[月刊『寺門興隆』 2013年5月号より転載]

根本説一切有部律薬事 八尾史訳注 連合出版 5700円
部派仏教の律蔵の一つ、根本説一切有部律の一章として知られる「薬事」は薬にかかわる教団内の規則集だが失われた経典の宝庫で仏教聖典成立史の一級資料ともいわれる。初の完全翻訳化。



原典訳 ウパニシャッド 岩本裕編訳 筑摩書房 1400円
インド思想の根幹をなす神学・哲学的文献群、ウパニシャッド。仏教にも影響を与えた輪廻転生や梵我一如の思想について書かれた古ウパニシャッドの主要篇を抜粋しての翻訳。文庫判。



中世日本の宗教テクスト体系 阿部泰郎著 名古屋大学出版会 7400円
中世の人々に「聖なるもの」はいかに浸透したのか。経典、絵像や曼荼羅、儀礼などを含む広大な宗教的テクストを手がかりに、中世世界の深層に横たわる知の体系が浮き彫りにされる。



日本霊異記と東アジアの仏教 山口敦史著 笠間書院 12000円
仏教説話集『日本霊異記』は当時の仏教思想からどんな影響を受けているか。大陸文献との比較や、背景にある寺院活動などからの実証を試みている。



神仏習合の歴史と儀礼空間 嵯峨井建著 思文閣出版 8600円
中世社会では神様の前で読経が行われ、神祇法楽経として『大般若経』が用いられたという。神仏習合の歴史とその変遷を、寺社の儀礼空間から論じている研究書。「神主の出家」など。



浄土真宗辞典 浄土真宗本願寺派総合研究所 本願寺出版社 3500円
浄土真宗の教義・歴史・儀礼などをまとめたハンディサイズの総合辞典。仏教・浄土真宗の教義用語三千六百語、人名約千語、書名約七百三十点を収録。



歴史の彼方に隠された濁点の源流を探る 沼本克明著 汲古書院 3000円
日本語の濁点は実は陀羅尼を正確に読誦するために試行錯誤の末、編み出されたものだった? 清濁の書き分けと表記の成立背景を、平安密教の成り立ちから丹念に読み解いた仏教研究書。



現代日本の葬送文化 内藤理恵子著 岩田書院 9500円
家族葬やホール葬が増えているが、葬送文化はいかに変容したのか。お墓のあり方から、バーチャルな供養まで葬儀を取り巻く現状が明らかにされる。「現代日本における納骨堂の変容」他。



法然上人伝 上下巻 梶村昇著 大東出版社 二巻揃い6700円
ひたすら称名念仏を説き衆生救済の思想を打ち立てた法然の激動の生涯を描いた評伝。総本山知恩院発行の月刊誌『知恩』の連載をベースに単行本化。



超訳 日蓮のことば 松岡幹夫著 柏書房 1600円
幾度となく流罪や迫害を受けながらも屈せず、新たな仏教思想を切り拓いた日蓮が今の世を見ればなんと語るか。日蓮の残した百の名言を超訳で紹介。



白隠伝 横田喬著 大法輪閣 1600円
公案を参究し悟りの道に至る宋朝禅以来の看話禅の大成者であり、ユーモラスな禅画で現代人にも慕われる江戸時代の臨済宗僧侶、白隠の評伝小説。



仏教の生き死に学 中野東禅著 NHK出版 1300円
愛する人の死や自らの死とどう向き合うか。医療と宗教の課題にかかわってきた曹洞宗住職が生死の問題に臨む仏教の智慧を事例を交えて説いている



ボランティア僧侶 藤丸智雄著 同文舘出版 1300円
「東日本大震災被災地の声を聴く」が副題。東日本大震災の被災地に向かい、仮設住宅への訪問を続けている浄土真宗本願寺派の僧侶二人の活動記録。



お坊さんの1日1分説法 彼岸寺著 永岡書店 1200円
「小さな心から抜け出す」が副題。超宗派の青年僧侶が立ち上げたインターネット上の寺院「彼岸寺」。同寺に集う個性豊かな僧侶らによる法話集。



数字でわかる仏教文化財の名称 石川登志雄監修 淡交社 1400円
六道絵、竹林七賢図、八部衆、十牛図など仏教にかかわる名称には数字を冠したものが多くある。仏教文化財研究者が、数字に込められた意味を解説。



仏教と民俗の歳時記 鷲見定信著 ノンブル社 1500円
仏教と民俗は分かちがたく結ばれている。一月の修正会から十二月の仏名会まで、一年十二カ月の主な仏教行事を写真と共に解説。写真・藤田庄市。



弔い論 川村邦光著 青弓社 3000円
弔いとは何か。近代化の中の幼子の弔いから戦死者の鎮魂と靖国神社、東日本大震災まで、死者と遺族、弔問者が弔いを通じて結びつく関係性に着目。



宗教と現代がわかる本2013 渡邉直樹編 平凡社 1600円
特集は「宗教者ニューウェーブ 今と向き合う宗教者たち」。社会問題に様々なアプローチで取り組む僧侶や神父などの活動最前線が紹介されている。





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