[月刊『寺門興隆』 2012年7月号より転載]

アジアの仏教と神々 立川武蔵編 法藏館 3000円
アジアで仏教は土着の神々といかに結びつき、生活や死生観にかかわっているのか。生きた仏教の実態を仏教学、歴史学、人類学の研究者二十一名が浮き彫りにする。「仏教と食事」など。



江戸の女人講と福祉活動 西海賢二著 臨川書店 1900円
女性だけの講「女人講」は近世の福祉活動とも密接なかかわりがあった。社会環境の変化を視野に女人講の誕生から女性の人生問題にも迫った研究。「人口減少と供養塔数の相関」など。



浄土宗の教えと福祉実践 ノンブル社 2500円
先行き不透明な社会において、浄土宗は現代人のニーズにいかに応えるか。浄土宗総合研究所仏教福祉研究会による論考集。教説に見られる福祉思想から戦後の実践まで具体例と共に論じる。



唯識 こころの哲学 多川俊映著 大法輪閣 2000円
唯識思想の根本聖典の一つ『唯識三十頌』の教えの真髄を書き下し文、現代語訳を添えて奈良・興福寺貫首が解き明かす。「心の構造とその展開」他。



祖師親鸞讃嘆 常盤井慈裕著 山喜房佛書林 2800円
本願寺第三世覚如上人とその長子によって作られた『報恩講式』と『嘆徳文』が、真宗高田派で重用されてきたのはなぜか。解説と現代語意訳を加え、その史料的価値について論じる。



近世大名葬制の考古学的研究 松原典明著 雄山閣 8000円
大名家の葬儀や墓所建設がいかに執り行われたのかは余り知られていない。大名家墓所の構造や当時の喪礼の実践、思想を明らかにする葬墓制研究書。



平安京の災害史 北村優季著 吉川弘文館 1700円
「都市の危機と再生」が副題。飢饉や地震など数多の天災に襲われた中世の平安京。当時の為政者や宗教者、庶民はいかに対応したか。防災対策から宗教儀礼に至るまで視野に入れた史論。



仏教語読み方辞典 新装版 有賀要延編著 国書刊行会 5800円
独特の読み方をする仏教語。約一万五千語に及ぶ仏教語の呉音読み、漢音読みをはじめ各種の読み方を記した辞典。画引き方式でも引くことができる。



仏教美学の提唱 柳宗悦著 書肆心水 5200円
日本を代表する民芸研究家で宗教思想家、柳宗悦(1889―1961)の仏教美術論集。「美の公案」「工芸に於ける自力道と他力道」「美と禅」他。



転びイルマン 不干ハビアン 小島幸枝著 武蔵野書院 8000円
異宗教に日本人はどう対峙してきたか。安土桃山時代、禅僧から修道士に転じるも後に幕府に加担しキリスト教批判を行ったハビアンの思想から探る。



日本に生きる移民たちの宗教生活 ミネルヴァ書房 5000円
日本の総人口の2%近くを占める外国人。知られざる彼らの宗教生活に着目し、多文化共生の手がかりを探る。「ビルマ系難民の移住背景」「日本のタイ上座仏教」他。櫻井義秀他編著。



笑う親鸞 楽しい念仏、歌う説教 伊東乾著 河出書房新社 2000円
布教の一心で編み出された念仏、和讃、説教。その現代に立ち合い新たな法要作りに参加した作曲家の真宗文化論。「仮に来て、教えて帰る…」他。



清沢満之集 安冨信哉編・山本伸裕校注 岩波書店 840円
明治期の思想家として大きな影響を与えた真宗大谷派僧侶、清沢満之(1863―1903)。宗門改革運動に腐心した時期以降の論を収載。文庫判。



日本中世に何が起きたか 網野善彦著 洋泉社 900円
「都市と宗教と『資本主義』」が副題。中世日本社会の屋台骨である金融・商業・交通・技術を支えたのは宗教者だった。網野史学の名著が新書判に。



聖地と祈りの宗教社会学 岡本亮輔著 春風社 5000円
パワースポットブームや遍路人気から新たな宗教的共同体は生まれ得るか。西洋の聖地巡礼ツーリズムに見られる宗教と現代人の関係を考察した論考。



シマに生きる 泉武著 同成社 7500円
仏教伝来前の日本列島の死後世界観とはいかなるものか。死生観の基層を独自の文化が残る沖縄の島々に訪ねて探る研究論考。「竹富島の民俗から」他。



釈尊の断食と呼吸法 前田行貴著 地湧社 1500円
副題は「心身を覚醒させるウポワズと呼吸法」。ウポワズとはブッダが実践した断食のこと。断食・梅湯流し・丹田呼吸法について分かりやすく解説。



禅と林檎 石井清純監修・角田泰隆編 ミヤオビパブリッシング 1300円
アップル社創業者、スティーブ・ジョブズは終生、曹洞宗僧侶の乙川弘文を師と仰いだ。革新的な製品を生み出したクリエイターと禅の関係を描く。





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