[『月刊住職』 2020年7月号より転載]

近世の巡礼と大坂の庶民信仰 北川央著 岩田書院 3800円
西国巡礼、熊野信仰、上町台地など紀伊半島を舞台とした宗教空間と、近世大阪の庶民信仰とのかかわりを大阪城天守閣館長がまとめた。「大阪寺町および周辺寺院に遺る巡礼供養塔」など。



近代仏教というメディア 大谷栄一著 ぺりかん社 5000円
海外への展開や平和運動、福祉活動など幅広く取り組んだ近代仏教そのものが、メディア的役割を担ったという視点で論じた研究。「昭和初期の仏教ブーム」「寺院による社会福祉活動」他。



お迎えの信仰 往生伝を読む 梯信暁著 法藏館 1600円
往生極楽を目指した人々が命尽きる時に現れたお迎え現象の記録『日本往生極楽記』『続本朝往生伝』『拾遺往生伝』等を現代語訳化し信仰の実態に迫る。付録に楞厳院二十五三昧過去帳。



広島大学仏教青年会110年の歩み 方丈堂出版 5000円
安芸門徒で知られる広島で、坐禅会や日曜学校など仏教をバックボーンに青春を謳歌する学生たちがいた。広島大学仏教青年会110年の史料集。「広島大学仏教青年会と被爆時における活動」他。



日本の宗教 村上重良著 吉川弘文館 2200円
原始宗教の時代から近代まで、400を超える多彩な宗教が展開した日本宗教史を中高生向けにコンパクトに解説した、宗教学の碩学による著作の復刊。



鎌倉僧歴事典 永井晋編 八木書店 12000円
中世の鎌倉で活躍した僧侶949名の事典。護国の祈祷を勤める仏教の宗派と法流、僧官僧位と僧侶の地位、灌頂の種類と意味、法会・修法の格付けなど鎌倉顕密僧侶を知る手引きにも。



中国禅宗史 小川隆著 筑摩書房 1300円
唐代から宋代にかけて禅思想は大きく展開した。代表的な禅の古典を網羅した全20巻の『禅の語録』(平成28年完結)の「総説」が文庫化された。



道元一日一言 大谷哲夫編 致知出版社 1200円
道元禅師の「仏道にならうというは、自己をならうなり」など『正法眼蔵』『永平広録』『正法眼蔵随聞記』等から366語を精選し、意味を解く。



『教行信証』入門 石田慶和著 本願寺出版社 1600円
副題は「浄土真宗の根本と学びの姿勢」。親鸞聖人の主著『顕浄土真実教行証文類』を、自らの体験と現代的視点から読み解いた浄土真宗の入門書。



顕如 神田千里著 ミネルヴァ書房 3500円
戦国・織豊時代の本願寺第11代法主であった顕如は、本願寺教団の存続をかけて織田信長との対峙の道を選ぶ。宗教者としての生き様を描いた評伝。



この世とあの世 講演集 大法輪閣 2500円
私たちは死後、どこへ行くのか。僧侶や研究者11人(阿満利麿、末木文美士、本多弘之、田上太秀、三橋健、華園聰麿、竹村牧男、峯岸正典、佐藤研、武田定光、竹内整一)の講演集。



看護師僧侶の妙憂さん!「いい死に方」ってなんですか? 玉置妙憂著 大和書房 1300円
生老病死の様々なスピリチュアルケア活動を行う高野山真言宗僧侶で看護師による、仏教と医療を考える問答集。



唱えるという生活 瀬野妙佳著 佼成出版社 1400円
副題は「お題目が導いてくれるほんとうの幸せ」。著者は昭和20年生まれの日?宗の尼僧。自伝を交えたエッセイ集。「社会に向けての布教」など。



宗教意識の国際比較 真鍋一史著 北海道大学出版会 8000円
結婚や家族意識に対する考え方、死後の世界観など、異なる文化的背景を持つ人々の宗教についての意識を、日本とヨーロッパの比較を中心に探る。



神秘主義 キリスト教と仏教 鈴木大拙著 岩波書店 1010円
仏教とキリスト教など、あらゆる宗派を貫徹する宗教的叡智「神秘主義」について大拙が英文で著した著作の初邦訳。坂東性純・清水守拙訳。文庫判。



宗教は現代人を救えるか 佐々木閑・小原克博著 平凡社 880円
インド仏教学者とキリスト教学者による対談。「キリスト教の倫理観はどこで担保されるか」など現代における宗教を多角的な視点から問う。新書判。



まじないの文化史 新潟県立歴史博物館監修 河出書房新社 1650円
疫病除けや祈祷、結界など古代より現代に至るまで、日本人に息づいてきた呪符信仰のルーツと変遷を民俗学の視点から迫る。「境界とおふだ」など。



シルクロード悠久の天地 山田勝久著 笠間書院 2000円
東西文化交流の地であるシルクロード。西域26カ国を66回も現地踏査したシルクロード研究者が、名所や未開放遺跡を写真と共に紹介する。





Copyright (C) 2006-2020 kohzansha. All Rights Reserved.