[『月刊住職』 2020年3月号より転載]

大蔵経の歴史 宮崎展昌著 方丈堂出版 3200円
インドにおける編纂作業から、中国を経て日本へと至るまで仏典はどのように変遷したか。近代以降の日本における漢語大蔵経と仏典叢書類の刊行まで視野に入れてその歴史が辿られる。



シリーズ実践仏教菩薩として生きる 船山徹著 臨川書店 2700円
具体的な「実践」そのものに焦点をあてることで仏教の歴史や今を捉える全5巻シリーズの第1巻は、菩薩について論じる。「大乗に特有の行為」他。



古代東国の仏教 内山純子著 青史出版 3800円
「法相宗徳一の教化を中心に」が副題。最澄と宗論「三一権実論争」を行った法相宗の徳一は会津などの東国地方に多くのお寺を建立し、「化主」と慕われた。その足跡が明らかにされる。



鎌倉浄土教の先駆者 法然 中井真孝著 吉川弘文館 1700円
ただ念仏すれば救われると、戦乱の世に庶民救済の道を開いた法然。その思想と軌跡に近年発見された史料や著作『選択本願念仏集』を通じて迫る。



河口慧海 高山龍三著 ミネルヴァ書房 3800円
仏教の原典を求め、日本人として初めてチベット・ラサに潜入した仏教学者、河口慧海(1866~1945)の情熱的かつ型破りな生涯を辿る評伝。



武州拝島大師本覚院の歴史文化 川勝賢亮著 岩田書院 1800円
正月のだるま市や厄除け大師として知られる東京・昭島市の本覚院は、比叡山の焼き討ちから救出された慈恵大師像の安置から始まるという。歴史学者でもある住職が地域史から読み解く。



重源さんが教えてくれたもの くわばらくわばら、雷の落ちないお寺から 吹角隆光著 レベル 1500円
重源上人ゆかりの大阪府和泉市の西福寺住職が「西福寺は日本最古の雷封じの寺」だと、自坊の歴史と地域史のかかわり、住職としての歩みを綴る。



悔いなく生きよう 瀬戸内寂聴著 祥伝社 1300円
今年98歳を迎える著者が「この世は一度やりたいことは全てやろう」と波乱の人生を振り返り物申す説法集。「世の中、社会について思うこと」他。



神仏分離を問い直す 法藏館 1200円
幕末維新期の神仏分離は、日本に何をもたらしたか。一昨年に山口大学で開かれた、神仏分離150年シンポジウム(島薗進、真木隆行、上野大輔、木村延崇、池田勇太、稲田秀雄)の講演録。



アジア的融和共生思想の可能性 中央大学出版部 3600円
偏狭なナショナリズム、日本礼賛の言説が横行する現代に、多様な文化を柔軟に取り込むことで発展した日本思想を捉え直す論考集。保坂俊司編著。



デジタル学術空間の作り方 下田正弘他編 文学通信 2800円
副題は「仏教学から提起する次世代人文学のモデル」。膨大な知を集積するデジタル学術空間の作り方と今後の展望を、SAT大蔵経テキストデータベース研究会の実践を通じて考察する。



西田幾多郎の哲学=絶対無の場所とは何か 講談社 2150円
意識が生成したり断絶するのは、意識の存在と無が対立している場。西田幾多郎が考究した「場所」の思想の核心を禅や西欧哲学から探る。中村昇著。



ブッダに学ぶほんとうの禅語 アルタープレス合同会社 1900円
スリランカ上座仏教長老のアルボムッレ・スマナサーラ師が、不立文字、身心脱落、本来無一物など、30以上の禅語を初期仏教の視点から解説する。



臨床宗教師 死の伴走者 藤山みどり著 高文研 2200円
東日本大震災を機に生まれた臨床宗教師。被災地や都会の傾聴喫茶、終末期ケアの現場など様々な場で活動を広げる臨床宗教師の現在と展望の記録。



近現代日本の民間精神療法 栗田英彦他編 国書刊行会 4000円
大正時代に大流行した霊術・精神療法。後に健康法や新宗教へと流れ込んだその実態を技法と思想の系譜に辿る。「霊術・身体から宗教・国家へ」他。



本願寺に咲く花 米澤信道著 本願寺出版社 2200円
安土桃山時代の建築様式を象徴する西本願寺の書院。天井画と障壁画に描かれた草花は植物学的にも貴重な史料という。その全てを写真と共に紹介。



日本の仏様 解剖図鑑 瓜生中著 エクスナレッジ 1600円
「如来のキホン 悟りを開いた仏」「文殊菩薩 智慧を司る仏」など仏像の見方・見分け方を持ち物や印相、関連する歴史、エピソードも交えて解説。



宗教で読み解く日本史 浮世博史著 すばる舎 1800円
宗教は日本社会をどう動かしてきたのか。テレビでも活躍する社会科教師が、古代から現代まで時代ごとの宗教とのかかわりを分かりやすく解説する。





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