[月刊『寺門興隆』 2011年12月号より転載]

宮田登 日本を語る 全十六巻 吉川弘文館 各巻2600円
日本の民俗、宗教習俗に深い洞察をもってその実態と歴史を明らかにした民俗学の泰斗、宮田登の学問成果がまとめられた全十六巻の完結。「カミとホトケのあいだ」「妖怪と伝説」など。



インド仏教教団 正量部の研究 並河孝儀著 大蔵出版 9000円
インド部派仏教「正量部」とは、いかなる教理の教団だったのか。チベット語訳文献『有為無為決択』所引の正量部説を解読し、その主要教理や成立年代などを初めて明らかにした研究書。



龍樹の仏教 十住毘婆沙論 細川巌著 筑摩書房 1300円
自力での悟りは不可能だと判断した龍樹は阿弥陀の名前を称えれば救われるという「易行道」を発見する。浄土思想に大きな影響を与えたといわれる『十住毘婆沙論』現代語訳化。文庫判。



鎌倉仏教への道 菊地大樹著 講談社 1600円
「実践と修学・信心の系譜」が副題。鎌倉新仏教誕生につながる宗教的背景を、戒律の問題や経典信仰、山林修行など信仰と実践に光をあて解明する。



法然親鸞一遍 釈徹宗著 新潮社 680円
日本でなぜ浄土仏教が発展したのか、自力と他力の違いは何か。浄土真宗本願寺派住職で比較宗教学者が日本浄土仏教の特徴を法然・親鸞・一遍の三祖を比較することで浮き彫りに。新書判。



道元の思想 頼住光子著 NHK出版 1100円
「大乗仏教の真髄を読み解く」が副題。無常の世界における「悟り」とは何なのか。『正法眼蔵』を中心にして道元の思想的特徴を、明らかにする。



「禅」の教えがやさしくわかる本 村越英裕著 河出書房新社 1200円
本誌別冊連載の静岡の臨済宗妙心寺派住職でイラストライターが、坐禅や公案、作務の意味から禅の教えまでを分かりやすく解き明かす。図解入り。



正倉院文書入門 栄原永遠男著 角川学芸出版 3300円
奈良時代、写経はどのような意味を持ったのか。正倉院に残された一万数千点の文書で大きな比重を占める「写経所文書」という事務帳簿群から当時の写経事業と王権の関係性を考察する。



仏教死生観デジタルアーカイブ研究 鍋島直樹他編 方丈堂出版 2500円
文化財保護を目的とした龍谷大学のデジタルアーカイブ研究成果が本にまとめられた。仏教の死生観、宇宙観をテーマにした美術品がカラー写真と共に紹介される。関連研究論文も収載。



西域 流沙に響く仏教の調べ 能仁正顕編 自照社出版 2400円
シルクロードには、様々な仏教文化が花開いた。砂漠から出土した文物、大谷探検隊の足跡など最新の調査成果から、西域仏教の往時の世界に迫る。



共生のプラクシス 中島隆博著 東京大学出版会 5000円
国家と宗教という二つの共同性を超えた新たな共生思想を、仏教の死生観や他者認識、儒教、現代思想まで東西の論議を批判検討することで構想。



仏教シネマ 釈徹宗・秋田光彦著 サンガ 1500円
副題は「お坊さんが読み説く映画の中の生老病死」。映画大好きの大阪の住職二人が、映画にこめられた生老病死のメッセージを抽出して語り合う。



海遊記 義浄西征伝 仁木英之著 文藝春秋 1500円
『南海寄帰内法伝』『大唐西域求法高僧伝』で知られる中国・唐代の僧侶、義浄(六三五―七一五)の求法の旅を、人気作家が描く海洋ファンタジー小説。



祈りの原郷 祭りと芸能を訪ねて 高瀬美代子著 海鳥社 2500円
神仏への祈りを捧げる祭祀は地域共同体の絆に、大きな役割を果たしてきた。修正会の鬼祭りなど全国の寺社に伝わる祭りから日本の宗教文化を読む。



ヒンドゥー教とイスラム教 荒松雄著 岩波書店 760円
「南アジア史における宗教と社会」が副題。ヒンドゥー教とイスラム教は互いに影響を与えながら発展してきた。二大宗教の特徴を、考察する。新書判。



私と宗教 渡邉直樹編 平凡社 780円
作家やジャーナリスト、漫画家など、人間に向き合う表現者十人(高村薫、立花隆、小川洋子、荒木経惟、水木しげる他)が宗教と自分を語る。新書判。



空の智慧、科学のこころ 集英社 700円
チベットの最高指導者・ダライ・ラマ十四世と脳科学者の茂木健一郎が、人間が生きるための智慧について科学と宗教の見地から語り合う。新書判。



宗教心理学概論 金児曉嗣監修 ナカニシヤ出版 3400円
初詣やお盆など宗教的行事と日本人の心性をどう捉えるか。心理学の観点から、宗教性の発達や世代別に見られる宗教的行動のアプローチ方法を解説。





Copyright (C) 2006-2011 kohzansha. All Rights Reserved.