[『月刊住職』 2021年2月号より転載]
中国禅宗史書の研究 齋藤智寛著 臨川書店 8000円
本書で取り上げるのは現存最古の禅宗燈史『楞伽師資記』から北宋初に唐五代の禅宗を総括した『景徳伝燈録』に至る唐宋期の燈史六種。禅宗教団の根幹と可能性にも示唆を与える研究。
近代本願寺論の展開 中西直樹著 三人社 3800円
江戸から明治への転換期、多数の門信徒を抱える東西本願寺においては活発な教団改革論が上がったものの明治後期には挫折してしまう。当時の改革論や在家信者の動向に注目した論考集。
仏教の誕生 佐々木閑著 河出書房新社 800円
仏教はなぜ生まれ、釈迦は何を目指したのか。二千五百年にわたり、生きることにつらさを感じる人を救ってきた仏教を、花園大学教授が基礎知識から修行方法、定義までを解説。新書判。
信心の書『歎異抄』講座 三明智彰著 大法輪閣 2300円
ネットにおける他者への中傷が社会問題にもなっている。「悪人」とは他ならぬ自分自身という自覚から始まる親鸞の信の内実を分かりやすく解説。
法話のきほん 伊東恵深著 法藏館 1300円
法話に悩まない住職はない。宗門の研究員も務めた真宗大谷派住職が、日頃の準備から構想・原稿・推敲・練習・法話中の心得・振り返りまで具体例を通し指南したゼロから学べる実践書。
世界が仏教であふれだす 稲田ズイキ著 集英社 1200円
著者はお寺ミュージカル映画祭、失恋浄化バーなど、ユニークな取り組みを行う平成生まれの京都の浄土宗寺院の副住職。「生きるって無理ゲー」と悩む若者にも分かりやすく仏教を説く。
現代「只管打坐」講義 藤田一照著 佼成出版社 2500円
信心と坐禅は不可分、坐禅は万人に開かれていると説いた道元の坐禅観を、曹洞宗僧侶が多角的視点から論じる。大本山永平寺の月刊誌連載の単行本化。
お経で読む仏教 釈徹宗著 NHK出版 670円
お経には、苦しみから一歩進める教えが説かれている。『涅槃経』『維摩経』『阿弥陀経』などのエッセンスと、お経そのものの意味を易しく解説する。
ダーウィン、仏教、神 クリントン・ゴダール著 人文書院 4500円
明治期に西洋からもたらされた進化論への反応と伝播を、日本の仏教と神道の動きから捉え直す。「仏教者による進化論の抱擁」など。碧海寿広訳。
現代山岳信仰曼荼羅 藤田庄市著 天夢人 1800円
山岳信仰から新宗教まで長年にわたって祈りの現場を捉えてきたフォトジャーナリストが、自ら体感した日本各地の修験道の現在を写真と共に報告。
戦没者遺骨収集と戦後日本 浜井和史著 吉川弘文館 9500円
アジア・太平洋戦争における海外戦没者約二百四十万人のうち、今なお百万超の遺骨が現地に残るのはなぜか。日本政府の遺骨収集事業を諸外国との交渉や政策決定過程もふまえ検証する。
仏法僧の現在 無宗教日本の葬式仏教 木村文輝著 八千代出版 2500円
コロナ禍で日本人の社会規範が改めて注目されたが、それと宗教観はどうかかわるのか。多様な視点から考察。「布施の理想とお布施の現実」など。
姿とかたちの仏像事典 小峰彌彦文・小峰和子画 里文出版 2000円
尊形やしぐさ、法具が示す意味など90余の仏様の特徴を元大正大学学長が、仏画と共に解説する。「胎蔵曼荼羅の内容について」「集団の仏さま」他。
盆踊りの戦後史 大石始著 筑摩書房 1600円
「『ふるさと』の喪失と創造」が副題。鎮魂の盆踊りから団地の盆踊り、フェスタイプの盆踊りなど戦後の盆踊りの変遷を通じ、社会の変容を考察する。
田の神石像、誕生のルーツを探る 南方新社 2500円
豊穣を願う田の神石像は、仏像系、神像系、農民型など多様な種類があるという。作製年代が判明した761体を分析する。八木幸夫写真・文。
推古天皇 義江明子著 ミネルヴァ書房 3000円
副題は「遺命に従うのみ群言を待つべからず」。日本初の女帝・推古天皇の36年にわたる仏法を軸とした政の事績と実像に迫る。「権力掌握」他。
石橋湛山の〈問い〉 望月詩史著 法律文化社 6000円
戦前は東洋経済新報社の記者、戦後は大蔵大臣などを経て総理大臣に就任。立正大学学長も務めた石橋湛山の思想を宗教観、政治観などから読み解く。
シルクロード全史 上下巻 河出書房新社 各巻3600円
東西を結ぶ大陸の路、シルクロード。絹や金などから宗教、そして病をも運んだ壮大な歴史絵巻を描いた邦訳。ピーター・フランコパン著、須川綾子訳。
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