[『月刊住職』 2018年12月号より転載]

民衆宗教遺跡研究の展開 唐澤至朗著 高志書院 6000円
声高に語られることのない民衆の宗教を、考古学的検証から明らかにする研究論考。神仏と民衆の接点、小規模な墓地や仏堂を対象に現代に続く宗教心が読み解かれる。「御仏の領域概念」他。



近代日本の親鸞 福島和人著 法藏館 2200円
近代日本人の心を捉えた『歎異抄』ブームはいかに起きたか。暁烏敏を始めとする当時の親鸞伝、史学、文学などの研究に着目し、同時代の思想を浮き彫りにする。「明治の親鸞伝」他。



往生要集 全現代語訳 源信著 講談社 1700円
流転輪廻の六道の迷いを捨て、阿弥陀仏の極楽往生への実践の道を説いた源信僧都の『往生要集』を、碩学三人(川崎庸之、秋山虔、土田直鎮)が、分かりやすく現代語訳にした。文庫判



説戒 永平寺西堂老師が語る仏教徒の心得 大法輪閣 2000円
著者は昨年、遷化した曹洞宗顕学の奈良康明師。大本山永平寺の授戒会で説戒師として仏教徒が守るべき戒律について、くわしく解き明かした講話録。



『碧巌録』を読む 末木文美士著 岩波書店 1140円
臨済宗門第一の書といわれ、日本の禅に多大なる影響を与えた禅籍を、言語による言語の解体という視点から、その「文字禅」の世界と魅力を伝える。



気になる仏教語辞典 麻田弘潤著 誠文堂新光社 1500円
消しゴムはんこを通じた布教でも知られる新潟の浄土真宗本願寺派住職が、仏教語から日常語(坊主丸儲け、小僧、痛風等)600超を、僧侶ならではのユニークな視点でイラストを添え解説。



おかげさまで生かされし十年 道元昭隆著 北國新聞社 1852円
富山の浄土真宗本願寺派圓光寺住職が富山新聞に「野辺の送り」と題し地域の絆や真宗の教えなどを寄稿した一口法話、374編をまとめた一冊。



悲しみを聞く人 長谷顕文著 サンガ伝道叢書 463円
著者は昨年、報道で公にされた真宗大谷派の労務・パワハラ問題の当事者の一人。お寺に生まれ、教えに出遇った歩みを振り返りながら、事件の本質を問い直す。「届かなかった声」など。



心配事がスッと消える禅の習慣 松原正樹著 アスコム 1100円
日米で布教活動を行う千葉県の臨済宗妙心寺派佛母寺住職が禅を通じて悩みを解放する極意を説く。「心配事はあなた自身がつくり出している」他。



鯨塚からみえてくる日本人の心6 細川隆雄著 農林統計出版 2800円
日本各地の寺社などに残る鯨にまつわる史跡に焦点をあて、伝統的な地域文化から日本人の思想を浮き彫りにする調査シリーズの第6巻は、北勢四日市・鈴鹿、南勢伊勢志摩を舞台とする。



異教の隣人 釈徹宗他著 晶文社 1650円
様々な国をルーツとする人々が働く現代では、宗教理解が欠かせない。宗教学者と取材班が、「異教徒」の祈りの現場を訪ねた毎日新聞連載の単行本化。



蘇る天平の夢 多川俊映著 集英社インターナショナル 1600円
副題は「興福寺中金堂再建まで。25年の歩み」。天平文化の再構成を胸に伽藍再建を発願した興福寺貫首が、落慶に至るまでの四半世紀の道程を綴る。



超訳 蓮如の言葉 上田賢一著 河出書房新社 1600円
「どうせすぐに死ぬんやから、しっかり今日を生きるんや!」が副題。動乱の時代に民衆に分かりやすく親鸞の教えを伝えた蓮如の言葉を現代語訳化。



幸せの波動 小池龍之介・前野隆司著 サンガ 1800円
副題は「僧侶と科学者が探る『愛のエネルギー』の高め方」。お寺を出て瞑想修行を続ける僧侶と、ロボット工学や脳を専門とする研究者による対談。



死と生 佐伯啓思著 新潮社 760円
自分が死んだら、世界はどうなるのか。宗教は「死」をどう捉えているのか。超高齢社化社会で静かに死ぬための心構えを思想家が示す。新書判。



ぼくはお坊さんになった 諏訪ふげん著 書肆侃侃房 1500円
大正15年に生まれ、10歳で福井の曹洞宗寺院の小僧となった常滑・瑞泉寺の丸岡健堂前住職の小僧時代を描いた児童文学。著者は福井の金剛院住職。



海へ還る海洋散骨の手引き 村田ますみ編 啓文社書房 1500円
お骨は海にまきたいと檀家に頼まれたらどうするか。海洋散骨について宗教者や弁護士、行政書士など専門家5人が実態から法的見地まで解説する。



いまどきの納骨堂 井上理津子著 小学館 1200円
昔なら立派な外墓を建てた富裕層が、近年は自動搬送式納骨堂を選ぶのはなぜか。600万円の特別壇とは何か。お墓をめぐる人々の意識変化と実態ルポ。





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