[月刊『寺門興隆』 2013年4月号より転載]

成尋と参天台五臺山記の研究 森公章著 吉川弘文館 10000円
遣唐使事業が終わった平安中期以降、日中の交流はどうなったか。十一世紀末の入宋僧、成尋とその渡海記『参天台五臺山記』の読解から外交形式や両国を往来した僧・商人の姿が描かれる。



摂関院政期思想史研究 森新之介著 思文閣出版 6500円
中世の摂関院政期は日本思想史においてきわめて重要とされる。当時の思想家や宗教論争などの事象研究から為政者や民衆における仏教観の実像に迫っている。「叡山衆徒の鬱陶」など。



清朝前期のチベット仏教政策 池尻陽子著 汲古書院 8000円
中国最後の王朝、清(1636―1912)が行った様々なチベット仏教政策の実態を、清朝前期における扎薩克喇嘛(ジャサク・ラマ)制度の成立と展開から詳細に考察した学術書。



反・仏教学 仏教VS.倫理 末木文美士著 筑摩書房 1100円
倫理道徳で対応できない難しい局面に立った時、仏教はどんな論理を示すのか。日本仏教の思想的成果を抽出し、現代に生きる仏教が論じられている。「仏教の倫理性欠如」他。文庫判。



ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか NHK出版 740円
著者は仏教哲学者の佐々木閑花園大学教授。仏教成立以前のインドの社会構造から釈尊の誕生と生涯、僧団の生活など六つのテーマで解説。新書判。



石頭 自己完結を拒否しつづけた禅者 石井修道著 臨川書店 3000円
唐代禅僧、石頭は中国禅宗第七祖・青原行思の法を受け継ぎ、その法系から曹洞宗が生まれた。石頭禅理解の必携書とされてきた『参同契』ではなく中国禅宗史から思想が解き明かされる。



中世の播磨と清水寺 河村昭一著 戎光祥出版 2500円
神社との抗争、権力争い、寺領の確保、オリジナルの金融活動など中世動乱をしたたかに生き抜いた地方寺院の営みを、播磨の清水寺から明らかにした歴史書。「金融ブローカー覚尊」他。



禪林墨蹟の読み方と鑑賞 殿城玄瓏著 青山社 5800円
自坊の掛け軸には、何が書かれているのか。全国のお寺に墨蹟の読み方指南を行ってきた著者による、よく揮毫される禅語の書相と草書、くずし字の要点を解説した墨蹟読解の手引き書。



シッディ・クール モンゴル説話集 西脇隆夫編 溪水社 6500円
古代インドからチベットを経てモンゴルに伝えられ、土着文化と混じりながら成立したモンゴル仏教説話集『シッディ・クール』の邦訳。「木工のアーナンダと画工のアーナンダ」など。



必携 寺院の作庭全書 白井昇著 興山舎 4300円
庭師の最高峰、日本造園組合連合会理事長が寺院のために明かした極意書。お寺に最適な樹木や植物の育て方、枯山水や苔庭、蓮池、石組など作庭の全てを図入りで解説。



島地黙雷 山口輝臣著 山川出版社 800円
副題は「『政教分離』をもたらした僧侶」。幕末、明治維新の動乱期に生きた山口の浄土真宗本願寺派僧侶、島地黙雷(1838―1911)の評伝。



小説 日隆伝 泰永二郎著 まどか出版 1500円
日蓮の死後、京都の町衆に法華宗が広がる一方、門弟間で激しい宗義論争が起きる。そのなかで法華宗本門流を興した日隆の激動の生涯を描いた評伝。



百済観音と物部氏の秘密 関裕二著 角川学芸出版 1600円
なぜ権力を握った蘇我氏は敗者である物部氏の王を擁立したのか。歴史作家が奈良・法隆寺に祀られた謎の仏像、百済観音から古代ミステリーに迫る。



スペース・ガーデン 龍安寺石庭の謎 明石散人著 講談社 2800円
室町時代の武将、細川勝元が建立した京都の名刹、龍安寺。石庭に配置された十五個の石は宇宙のカシオペア座を地上に移した庭だと著者は推理する。



蘇りの火と水 東大寺修二会 牧野貞之著 小学館 2800円
お水取りで知られる奈良・東大寺の修二会。シルクロードの影響をも残す古代行法を初めてデジタル撮影して、全貌に迫った写真集。解説は日英併記。



感謝の精進料理 杉本節子著 本願寺出版社 1600円
著者はNHK 『きょうの料理』に出演中の京都の料理研究家。車麩を使った「とんかつもどき」など旬の野菜や干物を使った精進料理百種のレシピ集。



宗教法人の税務調査対応ハンドブック 石村耕治編 清文社 3600円
税務調査をはじめ、税金紛争問題、会計と決算など宗教法人と税金の基礎知識がまとめられた解説書。本年一月からの新しい税務調査手続きにも対応。





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