[『月刊住職』 2017年6月号より転載]

日本文化と仏教イマージュ 池見澄隆編 晃洋書房 4200円
日本文化に影響を与えた仏教的世界観を、あの世とこの世の世界感覚を表す「冥顕論」を基底に多様なテーマから時代ごとの心性を探る。「平安往生伝から近世往生伝へ―来迎と正念」他。



仏教史研究ハンドブック 佛教史学会編 法藏館 2800円
インド、アジア諸国・地域、中国、朝鮮半島、日本など仏教が伝播した地域の仏教史を3部8章構成、全168項目によって、初期から近現代に至るまでコンパクトにまとめた入門書。



方鏡山淨圓寺所蔵 藤井靜宣写真集 社会評論社 2000円
「近代日中仏教提携の実像」が副題。国あげて戦争へと突き進んだ日中戦争時代、戦争に反対して中国仏教とかかわり続けた僧侶、藤井靜宣の足跡を残された写真から辿る。長谷川怜他編著。



旅する民間宗教者 西海賢二著 岩田書院 2600円
木食・遍路・修験者・陰陽師・御師・六部などの民間宗教者は、どのように受け入れられたのか。民間信仰を史料から読み解く。「武蔵野の戸隠講」他。



建築から見た日本古代史 武澤秀一著 筑摩書房 1200円
古の建築物は、時の権力者が権威を誇示する絶好のメディアだった。飛鳥寺、法隆寺、四天王寺、伊勢神宮などの寺社建築から新たな古代史を提示。



わかる仏教史 宮元啓一著 KADOKAWA 920円
ひとくちに仏教といっても、上座部か大乗か、出家か在家かなど内実は様々。インドで興った仏教が、中国で整理され日本に根付くまでをインド哲学者が易しく解説した入門書。文庫判。



なぜ今、池口恵観なのか 池口恵観・田原総一朗著 バジリコ 1600円
東京の朝鮮総連本部ビルの落札問題や、海外戦没者の慰霊、政治家との親交など幅広いフィールドをもつ高野山別格本山清浄心院住職に、ジャーナリストが迫る。「国会に潜入する」他。



四国遍路 こころの旅路 柴谷宗叔著 慶友社 1800円
著者は性同一性障害に苦しみ、お遍路で救われ、出家した高野山真言宗僧侶。先達として百周を超える四国遍路経験をもとに八十八カ所の巡礼を案内。



生きる死者 災害と仏教 白石凌海著 ノンブル社 2700円
天災による罹災者と犠牲者に仏教はどのようにかかわってきたのか。浅間山大噴火から現代に至るまで、仏教的精神風土から培われたケアを考察する。



基礎ゼミ 宗教学 大谷栄一他編 世界思想社 1900円
なぜ成人式を行うのか、いのちを教えることができるか、カルト問題にどう向き合うべきか、などのテーマを立て、グループで語り合いながら理解を深めるテキストシリーズの宗教学版。



東西を繋ぐ白い道 森和朗著 鳥影社 2200円
善導が浄土教の信心を譬えたとされる「二河白道」だが、混迷の現代にもその状況はあてはまるのか。NHK元ディレクターが宗教と政治を俯瞰する。



楽しいだけで世界一! 林映寿著 文屋 1500円
幅五センチほどの反発性あるラインの上で行うスポーツ、スラックラインができるお寺として知られる信州小布施の浄光寺の副住職が綴る活動記録。



縁を生きる 中野東禅著 創元社 1200円
縁あって生まれ、死んでいく命。僧侶として死生学や生命倫理についても向き合ってきた著者が、ブッダの教えから今をどう生きるかを説く法話集。



禅・チベット・東洋医学 藤田一照・永沢哲著 サンガ 2000円
副題は「瞑想と身体技法の伝統を問い直す」。曹洞宗の僧侶と、思考と身体の関係性を専門とする研究者の対談。「消費されるマインドフルネス」他。



心がみるみる晴れる坐禅のすすめ 平井正修著 幻冬舎 540円
多くの参禅者が集う東京の臨済宗国泰寺派全生庵住職が、余計な物を捨て、心安らかに生きる道を説く。「現代人はなぜ『坐禅』に惹かれるのか?」他。



この道をゆく 東隆眞著 北國新聞社 2593円
曹洞宗大本山永平寺の第三世・徹通義介禅師を開山とする石川県の大乘寺は専門僧堂としても知られる。同寺の山主が歴史、概要、近年の活動を綴る。



聖の社会学 勝桂子著 イースト・プレス 907円
寺離れが盛んにいわれる原因はお寺と現代日本人の精神的かい離にある? 行政書士でもある著者が分析。「なぜ、僧侶の法話は上滑りするのか」など。



禅の作曲家 佐藤慶次郎 中嶋恒雄著 東京堂出版 3800円
武満徹と共に日本の前衛音楽を引っ張った作曲家、佐藤慶次郎が目指す居場所は坐禅にあった。愛弟子が遺された膨大な思索ノートを元に生涯を辿る。





Copyright (C) 2006-2017 kohzansha. All Rights Reserved.