[『月刊住職』 2017年2月号より転載]

石山寺縁起絵巻集成 全三冊 中央公論美術出版 68000円
南北朝時代から江戸時代にかけて描かれた重文『石山寺縁起絵巻』全七巻。見開き天地約20㌢×左右約72㌢のカラー図版篇と、絵巻全貌が分かる論考・資料篇から成る。相澤正彦他編。



仏教的世界の教育論理 日本仏教教育学会編 法藏館 4000円
今、仏教教育のあるべき姿とは何か。「幼児期の人間形成と仏教」「真宗とクライエント中心療法の接点」「宗教教育をめぐる対話」など原理、歴史、実践の三部構成で編集されている論考集。



僧兵盛衰記 渡辺守順著 吉川弘文館 2200円
白河法皇が、賀茂川の水、双六の賽と共に意のままにならぬと嘆いた僧兵。仏法と本山護持のため組織された僧兵集団の誕生から実態、衰退までが明らかにされる。「僧兵創始の伝説」他。



異形の念仏行者 内村和至著 青土社 3200円
『声字実相義』に見る空海の言語論、幕末期の言霊思想、真宗の妙好人の生成、江戸中期の浄土宗僧侶の足跡などから信仰の情念を読み解く日本精神史。



宗教とは何か 小林道憲著 ミネルヴァ書房 6500円
「根源的生命への帰一」が副題。人類はなぜ宗教を必要としたか。大自然への畏怖、死の自覚に始まる原始宗教の萌芽から、仏教やキリスト教などの世界宗教にも通底する宗教感情に迫る。



国家を超える宗教 田中滋編 東方出版 2200円
古都税問題や宗教法人問題にかかわってきた京都仏教会。その経験を生かし相国寺で行われた宗教と国家をめぐる座談会がまとめられた。「国家神道体制の崩壊と宗教法人法の成立」他。



神楽と祭文の中世 斎藤英喜他編 思文閣出版 8000円
古来より伝わる神楽には、牛頭天王や荒神のような異形の神の信仰が隠されている。その深層にある中世の信仰と思想を支える祭文に注目し陰陽道・密教・アジアの巫俗の世界を読み解く。



ミットフォードと釈尊 A・B・ミットフォード著 春風社 3200円
副題は「イギリス人外交官の見た理想郷日本」。幕末、明治期に活躍したイギリス人外交官で作家が半生を綴った『続回想録』のうち、日本やブッダに関する章を収録。翻訳は大西俊男。



扶南・真臘・チャンパの歴史 鈴木峻著 めこん 4000円
仏教は東南アジアでいかに展開していったか。歴史から消えた謎の多い古代国家、扶南・真臘・チャンパの三国家の関係性に着目し、古代史図を浮き彫りにする。「聖山とピラミッド」他。



あなたの葬送は誰がしてくれるのか 内藤理恵子著 興山舎 2900円
「激変する供養のカタチ」が副題。連載中の「激変する葬送にいかに対処すればよいか!?」を単行本にしました。無宗教葬など寺院を取り巻く葬送の変化に注目。



弘法大師空海と出会う 川崎一洋著 岩波書店 920円
古から現代まで多くの人々を惹きつける弘法大師空海。歴史、伝説、美術、著作について四国八十八カ所の札所寺院住職が写真と共に解説する。新書判。



よくわかる真言宗 瓜生中著 角川書店 960円
真言密教の基礎知識から空海や高僧たちの生涯、護摩や調伏法などの行法、本尊や諸尊、本山縁起まで解説。「光明真言」などの真言も収載。文庫判。



原発 瞬楽永苦 島崎義孝著 ノンブル社 2400円
福島の原発事故は、これまでの原発に対する意識を大きく変えた。臨済宗妙心寺派住職が、仏教的視点から原発をめぐる社会の位相とこれからを問う。



このいのちを生きて 海谷則之著 本願寺出版社 500円
副題は「病とともに歩む道」。18年前にガンを発病した広島の浄土真宗本願寺派前住職が療養生活を経て綴る法話集。「病むことも無駄ならず」他。



あきらめる練習 名取芳彦著 SBクリエイティブ 800円
ネガティブに捉えられがちな「諦める」という言葉だが、実は素晴らしい意味が込められている。東京の真言宗豊山派住職が煩悩を鎮めるコツを説く。



異教のニューカマーたち 三木英編 森話社 4800円
副題は「日本における移民と宗教」。200万を超える在留外国人。異国の地での心のよりどころである信仰の実態をフィールドワークから明らかにする。



民俗信仰の位相 松崎憲三著 岩田書院 6200円
民俗信仰はいかに育まれ、変容したか。現代社会における民俗信仰から、夢占い、初夢、縁切り習俗、人神信仰、七夕祭りなどに着目した研究論考。





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