[『月刊住職』 2014年11月号より転載]

大乗仏教の根本〈般若学〉入門 田中公明著 大法輪閣 2500円
般若経を実践の観点から270余偈により解説した『現観荘厳論』はインド・チベットで重視され般若学という教理学を形成した。密教修行に不可欠とされたその真髄が解き明かされる。



平安時代の対外関係と仏教 手島崇裕著 校倉書房 10000円
求法のため、宋時代の中国にわたった僧侶の足跡に注目し、大陸仏教の動向や日中の政治交渉を考察した論考集。「平安時代の世界観と自国意識」など。



ブッダの変貌 交錯する近代仏教 末木文美士他編 法藏館 8000円
近代において、仏教徒は様々な局面に対して世界にいかに働きかけたか。伝統宗教の代表が一堂に会したシカゴ宗教会議(1893年)や植民地政策との関連に着目し、その実像に迫る。



栄西禅師集 藤田琢司著 禅文化研究所 15000円
比叡山の弾圧を受けるなか禅宗の立場を弁明した『興禅護国論』や『出家大綱』、お茶の効用を説いた『喫茶養生記』など主な著作を全訓読、校訂を加えて収録。栄西禅師八百年遠諱記念。



ブッダをたずねて 立川武蔵著 集英社 760円
インドに生まれ、アジアに伝播した大思潮の仏教。二千五百年を超える仏教の歴史をふまえ、時代や地域ごとの特徴、ブッダの教えをインド学の碩学が分かりやすく解説する。新書判。



白隠 江戸の社会変革者 高橋敏著 岩波書店 1900円
看話禅の大成者で臨済宗中興の祖である白隠は本末制度や寺請制度に安住する宗門の堕落を糾弾した。のみならず幕府へも厳しく、参勤交代制度への批判も行った。その苦闘にみちた評伝。



修験道の真実と未来 京阪奈情報教育出版 1300円
修験道から南都諸社寺、新宗教までが集う奈良県宗教者フォーラムが「修験道」をテーマに開催した大会記録集。修験道が多角的な視点や方法から論じられる。「大自然に想定外などない」他。



『群萌』誌50年 白毫会編 自照社出版 1112円
真宗王国の北陸において真宗諸派の僧侶32人が半世紀にわたって門徒教化誌に寄稿した法話・随想約1600編のうち、50編を選りすぐって収録。



蓮如 日本人のこころの言葉 一楽真著 創元社 1200円
乱世にあっても、人はどう生きるべきか。宗祖の教えを庶民にも分かる言葉で説き、本願寺教団の礎を築いた蓮如。その思想を手紙や言行録から読む。



一遍と時衆の謎 桜井哲夫著 平凡社 840円
踊念仏で知られ、遊行上人を生み出した一遍と時衆教団は今なお多くの謎をもつ。これまでの先行研究をふまえ、その全体像が描き出される。新書判。



南無妙法蓮華経のこころ 瀬野泰光著 大東出版社 2600円
法華経の教えとは何か、日蓮聖人は何を伝えたか。若き僧侶に向けて長年、学習会を開いてきた僧侶が中高生にも分かる言葉で教えの真髄を説き明かす。



65歳からの仏教 本願寺出版社 1200円
副題は「おとなのための浄土真宗入門」。リタイア後の生活に仏縁をいかにつなげるか。団塊世代に向けた仏教入門書。「孫からの質問に答えよう」他。



50代を上手に生きる禅の知恵 枡野俊明著 PHP研究所 1300円
世界的な庭園デザイナーとしても活躍する横浜・曹洞宗建功寺住職(61歳)が、五十代は人生が最も輝く十年間として、その生き方を指南する。



読むだけ禅修行 ネルケ無方著 朝日新聞出版 1400円
著者はドイツ人の禅僧。十六歳の時に坐禅に出会い京大留学を経て出家得度し、現在は兵庫県の曹洞宗安泰寺住職。自分が出会った禅とは何かを説く。



心が疲れたらお粥を食べなさい 吉村昇洋著 幻冬舎 1300
「豊かに食べ、丁寧に生きる禅の教え」が副題。著者は臨床心理士で、精進料理の普及にも力を入れる曹洞宗の青年僧侶。食を通じて禅の教えを説く。



税理士の坊さんが書いた 宗教法人の税務と会計入門 国書刊行会 2200円
著者は東京国税局やマルサ経験をもつ税理士で僧侶。宗教法人の税務会計関連の基礎知識から、年末調整の裏技までを初心者でも分かるように解説。



古代東アジアの「祈り」 水口幹記編 森話社 3200円
アジア諸国における祈りの営みは互いに影響を与え合い発展してきた。てるてる坊主や夢占いなど現代にも通じる多様な祈りの世界を考察する論文集。



サブカルチャー聖地巡礼 由谷裕哉・佐藤喜久一郎著 岩田書院 2800円
アニメや戦国時代ゲームなど物語ゆかりの場所・建造物を「聖地」としてファンが訪れる現代。その聖地巡礼の心理と構造に民俗学の視点から迫る。





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