[『月刊住職』 2021年8月号より転載]

現代語訳最澄全集全4巻 大竹晋著 国書刊行会 8140円~8800円
伝教大師最澄の真作すべてを現代日本語訳。第1巻が入唐と立教開宗関係の文章、第2巻以降は法相宗徳一との論争に関する文献。宗門に属さぬ個人訳で訳語が統一されているのが特徴。



日本思想史の現在と未来 前田勉編 ぺりかん社 3520円
日本思想史学会の創立50周年記念シンポジウム発表9本を収録。仏教学と政治学など学問領域を横断する研究を中心に、「対立と調和」と銘打ち喫緊の課題であるジェンダー論も掲載。



宗教社会学 奥井智之著 東京大学出版会 3080円
社会学の立場からさまざまな宗教事象を考察する。信仰や儀礼をはじめ、芸術の美の感動やスポーツの一体感と宗教との関係などを掘り下げて思索。



仏教美術史展望 内田啓一著 法藏館 7700円
平成29年に56歳で早逝した美術史家の論文を同僚や教え子が協力して編集。曼荼羅や祖師図など、日本を中心に東アジアの仏画や版画に関する16編を多数の図版と共に収録する。



梵文和訳 華厳経入法界品(上) 岩波書店 1067円
善財童子が良き師を尋ねる物語の翻訳、全3巻。平成6年刊『さとりへの遍歴』の文庫化。訳者は梶山雄一・丹治昭義・津田真一・田村智淳・桂紹隆。



禅 心を休ませる練習 藤田一照著 大和書房 814円
坐禅は悟りを手に入れる手段ではなく、自分を見直し主体性を取り戻すのが目的。浮沈する波に一喜一憂するよりその下の水という真実に触れよと曹洞宗僧侶が禅の核心を説く。文庫判。



「お釈迦さまの薬箱」を開いてみたら 太瑞知見著 河出書房新社 792円
律蔵の記述を元に米や肉、歯磨きや睡眠など食事や健康に関する智慧を解説するエッセイ。著者は曹洞宗住職で薬剤師。平成27年刊行書を文庫化。



東方の言葉 中村元著 KADOKAWA 924円
インドの思想書や仏典、日本の祖師の語録から60の金言を紹介し解説。滋味あふれる東洋の叡智を展望できる。巻末に仮名法語の概説を付す。文庫判。



ブッダが見つけた四つの真実 ゾンサル・ジャムヤン・ケンツェ著 創元社 1760円
チベット仏教指導者による四法印の解説。仏典をベースに漢訳の術語を使わず身近なたとえ話を交えた語りが新鮮だ。今までに20以上の言語で翻訳。



宗教と過激思想 藤原聖子著 中央公論新社 946円
宗教の特徴を過激性という切り口で分析。近現代の仏教からは一人一殺を説いた井上日召と焼身抗議をしたチベット僧を取り上げて、ピュアな異端が過激と表裏なのを解き明かす。新書判。



古代の食を再現する 三舟隆之・馬場基編 吉川弘文館 3520円
奈良時代の写経生の食事を古文書や木簡から推定。献立を復元し生活習慣病などを考察する。歴史学者や栄養学者らが手を組んだおいしい研究成果。



弘法大師の世界 武内孝善監修 平凡社 2860円
空海の生涯と思想を最新の研究に基づきカラー写真と共に解説。史実とは別立てでお大師さまとしての伝説も手広く紹介。別冊太陽シリーズの大型本。



廃仏毀釈 畑中章宏著 筑摩書房 880円
明治に起こった神仏分離の実態を有名寺社の記録から明らかにする。残忍な蛮行と思いがちだが仏像を守った例もあると偏ったイメージの修正を促す。



死にかた論 佐伯啓思著 新潮社 1540円
古希を過ぎた社会思想家が日本人の死生観について思索する。安楽死の問題に始まり、仏教の死に対する考え方をとくに道元の思想に注目して論ずる。



デスカフェ・ガイド 吉川直人・萩原真由美編著 クオリティケア 2420円
死を気楽に語り合うイベントのガイドブック。開催の目的やファシリテーターの役割、具体的に何をするかを説明し、後半では実践例を主催者が語る。



インドを旅する55章 宮本久義他編著 明石書店 2200円
インドをよく知る研究者やライターらが綴った読む観光ガイド。食や乗り物の説明、ヒンドゥー教・仏教等の聖地案内、世界遺産や民族芸能の紹介も。



江戸東京ご利益事典 長沢利明著 笠間書院 2530円
東京都内にある霊験あらたかな神仏638件を取り上げて伝承などを解説。ご利益は病気平癒や安産達成など160種あまり。町歩きのお供にも。



絵解き 江戸の暮らしと二十四節気 土屋ゆふ著 出版芸術社 1540円
立春・雨水・啓蟄…と一年を二十四に分割した二十四節気を順に解説。江戸の人々の生活を描いた絵図を掲載し、季節感を大切にする暮らしぶりを学ぶ。





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