[『月刊住職』 2021年12月号より転載]

最澄と徳一 仏教史上最大の対決 師茂樹著 岩波書店 968円
平安時代初期に天台宗最澄と法相宗徳一の間で戦わされた三一権実諍論を当時の文献で検証。伝統的な論理学の因明を中心に論争を単純な二項対立ではなく広い視野で解説する。新書判。



尋尊 安田次郎著 吉川弘文館 2530円
室町時代に興福寺大乗院門主を務めた尋尊は筆まめで、克明な日記が当時の社会情勢を伝える史料として知られる。その生涯に迫る、人物叢書の一冊。



近代世界の公共宗教 ホセ・カサノヴァ著 筑摩書房 1870円
近代化と共に宗教は世俗化すると思われていたのに、前世紀後半から公共の場に再び現れてきたのはなぜか。そのプロセスを5つの事例で検証した古典的名著の文庫化。翻訳は津城寛文。



宗教の凋落? ロナルド・イングルハート著 勁草書房 4180円
アメリカの政治学者が40年にわたり百カ国を対象に行ってきた世界価値観調査を分析。世俗化と信仰の希薄化が進む中で宗教が果たす役割を問う。調査データを多数掲載。山﨑聖子訳。



大乗仏教のこころ 平川彰著 大法輪閣 1870円
平成14年に逝去した仏教学者が晩年に一般向けに書いた仏教入門書。大乗仏教の特徴や歴史と共に仏性・空・唯識などの思想を分かり易く解説する。



運命を好転させる隠された教え チベット仏教入門 平岡宏一著 幻冬舎  1540円
インドのギュメ寺に留学経験のある高野山真言宗僧侶がシャンティデーヴァの『入菩薩行論』を解説。現代のチベット僧の言葉を引用しながら、怒りを抑えて善業を積む大切さを訴える。



森清範法話集 こころの姿 森清範著 淡交社 2200円
北法相宗清水寺貫主が季節の話題から宗門の教学である唯識までを縦横に語る。毎年恒例の「今年の漢字」揮毫についても意外な裏話を打ち明ける。



心とくらしが整う禅の教え 吉村昇洋著 オレンジページ 1650円
曹洞宗副住職が禅寺の規則や食事・掃除の作法などから日常生活で活かせる知恵を伝授。平成28年の刊行書にコロナ禍への対応を加筆して再刊。



絵ものがたり 正信偈2 浅野執持著 法藏館 1430円
浄土真宗の勤行で読む正信偈を本願寺派住職がやさしく語る絵本の第2弾は、龍樹・天親・曇鸞のくだり。解説の釈徹宗と、絵を分担して描いた藤井智子・加藤正・麻田弘潤も真宗僧侶。



みんなに喜ばれるお寺33実践集 これからの寺院コンセプト 松本紹圭・遠藤卓也著 興山舎 2530円
本誌好評連載が単行本になりました。お寺を未来につなげるために奮闘する全国33カ寺の活動を対談形式で紹介し、後半は〈未来の住職塾〉塾長と講師による寺院講座で実践までのステップが学べます。



辞世の作法 山折哲雄著 講談社 1012円
宗教学者によるいのちをめぐるエッセイ風の論考。文学や芸能の話題を行き来しながら、どう死ぬかという根本テーマへと切り込んでゆく。文庫判。



私の親鸞 孤独に寄りそうひと 五木寛之著 新潮社 1485円
親鸞を主人公とする長編作品がある小説家が、教学上の聖人ではなく生身の親鸞像に迫る。宗教との出会いを遡る中で若い頃の苦難の体験にもふれる。



もっと知りたい延暦寺の歴史 久保智康・宇代貴文著 東京美術 2200円
天台宗総本山の比叡山延暦寺を支えてきた高僧から境内や寺宝までを専門学芸員が解説。多数のカラー写真に年表などの資料も充実したガイドブック。



四天王寺聖霊会の舞楽 南谷美保著 東方出版 3300円
聖徳太子を偲んで大阪の四天王寺で毎年行われる聖霊会の鑑賞手引き。著者は舞楽の研究者で四天王寺支院の施行院坊守。既刊書に写真と解説を増補。



人生斯くの如くか 東西お墓巡り 永峯清成著 彩流社 2200円
西郷隆盛や支倉常長、ニーチェやベートーヴェンら国内外20人の墓所を歴史小説家が訪れて故人の生涯に思いを馳せる。墓地の喚起力が生んだ紀行。



心をととのえるスヌーピー 枡野俊明監修 光文社 1430円
チャールズ・M・シュルツ作の漫画『ピーナッツ』を一話ごとに相応しい禅語を掲げて解説。日日是好日や柳緑花紅がスヌーピーらの世界を開く鍵に。



高丘親王航海記Ⅳ 近藤ようこ著 KADOKAWA 880円
澁澤龍彦原作の幻想小説を漫画として描く全4巻の最終巻。平城天皇の第三皇子は出家し真如となって天竺を目指し、夢のような世界で最期を迎える。





Copyright (C) 2006-2021 kohzansha. All Rights Reserved.