[『月刊住職』 2019年12月号より転載]

捨身の仏教 君野隆久著 KADOKAWA 1800円
副題は「日本における菩薩本生譚」。釈尊の前世を描く血なまぐさい本生譚が、時代を超えて日本の僧侶や作家を魅了し続けるのはなぜか。思想や表現における受容から考察する日本文化論。



雅楽のコスモロジー 小野真龍著 法藏館 2200円
「日本宗教式楽の精神史」が副題。大阪の浄土真宗本願寺派住職で雅楽指導も務める天王寺舞楽伝承者が、雅楽を通じて日本独特の宗教コスモロジーを探索。「神仏習合と雅楽の風景」他。



高僧和讃講義(二) 曇鸞 延塚知道著 方丈堂出版 2200円
七高僧の伝記や教学を親鸞が百を超える和讃にした『高僧和讃』。大谷大学名誉教授がその内容を解説する、全四巻シリーズの第二巻が刊行された。第一巻は龍樹・天親・曇鸞について説く。



臨済録 柳田聖山訳 中央公論新社 720円
仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺せ! 中国唐代の臨済義玄の語録『臨済録』を読み下し・原文・平易な口語訳・注釈で構成する。文庫本。



哲学する仏教 内山興正老師の思索をめぐって サンガ 2000円
昭和の曹洞禅僧、内山興正が提唱した「自己ぎりの自己」。その魅力を禅僧と哲学者(藤田一照、山下良道、ネルケ無方、永井均)が説く講座単行本化。



弘法大師空海 池口恵観著 KKロングセラーズ 1000円
「生きる力を与える言葉」が副題。全ては心から生まれ、心に帰す等、弘法大師空海の言葉を高野山真言宗高野山清浄心院住職がその教えと共に紹介。



改革の流儀 真宗王国に生かされて 熊谷宗惠著 北國新聞社 1500円
お東さん紛争から半世紀が過ぎたが、改革は成功し得たか。昭和13年生まれの真宗大谷派元宗務総長が振り返る。「東方へ向かって最敬礼した時代」他。



はじめての韓国仏教 佐藤厚著 佼成出版社 2000円
日本仏教に影響を与えた韓国仏教の特徴と文化、見どころを、歴史から現在に至るまで網羅し、図版や写真をまじえ紹介する。「韓国の有名寺院」他。



虫への祈り 虫塚・社寺巡礼 柏田雄三著 創森社 2000円
バッタ塚、蜜蜂頌徳の碑など全国各地の虫にまつわる供養碑・記念碑・歌碑・句碑から虫の名のついた寺社まで130カ所を訪ね、巡礼ガイドを兼ねつつ人と虫との深い関係を考察する。



神仏の森は消えるのか 渡辺弘之著 ナカニシヤ出版 2200円
著者は動植物や土壌の研究を重ねてきた京都大学名誉教授。動植物を守る境内の森や社叢の荒廃は、寺社そのものの消滅を招くと保全の道を訴える。「神社の森と寺院の森のちがい」他。



中世鎌倉のまちづくり 高橋慎一朗著 吉川弘文館 2800円
三方を山と谷が取り囲み、南に海が広がる鎌倉。その地形を生かし、作られた中世都市鎌倉とはどんな様相だったのか。禅宗寺院、武家屋敷の遺構等から特徴を探る。「鎌倉と災害」他。



スピリチュアル・チャイナ 佐々木宏幹著 大蔵出版 11000円
世界に広がる華人社会。強固な結びつきを支える宗教とは何か。華人の信仰の実態を、東南アジア、台湾、中国本土を実地調査し、分析した研究論考。



仏教は日本にふさわしい宗教か 外村直彦著 朝日出版社 1300円
大陸よりもたらされた仏教は本当に日本文化の基礎をつくり、国民の血となり肉となったといえるのか。比較文明史の研究者が日本仏教を検証する。



釈迦の生涯と日本の仏教 瓜生中監修 青春出版社 1260円
シリーズ「図説 地図とあらすじでわかる!」の仏教篇。釈尊の生涯と、教え、日本伝来に至るまでの仏教史を分かりやすく解説している。新書判。



聖者のレッスン 四方田犬彦著 河出書房新社 4800円
古今東西の映画に描かれた聖者の姿を通じて、人間とは、信仰とは、と問い直す東京大学の映画宗教学講義の単行本化。「三國連太郎による親鸞」他。



神話と戦争 原敏晴著 清風堂書店 1500円
今日なお戦前の「教育勅語」を理想とする政治家がいる。利用された神話と、その対照的なものとしての聖徳太子の「十七条憲法」を教育者が論じる。



由緒ある田の神石像の数々 八木幸夫写真・文 南方新社 1800円
豊作、子孫繁栄を願って田畑に祀られた田の神石像。鹿児島、宮崎の南九州の村々に伝わる鹿児島県有形民俗文化財を含む110体の造形を紹介する。



日本人物レファレンス事典 宗教篇 日外アソシエーツ 27000円
仏教・神道・キリスト教など日本にかかわる古今の宗教者約2万3千人をあげ、どの事典に、どんな見出しで掲載されているかをまとめた事典索引書。





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