11月号画像
A5判・208頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2019年11月号の主な内容 (Vol.544)

[今月号の特集]

宗派の記念事業で課される懇志額は各宗派でどう違うか
開宗や宗祖の生誕や遠忌を記念・追悼し各宗派は大法要や文化財の修復をはじめとした記念事業をほぼ50年ごとに行っている。事業費の多くは末寺からの賦課金等が充てられるが、各宗派はどんな基準で賦課し、どのような方針で行っているのか。とりわけ賦課金について問題はないのか。


全町民を巻き込む署名合戦にまで及んだ住職退任要求事件はなぜ起きたか
前代未聞かもしれない。町内の全500戸に住職退任要求の署名を求める文書が配られたのだから。それだけではない。お寺の方からも同じく町内全戸に住職を支持する文書が郵送された。栃木県足利市の天台宗寺院の住職紛争だが、いったい何が起きているのか。


国に奪われた境内地を取り返す裁判で寺院はひどい目に遭っている
明治政府によって没収された寺院の地所が未だに返還されずそのままになっている例は数多ある。この理不尽を解消すべく裁判に訴えた3カ寺だが、国はなんと高額な売却費を提示してきたのだ。なぜなのか。寺院に勝てる方法はあるのか。裁判に学ぼう。



ハリケーン時代の防災…暴風雨にも強いお寺の屋根の実際
未曾有の台風の襲来で被害が拡大している。強風で屋根が吹き飛ばされ、呆然と建物を仰ぐ被災者の姿に胸が詰まる。どんな暴風雨に襲われると建物の屋根が被害を受けるのか。規格外の風に耐えうるお寺の屋根はあるか。専門家や業者などに取材した。



災害時に役立つ発電機の選び方
台風や地震で停電することが増えている。緊急時の電源確保として発電機の導入を考えるお寺もあるだろうが、何を基準にして選べばいいのか。平成30年に起きた北海道胆振東部地震で被災した浄土真宗本願寺派寺院や、東日本大震災のボランティアをきっかけに発電機を購入した神奈川県の日蓮宗寺院、メーカーや専門家に学ぼう。



僧侶漫才グランプリのお笑い説法を誌上中継
この9月、札幌市の浄土真宗本願寺派寺院の本堂は大きな笑い声であふれた。9組の僧侶らが仏教を笑いで伝える「漫才法話んグランプリ」が大盛況のなか開催されたのだ。僧侶コンビの工夫を凝らしたネタは日頃の法話のヒントにもなるかもしれない。そのいくつかを誌上に再現しよう。●次号にも続く



お寺の境内の駐車場を雑木林に改めた住職が取り組む環境改革
日本をしばしば襲う大型台風自体も、土砂崩れや河川の氾濫など自然災害も地球環境のせいだと言われる。そんな時代にお寺は何ができるのか。神奈川県川崎市の天台宗寺院では思い切った境内の環境改善に取り組んだ。なんと駐車場を雑木林に変えてしまったのだ。



貧寺住職が「坊主整体」を東京の教会で施術する目的
肩こりや腰痛に悩んで整体に通う人は多い。そんななか若手の住職が行う、その名も「坊主整体」が人気だという。千葉県夷隅郡大多喜町にある日蓮宗寺院の住職が施術師だ。施術場所は東京都杉並区の日蓮宗教会。どんな方法と目的をもって実践しているのか、実際を取材した。



自然災害被災者にできる宗教者の役割…稲場圭信(大阪大学大学院教授、宗教者災害支援連絡会世話人)
「首都圏台風15号でも実証された宗教者の被災者支援とさらなる対応力」

首都圏で3週間以上もの停電という甚大な被害をもたらした台風15号。その時、被災地の寺院や各宗派のボランティアは行政に先んじて迅速な対応をしていた。これからもどこでも自然の猛威は終わらない。平常時かつ災害時に寺院は何ができるのか考えよう。



集中連載 NHKクローズアップ現代+の「さまよう遺骨」リポート(3)…板垣淑子(NHK名古屋放送局チーフプロデューサー)
「誰の遺骨もさまよわなくするにはどうすればよいか」

肉親の遺骨をコインロッカーに置き去りにする事件や骨壷の忘れ物が増えている。そうした現実は何を訴えているのか。看取ってくれる人も墓もない高齢者にこの社会は何をしているのか。NHKクローズアップ現代を制作するプロデューサーの問題提起だ。



集中連載 寺院に建てる家墓の正しい歴史から見る未来(2)…問芝志保(日本学術振興会特別研究員)
「明治以後の墓所がカロート式になった経緯に学ぶ」
庶民が自らの家墓を建てたのは、前号によれば、主に首都圏では明治になってからだという。しかもそれまで墓は家が代々継承するものでもなかった。墓じまいや墓の継承が問題視されている今、かかる歴史から何が見えてくるか。



新連載 認知症高齢者と共に歩む僧侶如実記〔2〕…日髙明(社会福祉士/浄土真宗本願寺派僧侶)
「『家に帰る』という思いはわが子の名前を忘れても失われない」



葬送の習俗が揺らいでいる深層にあるもの〔7〕…山田慎也(国立歴史民俗博物館教授)
「葬儀と初七日の後の供養はなぜいかに行われたか」

葬儀に続く重要なはずの初七日がまるで付け足しの如く縮小されている事実を前号で見た。ではそれ以後の供養の形、とりわけ四十九日はどうなっているのか。そこには仏教だけでない人々の民俗も日本全国で多く見られたのだが……。



連載 日本人はいかに弔われてきたのか〔15〕
「かつて人々は1日の無事よりは来世の浄土を祈願していたあかし」…佐藤弘夫(東北大学大学院教授)

観光客で賑わう熊野古道を歩いて死後の行く末を祈る者は今日、どれほどいるだろうか。また日本各地に熊野神社は少なくないが、とりわけ東北にもその数が多いのはなぜか。この地の人々にとって古今にわたり熊野に抱く思いとは何か。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)〔49〕
「覇権主義が覆う今こそ誰もがはじかれぬ世のために華厳の思想を」…玄侑宗久(臨済宗妙心寺派住職/作家)




連載[寺院・住職に直言・提言する]
平田オリザ (劇作家/演出家) … 「新しい広場」
三浦豪太 (プロスキーヤー) … 「登山と仏教」


 絶賛大人気! 
本誌好評連載中の「寺院・住職に直言・提言する」より25話を厳選、収録した単行本『各界第一人者25人による今こそお寺に言いたいこと』(興山舎『月刊住職』編、本体価格2,300円)がたちまち大好評です。元首相、作家、俳優、ジャーナリストなど各界の著名人25人による寺院住職への忌憚なき意見・提言・随想は住職のみならず在家の人にもぜひ読んでほしい!



誌上セミナー やればできる! 寺院活性化のためのケーススタディ〔32〕
「100人中99人が来なくなってもお寺は門戸を開く意味がある」…堀内克彦(宿坊研究会代表)

今は御朱印ブームといってもいずれ人々の熱は冷めるかもしれない。また、いくらお寺が一般に向けて様々なイベントをしても来場者がお寺を支えてくれるわけではない。しかしそれでもいいという。「バブルの効用」があるからだ。



最終回 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔180〕
「日本の禅宗史が書き換えられている史実」…井原今朝男(国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)

禅宗とは「(インドの)達磨が中国に伝え、日本には鎌倉初期に栄西が臨済禅を、次いで道元が曹洞禅を、それぞれ入宋ののちに伝え盛んになった」(デジタル大辞林)と理解する者がほとんどだ。だが中国における仏教史の研究に加えて日本においても先の説を覆す宗派の枠を超えた動きが明らかになっている。日本の「宗派ファースト」への提言でもある。
 既刊好評! 
 本誌連載をもとにした井原今朝男著『史実中世仏教』がますます大好評。第1巻「今にいたる寺院と葬送の実像」(本体価格2,800円)、第2巻「葬送物忌と寺院金融・神仏抗争の実像」(本体価格3,500円)。そして第3巻「大災害と戦乱の中の僧侶 驚くべき戒律の実相」(本体価格3,500円)もたちまち大絶賛。寺院こそ強い軍事力を持ちえた中世にあって僧侶は何をしたか。これまで未解明の中世約600年の仏教の戒律と「行」から「信」への史実に迫ります。



初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔103〕
「愚鈍な周梨槃特が阿羅漢果に到達し得たことから分かる教え」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)

 既刊好評! 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教』第3巻―なぜお釈迦さまのインドに差別がなくならないのか(本体価格2,400円)がたちまち大絶賛! 第3巻は提婆達多の破僧説話の結末、コーサラ国の波斯匿王への釈尊の教誡を通して、布施の果報、四摂事の真実、ヴェーダの宗教と仏教の違い、六師外道の沙門の教えなど重要教説ばかり。また既刊の第1巻、第2巻(ともに本体価格2,400円)も大好評。第1巻は王子シッダールタ誕生から釈尊の覚りへの道、さらにサンガの発展までを詳述。大増刷ロングセラー。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。



障害者を快く迎えるお寺にしよう〔44〕
「障害者が強いられる施設よりも自由な地域生活ができる世に」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

日本国内の刑務所を何カ所か視察したことがあるが、障害者施設に構造がよく似ているのを実感した。どこで誰と暮らすか――それがいかに大事かをもう一度考えないといけない。



[ショートルポ]
●岐阜県の臨済宗妙心寺派寺院住職がツイッターにヘイト投稿をしたが見て見ぬふりの住職もいた
●埼玉県本庄市にあるサーキット場の騒音迷惑裁判に曹洞宗寺院が勝訴した画期的な最高裁判決
●浄土宗の宗務総長ら内局6人の退職金をめぐって所得税の申告漏れがあり追徴課税がなされた訳




[法律・税金相談]
法律相談… 松本政子(弁護士)・伯母治之(弁護士)
質問1 遺骨を全くの粉状にしてしまえば自分の庭に散骨しても法律上問題ないか
質問2 お寺で不要な物や檀信徒が中古品等を持ち寄ってフリーマーケットを催すのは自由か

税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 老後資金に2000万円は必要というが収入が少ない住職に対策はありますか
質問2 生命保険の契約者と保険料負担者と受取人との課税関係と節税方法が知りたい






 [好評連載]

 誌上講座・今からこれから未来の仏教ラボ〔11〕
 
「和洋にこだわらない精進料理僧が目指すもの」
松本紹圭(『未来の住職塾』塾長)対論…折橋大貴(神奈川県曹洞宗常泉寺副住職/精進料理講師)



 本当の創価学会問題〔95〕
 
「創価学会が仏敵として批判し続けた日蓮正宗前法主が遷化してもなお誹謗がやまない訳」
  段勲
(ジャーナリスト)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔77〕
 
「大人のひきこもりをどうしたらよいのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 色即是空の科学事始め〔162〕
 
 「ガリバー旅行記の作者の国――イギリスがアイルランドの工業化を許さなかった訳」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)

 既刊好評 
 本誌連載を単行本とした『人間だけでは生きられない―科学者として東京オリンピックに反対します』(本体価格2,300円)が各界より大注目です。「年をとると一日が速く過ぎるわけ」「放射線被曝限度量は誰が決めるのか」など、日本を代表する宇宙物理学者による最新科学情報の厳選70話を収録。



 今こそ宗教と法律の問題新講座〔62〕
 「成年被後見人の権利制限の改正」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔197〕
 「隣組の活動にお寺も参加しなければならない時代です」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 臨終医しか知らない大事な話〔11〕
 「『昔も今も』人々の命に寄り添ってきた柳の木の効用」
  志賀貢
(内科医/医学博士)


 今からの宗教酔眼千里眼〔72〕
 
「日本人と現代仏教の位相(72)――近代日本仏教者の社会福祉活動(10)」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 70億人の宗教トレンド〔113〕
 「世界を駆けるフランシスコ法王は日本でいったい何を語るのか」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔50〕
 「古刹の文化的種子に新たな光を」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)



[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 新刊刊行 
本欄掲載を元にした、井上ウィマラ著『子育てから看取りまでの臨床スピリチュアルケア』(本体価格2200円)がたちまち大好評です! 家族の問題や肉親の死に心をいためる人々をケアする人にこそ救いが必要な現代、臨床仏教スピリチュアルケアの第一人者(日本仏教心理学会会長)による事実に即したケアの方法と効果を記す厳選50話。僧侶やカウンセラー、看護介護者、ケアワーカー、セラピストなどの専門職にこそ必読の実践書。



 露の団姫のお笑い仏教寄席〔54〕
 「知らず知らずのうちに長寿信仰にとらわれていました」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)
 新刊刊行 
 本欄掲載のとっておきの35話を書籍にした『みんなを幸せにする話し方――露の団姫の仏っちゃけお笑い問答』(本体価格1700円)が、はや大好評です! 人を和やかにする法話のヒントが満載。どこから読んでも話のネタになる。仏教落語家ならではの話し方で檀信徒へのお説教も面白く伝えられます。笑いこそ法話に不可欠だと誰もがナットクの一冊。



 お説教のタネ本「女性たちはどのような言葉で“いよよ華やぐ”か」


 在俗の説法者〔208〕 「特殊詐欺の末路」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)

 既刊好評 
 この連載を元にした単行本、篠原鋭一著『この世でもっとも大切な話』(本体価格1,800円)が、各方面から大絶賛です。「少年院からの手紙」「風でもいいから会いたい」「原発に引き裂かれたもの」など感動あふれる説法の話材となる30の実話を収録した最高最善のお説教読本です。また、MBSラジオで連続ラジオドラマにもなった、感涙のロングセラー『みんなに読んでほしい本当の話』第1集~第3集(本体価格各1,429円)、第4集(本体価格2,000円)も檀信徒や友人へのプレゼントに大好評です。



 生きるとは何か〔112〕 「他を斬りすてる論理」
  亀井鑛
(NHK Eテレ「こころの時代」元司会者)

 既刊好評 
 この連載および旧連載「伝承説話の智慧」を元にした落語と仏教説話満載の単行本、亀井鑛著『だれでもできる大往生』(本体価格1,900円)、面白くてためになる落語名作をまとめた『落語で大往生』(本体価格1,700円)がいずれも大好評。住職の法話の教本として、また人生に悩む檀信徒への施本に最適です。



 住職のための今月のことば
 
「樹木より芝生がいい!?」
  稲垣真澄
(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊好評 
 この連載を元にした稲垣真澄著『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むための実例集として最良最適。



 すぐ使える法話セミナー〔31〕 「太陽の話を説法に」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)

 既刊好評 
 なぜ人の死に仏教がかかわり、僧侶がその導師となれるのか。村越英裕著『すぐに活用できる 全宗派対応 葬儀実践全書』(本体価格4,300円)では、その答えとなる各宗の葬儀次第、戒名法名法号、歎徳文・諷誦文・引導・表白の法語、導師の説法などの全要諦をそのまま使えるように編集。僧侶必読の書。



 法語伝道聖句三昧〔251〕 「たとい所有者の承諾があったとしても、ほんとうにそれが必要でなければ、他人からなにかを受け取るのは盗みです。(マハトマ・ガンジー)」
  田中治郎
(文筆家)


 いまどきマンガ説法〔88〕 「伝道掲示板」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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