[『月刊住職』 2022年1月号より転載]

仏教史 全2巻 立川武蔵著 西日本出版社 各4290円
仏教が誕生しアジア各地で発展する歴史を、主に思想面に注目して解説。文化センターでの講義をもとに、仏典からマンダラまで幅広い研究の集大成。



真理のことばの物語集 全4巻 松村淳子訳 国書刊行会 各6820~7260円
5世紀にブッダゴーサが編集した原始仏典の注釈書ダンマパダ・アッタヴァンナナーをパーリ語原典から全訳。簡素な経文の背景にある釈尊と弟子たちの問答の様子が眼前に立ち現れる。



観音像とは何か 平和モニュメントの近・現代 君島彩子著 青弓社 2640円
近代以降に造立された観音像の役割を探求する論考。信仰対象でありつつ犠牲者の慰霊や、特に戦後は平和の象徴として公共の場にも設置された経緯を辿り、仏像史に新たな一頁を加える。



エッセンシャル仏教 デール・S・ライト著 みすず書房 4180円
米国の仏教研究者による仏教入門書。「仏教におけるカルマとは?」などの100問に対する回答で教理や歴史の多様な展開を整然と解説。佐々木閑監修。



真宗悪人伝 井上見淳著 法藏館 1980円
宗門の開祖から近代の学者まで浄土真宗の歴史上で「悪人」とされた10人の評伝。本願寺派僧侶が綴る物語から仏教で説く善悪の意味が浮かび上がる。



東大寺奴婢集団のサバイバル 森本公誠著 阿吽社 2750円
奈良時代の華厳宗大本山東大寺には「奴婢」が収容されていた。彼らは奴隷ではなく生活弱者として保護されつつ役目を果たしていたことを、同寺長老が古文書をひもといて突き止める。



考える親鸞 碧海寿広著 新潮社 1595円
近現代の知識人たちは親鸞を信じるのではなく、親鸞について考えることで人生の指針としてきた。悪人正機や絶対他力といった親鸞の思想が日本人の精神に与えてきた影響を分析する。



道元を生きる ひろさちや著 佼成出版社 1650円
日本仏教の宗祖の思想を現代人の人生に活かすシリーズの第2弾。修行一筋で近寄り難い曹洞宗開祖が著者のなめらかな語りで親しみ深く思えてくる。



日本の呪術 繁田信一著 エムディエヌ 1100円
平安時代には陰陽師や密教僧による呪詛が頻繁に行われていた。朝敵の調伏や悪霊退散、雨乞いなどの実態を歴史学者が当時の史料から紹介。新書判。



日本人の死生観 五来重著 講談社 1221円
宗教民俗学者が円熟期に執筆した論考や講演録から死後世界、葬儀、お墓など死にまつわる話を集める。庶民の信仰を訪ね歩いた貴重な記録。文庫判。



戦後日本と国家神道 島薗進著 岩波書店 3850円
国家神道は明治維新後に天皇を崇敬するシステムと重なり合って展開、戦後に解体されるも今なお復興運動が続く。宗教と政治の関係を整理した論集。



清水寺のみほとけ 参拝ガイド[英訳付き] 清水寺監修・根立研介著 東京美術 2200円
北法相宗大本山清水寺の仏像と伽藍を日英2カ国語で解説。外国人に諸仏の特徴を案内する参考書としても重宝。



宗教図像学入門 中村圭志著 中央公論新社 1056円
諸宗教のシンボルマークや建造物といった視覚的イメージを解説。テーマごとに図像を横断的に眺めることで各宗教の特徴が理解しやすい。新書判。



思いがけず利他 中島岳志著 ミシマ社 1760円
利他とは何か。著者は仏教をはじめ落語や料理、陶芸といった事例を総動員して思索。その根底に偶然性を見て、自己を超えた力のはたらきを感じ取る。



日本迷信集 今野圓輔著 河出書房新社 990円
茶柱、幸福の手紙、女人禁制といった俗信を非難も擁護もせず客観的に解説。柳田國男のもとで活動した民俗学者による昭和40年刊行書を文庫で再刊。



出雲世界紀行 野村進著 新潮社 781円
ノンフィクション作家が出雲大社をはじめとする山陰の観光地を旅し、暮らしに溶け込む信仰を綴る。平成30年刊行『どこにでも神様』改題文庫化。



新書版 性差の日本史 国立歴史民俗博物館監修 集英社 924円
令和2年秋に国立歴史民俗博物館が開催した企画展示の見所を文章と図版で紹介。女性の地位や性の売買などジェンダーをめぐる歴史が一望できる。



ひねもすなむなむ 名取佐和子著 幻冬舎 825円
岩手の小さな寺の後継に応募した25歳の僧侶が住職や檀家総代らと過ごす日常を描く小説。光福寺守祐順副住職が監修、協力名瀬妙法寺。文庫判。





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