[月刊『寺門興隆』 2009年3月号より転載]

臨終の住まいの建築論 西村謙司著 中央公論美術出版 12600円
病院やホスピスで僧侶によるケア活動が注目されている。その原点ともいえる源信の『往生要集』などを中心に、臨終行儀が行われた建築空間の史的展開と成立構造が明らかにされる論考。



般若心経 テクスト・思想・文化 渡辺章悟著 大法輪閣 3150円
日本人に広く親しまれている般若心経。その成立過程を母胎の『般若経』から解明を試み、インドからアジアを経て日本へ伝播した信仰の姿を紐解く。巻末にサンスクリット校訂本を収載。



増補 中世寺院と民衆 井原今朝男著 臨川書店 3570円
飢饉・疫病・戦争が絶え間なく人々を襲った中世、寺院は社会にとって、どのような場であったのか。中世寺院の国際性と外交僧の活躍の実態が最新の研究成果を踏まえて明かされる。



白山・立山の宗教文化 由谷裕哉著 岩田書院 7770円
霊山・立山とそれを支える信仰組織はいかに生まれたのか。摂関期から院政期の同地の地獄説話から開山伝承の萌芽を探り、さらには中世以降の一揆時代における白山信仰を論じた研究書。



小説 ブッダ いにしえの道、白い雲 春秋社 2625円
著者はエンゲージド・ブッディズムの提唱者としても知られるベトナム人僧侶のティク・ナット・ハン。各国でも大ヒットしたドラマ仕立てのブッダの伝記が邦訳された。翻訳は池田久代。



不干斎ハビアン 神も仏も棄てた宗教者 釈徹宗著 新潮社 1260円
戦国時代、なぜ多くの日本人がキリシタンになったのか。禅僧から改宗、イエズス会の論客として活躍し、棄教した異色の宗教者の思考を辿り、日本宗教史の知られざる一面に光をあてる。



お葬式 死と慰霊の日本史 新谷尚紀著 吉川弘文館 1575円
お賽銭の投げ方から、戦没者供養の方法、死に装束まで日本人の習俗には死の捉え方が色濃く反映されている。葬式・墓・慰霊をキーワードに日本各地の習俗や弔い方、死生観を辿る。



禅の思想と剣術 佐藤錬太郎著 日本武道館 2520円
著者は中国思想の碩学で剣道家でもある。剣禅一如の思想を中国禅宗史に始まり、沢庵禅師、柳生宗矩といった禅僧や剣術家の著作、さらに呼吸法にまで視野を広げて体系化して論ずる。



神の香り秘法の書 上巻 北島信一著 新典社 1050円
副題「中国の摩崖石経」。日本仏教に影響を与えた中国・隋以前に北斉という仏教国があった。シルクロードに残る摩崖に刻まれた石経から失われた仏教文化の謎解きに迫る論考。新書判。



京都.お守り&数珠.手帖 PHP研究所 1365円
編者は京都なでしこ倶楽部。京都観光で女性の楽しみは寺社でお守りや数珠を買うこと。市内八十カ所の寺社で扱う信仰グッズ集。



ことわざで学ぶ仏教 勝崎裕彦著 NHK出版 777円
「聞いて極楽、見て地獄」「恐れ入谷の鬼子母神」など日本語には多くの仏教用語が使われている。ことわざに込められた仏の教えを解説。新書判。



日本仏教名言集 石上善應編 天来書院 2625円
冠婚葬祭やビジネスシーンのスピーチにお経や名僧の言葉を活用してほしいと編纂された仏教名言集。漢字、現代語訳と解説、出典も付されている。



梅原猛、日本仏教をゆく 梅原猛著 朝日新聞出版 735円
なぜ日本人は仏教に心惹かれるのか。聖徳太子から宮沢賢治まで四十二人の僧侶、仏教者の生き方と思想から、わが国の精神構造が明かされる。文庫判。



浄土の美術 内田啓一監修 東京美術 3150円
副題は「極楽往生への願いが生んだ救いの美」。浄土への憧憬から描かれた浄土図や来迎図によって当時の民衆が求めた救済のかたちが分かる入門書。



国宝 久能寺経の歳月 良知文苑著 和泉書院 3675円
平家納経と並び日本三大装飾経の一つとして知られる久能寺経は、平安時代に極楽往生を願って書写された法華経。書家が定説を覆し新説を打ち出す。



ヨーガの思想 山下博司著 講談社 1680円
最近、ヨーガ体験から仏教に関心を持つ若い女性が増えている。インド思想の根底にある身体観と哲学的支弁の本質、さらに現代ヨーガまでインド思想史研究者によって易しく説かれる。



カルトからの脱会と回復のための手引き 遠見書房 1995円
日本脱カルト協会によるカルト脱会の手引き書。カルトにはまる心理から身近な人による脱会へのステップ、社会復帰までが豊富な事例と共に紹介される。教育現場での啓発と予防も付す。





Copyright (C) 2006-2010 kohzansha. All Rights Reserved.