[『月刊住職』 2015年5月号より転載]

近世浄土宗史の研究 宇高良哲著 青史出版 13000円
江戸時代の浄土宗教団と宗教政策の関わりを檀林制度、本末関係、触頭、日蓮宗との宗論など多様な視点から浮き彫りにする論考。「僧侶の僧名変更について」「知恩院の名号授与」他。



草木成仏の思想 末木文美士著 サンガ 2000円
日本人の宗教観、自然観の一部を形成してきた草木成仏論はいつ、どのように生まれたのか。安然の『斟定草木成仏私記』を見直し、思想の源流が辿られる。「草木成仏説の基礎付け」他。



真宗門徒はどこへ行くのか 蒲池勢至著 法藏館 1800円
仏事や葬儀の簡略化が進む現代、独自の信仰習俗を伝えてきた真宗門徒の生活も揺らいでいる。愛知県の真宗大谷派住職で民俗学の視点から真宗門徒の生活を研究してきた著者の問題提起。



播磨と本願寺 兵庫県立歴史博物館編 神戸新聞総合出版センター 1800円
副題は「親鸞・蓮如と浄土真宗のひろまり」。戦国時代から近世にかけて、本願寺教団は播磨地域にどのように関わってきたのか。郷土史から明らかにされる真宗史。小栗栖健治企画監修。



もうひとつの親鸞伝 岸田緑渓著 湘南社 3000円
親鸞の生涯には知られざる七年間の空白があるという。浄土真宗本願寺派僧侶が伝絵・絵伝などの絵画史料を読み解きながら新たな親鸞伝を構築する。



江戸の法華信仰 望月真澄著 国書刊行会 2600円
ご開帳から縁日、講中、祖師霊場、加持祈祷、江戸と身延山を結ぶ巡拝ルートまで、階層問わず江戸時代の人々を惹き付けた法華信仰の諸相と実態を紹介。「江戸城大奥女性の信仰」など。



曼荼羅 国神不敬事件の真相 小笠原日堂著 批評社 2200円
副題は「戦時下宗教弾圧受難の血涙記」。戦時下の昭和十六年、旧本門法華宗幹部六人が逮捕拘束され有罪判決を受けた。国家権力による宗教弾圧と無罪を勝ち取るまでの歴史が辿られる。



中国江南マニ教絵画研究 吉田豊・古川攝一著 臨川書店 18000円
三世紀にメソポタミアで起こり、伝播過程でキリスト教、ゾロアスター教、仏教と様々な宗教を取り込んで発展したマニ教。近年、日本で発見されたマニ教絵画を中心にとした最新研究成果。



なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか 稲垣栄洋著 幻冬舎 800円
「仏教と植物の切っても切れない66の関係」が副題。ハスをはじめ仏教では教義が植物に譬えられることが多い。植物学者が、仏教が理想とした植物の生きる知恵について解説する。新書判。



仏教現世利益事典 第一巻 豊嶋泰國著 興山舎 3100円
本誌好評連載中の「秘められた祈りの形講座」を単行本にしました。仏教による祈りはなぜ通じるのか。その本当の意味と実践によるご利益を50項目の事例をあげて解説。



あなたがいるから生きられる イーストプレス 1000円
 笑って泣かせて考えさせられると評判の北九州市の中山身語正宗金剛寺・山本英照住職の選りすぐり法話集。「合縁奇縁の上手な活かし方」など。



空海と高野山 頼富本宏監修 PHP研究所 1300円
開創千二百年を迎えた世界遺産、高野山。知っておきたい伽藍参拝のポイントと空海の思想や言葉について豊富な写真と共にまとめたガイドブック。



白隠 禅とその芸術 古田紹欽著 吉川弘文館 2200円
臨済禅中興の祖といわれる一方で、ユーモラスな禅画布教に力を入れた江戸時代の白隠禅師。その思想と芸術に迫る。「禅と学問との間」「自画像」他。



宮沢賢治と法華経 松岡幹夫著 昌平黌出版会 3000円
浄土真宗の家に生まれながらも熱心な法華経信者となった宮沢賢治。『銀河鉄道の夜』や『ビヂテリアン大祭』など作品に込められた仏教思想を探る。



等伯の説話画 南禅寺天授庵の襖絵 須賀みほ著 青幻舎 2800円
京都・南禅寺塔頭天授庵所蔵の『禅宗祖師図』『松鶴図』など長谷川等伯の襖絵三十二面をデジタル複製した研究者が説話画に込められた意味を解説。



見仏記 いとうせいこう・みうらじゅん著 KADOKAWA 1600円
全国の仏像を二人のクリエイターが訪ね歩きながら、独自の視点で紹介する人気テレビ番組『新TV見仏記』の裏側を明かすメディアミックス版。



苔三昧 大石善隆著 岩波書店 1600円
凛としたウマスギゴケ、ふさふさとしたヒノキゴケなど全国津々浦々のお寺の苔庭を訪ね、約40種類に及ぶ苔と苔庭の魅力に迫った楽しい苔入門書。





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