と弟子玄泉のもとに近所の者が相談に現れ…。





Copyright (C) 2006-2022 kohzansha. All Rights Reserved.