[『月刊住職』 2016年7月号より転載]

古代寺院僧房の研究 鈴木嘉吉著 中央公論美術出版 25000円
日本古代仏教建築の泰斗による建築史論集第一巻。古代寺院の僧房はのちの日本建築にどう展開していったのか。元興寺や東大寺、唐招提寺などの諸堂の遺構研究から実態が明らかにされる。



維摩経入門釈義 加藤咄堂著 書肆心水 6900円
在家の主人公が大乗仏教の核心を説きつつ、出家の仏弟子を論破していく物語仕立ての『維摩経』は小乗と大乗の違いを明らかにした初期大乗経典の代表作の一つ。その思想を説く講釈書。



大乗とは何か 三枝充悳著 筑摩書房 1200円
西暦紀元前後にインドで胎動し、東アジアに展開した大乗仏教。「大乗諸仏と私」「大乗の展開」「大乗の諸相」の三部構成で特徴を論じる。文庫判。



密教とは何か 福田亮成著 ノンブル社 14000円
「現代語訳『大日経住心品疏』を読む」がサブタイトル。智山専修学院前院長で現・川崎大師教学研究所所長が、大日経の注釈書「住心品疏」に原文、要語解説、現代語訳を添えて読み解く。



園城寺の仏像 第一巻 園城寺監修 思文閣出版 12000円
三井寺として親しまれる天台寺門宗総本山園城寺。開祖・智証大師生誕1200年を記念して、同寺や縁の寺院に所蔵される仏像を全四巻に分けて紹介するシリーズの第一巻「智証大師篇」。



チベット仏教発展史略 王森著 国書刊行会 8800円
チベット仏教研究第一人者による、吐蕃末期からサキャ政権の成立まで400年に及ぶ分裂期を中心に、チベット仏教の発展史を系統立てて解説し、論考が加えられた研究書。田中公明他訳。



秘密の国・西蔵遊記 青木文教著 慧文社 8000円
チベットの近代化にも影響を与えた真宗僧侶、青木文教による見聞記。近代チベットを取り巻く国際情勢や、軍隊、伝統的な生活が浮き彫りにされる。



〈法華経〉の真実 ひろさちや著 佼成出版社 1800円
諸経の王と呼ばれる『法華経』。その全28章を「2つの法華経」という枠組みに基づいて、12の視点から経典のメッセージと信仰を解き明かす。



日蓮を読み解く80章 浜島典彦監修 ダイヤモンド社 1500円
葛飾北斎や歌川国芳、宮沢賢治など時代を超えて人を惹きつけた日蓮聖人。思想と信仰、生涯をクイズ形式で紹介した日蓮入門書。日蓮宗宗務院編集。



一遍上人と遊行の旅 上田薫他著 松柏社 1600円
踊り念仏の目的とは何だったのか、念仏札はなぜ熱狂的に庶民にもてはやされたのか。一度は還俗したものの再び阿弥陀仏に導かれた訳とは。聖絵から一遍上人の思想と真の姿に迫る。



親鸞聖人の生涯 梯實圓著 法藏館 1800円
一昨年に遷化された浄土真宗本願寺派元勧学による宗祖伝。最新の研究成果を取り入れながら、初学者にも分かりやすく波乱の生涯と信念が描かれる。



法然と親鸞 山折哲雄著 中央公論新社 800円
他力信仰の道をそれぞれに究めた法然と親鸞。その師弟関係における両者の師資相承と師弟相克に着目し二人の宗祖の関係性を明らかにする。文庫判。



軽やかに余命を生きる 田中雅博著 角川書店 1400円
一昨年秋に癌が発覚した、医師で栃木県の真言宗豊山派住職が、自らの臨床経験を通じて「いのちのケア」の必要性と生死に向き合うヒントを説く。



あれこれ考えないで、坐りなさい。 秋葉玄吾著 すばる舎 1400円
著者は目下、海外発の本格的な禅堂建設に奔走するカリフォルニア在住30年の曹洞宗北アメリカ国際布教総監。人種、国境を越える禅の教えを説く。



男の禅語 平井正修著 三笠書房 590円
「『生き方の軸』はどこにあるのか」が副題。山岡鉄舟の菩提寺でもある東京の臨済宗国泰寺派全生庵の坐禅会には多くの人が集う。同寺住職の法話集。



教養としてよむ世界の教典 中村圭志著 三省堂 2400円
世界に名だたる宗教は何を説き、どんな世界観を持っているか。仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教など各宗教の聖典の特徴を紹介する。



見て感じるかわいい禅画白隠と仙厓 内田啓一著 三才ブックス 1000円
僧侶や市井の人々、動物をユーモラスに描いた江戸時代の禅僧、白隠慧鶴と仙厓義梵の禅画や公案、讃について日本美術史研究者が分かりやすく解説。



心やすらぐ国宝仏像なぞり描き 田中ひろみ著 池田書店 1000円
思い立ったらいつでも手軽に写仏をしてみよう、とイラストレーターが日本全国の国宝仏像を、解説を添えてイラスト化した写仏・塗り絵の実践本。





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