[月刊『寺門興隆』 2013年9月号より転載]

貴重典籍・聖教の研究 山本信吉著 吉川弘文館 13000円
国宝や重文指定を受けている貴重な典籍や聖教類はどのように日本に伝来し、発見調査されたのか。長年、文化財の現場で活躍してきた研究者が逸話と共に解説。「高野山の印刷事業」他。



富士講中興の祖・食行身禄伝 大谷正幸編著 岩田書院 6900円
副題は「中雁丸豊宗『冨士山烏帽子岩身禄之由来記』を読む」。江戸時代に庶民に大ブームを引き起こした富士講中興の祖、食行身禄の生涯を記した写本を収録し、翻刻と解説を加えた書。



峰島旭雄選集2 日本近代思想の展開 峰島旭雄著 北樹出版 6000円
比較思想の碩学の論考が、全三巻にまとめられた。第一回配本は「日本近代思想の展開」として、明治期から昭和にかけての思想的展開を捉えている。



新装版仏教植物辞典 和久博隆編著 国書刊行会 6800円
仏典の譬えを理解するには植物の知識が必須という。織田仏教大辞典、宇井伯壽の仏教辞典、望月仏教大辞典に収載された百三十二種類の代表的植物について解説を付した辞典の新装版。



教行信証 その構造と核心 延塚知道著 法藏館 6500円
親鸞聖人が晩年に至るまで改訂を続けた『教行信証』。執筆の背景と思想を『選択集』『摧邪輪』『無量寿経』との関係から全体像が明らかにされる。



ブッダの伝道者たち 釈徹宗著 角川学芸出版 1700円
生老病死を知るがゆえに苦しみも喜びも抱える人間存在に仏教はどんな道しるべを与えてきたか。ブッダ、龍樹、世親、蓮如、鈴木正三の生涯と思想から仏教の智慧と生きるすべが説かれる。



中世都市根来寺と紀州惣国 海津一朗編 同成社 7300円
和歌山県の真義真言宗総本山根来寺は中世に一大都市を形成し、その威容はフロイスが『日本史』に記すほどだった。当時の構造と秩序、倭寇とのかかわりが発掘成果から明らかにされる。



曽我量深の「宿業と本願」 小林光麿著 方丈堂出版 1000円
「宿業は本能なり」が副題。近代の仏教思想に大きな影響を与えた真宗大谷派の学僧、曽我量深(1875―1971)の“宿業”論がまとめられた。



お寺の教科書 松本紹圭・井出悦郎著 徳間書店 1400円
「未来の住職塾が開く、これからのお寺の100年」が副題。昨春開講以来、二百人余の僧侶が受講した未来の住職塾の理事と副理事が綴る寺院活性化の秘訣。「本物の危機感とは」など。



老僧が語る 京の仏教うらおもて 五十嵐隆明著 思文閣出版 900円
その時、お寺はどう動いたか。幕末から戦後に至る京都仏教界の知られざる出来事と事件を、西山禅林寺派元管長が独自の視点でまとめた異色仏教史。



魂の還る処 谷川健一著 アーツアンドクラフツ 1600円
人は死んだら山に行くのか、海に行くのか。補陀落渡海、西方浄土など古より育まれた日本人の常世観が考察される。「東方浄土と常闇の夜」など。



住職と檀家総代のための式辞・挨拶文例集 青山社 4800円
落慶法要や晋山式、披露宴、弔辞、慰霊法要などで挨拶を求められる住職や檀家総代のために、場面に応じて使える式辞や挨拶文例百二十六編を収録。



プロの尼さん 露の団姫著 新潮社 720円
副題「落語家・まるこの仏道修行」。上方落語の若手ホープが突然、出家したのはなぜ? プロの噺家で天台宗キャンペーンガールがその歩みを綴る。



ほくほく生きる 九十歳の法話 藤澤量正著 本願寺出版社 800円
伝えたい思いがあればこそ、浄土真宗本願寺派の布教使として全国で法話を行い、喉頭がんで声を失ったあとも、文書伝道を続けた一住職の遺稿集。



わが人生の三原則 山折哲雄著 中央公論新社 1400円
現代に生老病死をどう受け止め、生きるか。今年八十二歳の宗教学者が自問自答しながら考察。本誌5月号に寄稿「親鸞一人がためなりけり」も収載。



現代オカルトの根源 大田俊寛著 筑摩書房 800円
副題は「霊性進化論の光と闇」。オウム真理教など国内外でオカルト思想が絶えず表出する背景を霊性進化論というキーワードで考察している。新書判。



世界は宗教で動いてる 橋爪大三郎著 光文社 760円
金融恐慌など世界情勢を読み解くには宗教理解が欠かせない。仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教と社会との関係を考察。新書判。



ヨーガの哲学 立川武蔵著 講談社 800円
お寺でヨーガ教室を開くところが増えている。世俗を捨て、精神の至福を求める宗教実践とされるヨーガの概略と精神を解き明かした入門書。文庫判。





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