12月号画像
A5判・212頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2017年12月号の主な内容 (Vol.521)

[今月号の特集]

亡き先代住職の妻に庫裡を明け渡せとお寺が訴えた裁判で画期的判決の訳
住職が死ねば、その妻や家族はお寺を出なければいけないとよくいわれる。実の息子や娘などが後任住職に就けばそうはならないが、お寺は社宅のようなものだからだ。ところが、亡き先代住職の夫人に庫裡からの退去を求めた寺院が敗訴する判決が出たのだ。司法は何を重視したのか。


浅草寺仲見世商店街の家賃16倍値上げ報道で隠された真の問題
弱い者の見方、社会の木鐸たるべきはマスコミの使命の一つだから、法外な家賃に店子が苦しめられるなら声をあげるのは当然か。東京都台東区の聖観音宗総本山浅草寺の仲見世で同種の件が持ち上がっているという。だが、ことの経緯には隠された行政(国や東京都)のひどい怠慢があったのだ。


前住職の父に衆徒の息子が暴行した住職家族の危機
真宗大谷派寺院で70代の前住職が40代の衆徒である息子に殴打され、息子が逮捕される傷害事件が起きた。事件を取材すると、そこには住職・寺族が共通に抱える問題があった。



有名企業家に境内地と本堂の明け渡しを訴えられた前代未聞の寺院の混沌
これは寺院を舞台にした詐欺事件なのか。横浜市にある単立宗教法人の代表役員による不動産取引等で、「万葉の湯」で知られる万葉倶楽部などにより、少なくとも5件の民事裁判が起きている。加えて刑事告発もされているのだ。しかも代表役員は自己破産に追い込まれた。お寺や墓地使用者はどうなるのか。



住職亡きあとの寺族のために宗派は寺院にどんな保護を課しているのか②
住職亡きあと、お寺に残された寺族を保護するために宗派はどんな制度を設けているのか。誰が保護されるべき寺族なのか。寺族を保護するための規程を定めない宗派を取材すると、ある共通点も見えてきた。10宗派寺族保護の現状と課題を比較する特集第2回。「10宗派の寺族保護の制度一覧表」を付す。



10宗派と寺院の過疎対策3 過疎地寺院の奮闘努力を宗派は知っているのか
人口激減の北海道の町で自ら1億4000万円もの融資を受けて過疎対策に取り組む住職は「宗派の支援は当てにしていません」という。福島県の限界集落の住職は「宗門だけでどうにかできることではない」とつぶやく。こうした現場の悲痛な声に宗派はいかに応えるのか。



高齢化する住職もお寺も新保険に加入して何が守れるか? 新たな保険の損をしない選び方
「保険なんていらない」という人もいるので一概には言えないが、備えあれば憂いなしというのが現実。住職・寺族も高齢化し、参詣者までお年寄りが多くなり境内での事故率は高まっている。そんな状況に合わせた新しい保険である「トンチン年金」や「介護保険」、そして「施設賠償責任保険」について取材した。



幼くして父を亡くし火災で焼失した伽藍を「花の寺」に見事再興した住職の奮迅
戦後の農地解放で田畑は奪われ、父親は貧しさの中で早逝。さらに伽藍の焼失が極貧寺に追い打ちをかけた。そのお寺が今や年間3万人が参拝する「花の寺」として知る人ぞ知る。今や大盛況の「関西花の寺25カ所霊場」の仕掛け人こそ京都府福知山市の高野山真言宗寺院住職だ。その奮闘記。



「今も『死にたい』とネットに氾濫している書き込みに僧侶は何ができるか」…長谷雄蓮華(浄土宗住職)
前例なき連続殺人が神奈川県座間市で発覚したのは10月31日。ツイッターで自殺志願者を誘い出した男(27歳)は15歳から26歳の男女9人を殺した。SNSに「死にたい」と書く人々の思いをネットで布教する住職はいかに思うのか。



連載 仏教教団の財政から判明する仏教界の重大事とは何か!?〔1〕…川又俊則(鈴鹿大学副学長/宗教社会学者)
これまで一般にほとんど注目されてこなかった宗教教団の経済や財政だが、実はその推移や現状こそ宗教のおかれている現況を知る極めて重要な手掛かりになる。教団経済を検証しよう。



今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔160〕
「京都の僧侶に依った鎌倉幕府の宗教政策」…井原今朝男(国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)

 新刊予告 
 本誌連載をもとにした井原今朝男著『史実 中世仏教』が大好評です。第1巻「今にいたる寺院と葬送の実像」(本体価格 2,800円)、第2巻「葬送物忌と寺院金融・神仏抗争の実像」(本体価格 3,500円)。そして第3巻「大災害と戦乱の中の僧侶 驚くべき戒律の実相」(本体価格 3,500円)をこの12月4日に発刊いたします。寺院こそ強い軍事力を持ちえた中世にあって、僧侶は何をしたか。これまで未解明だった中世約600年における仏教の戒律と差別の史実に迫ります。



誌上セミナー やればできる! 寺院活性化のためのケーススタディ〔9〕
「お寺の可能性を切り開くためにお寺の奥さんに勧めたいこと」…堀内克彦(宿坊研究会代表)

これまで〈お寺を盛り上げる7つのアクション〉としてご住職方に提案してきましたが、今回からは〈お寺の奥さんの5つのアクション〉。寺院活性化のキーかもしれません。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(28)
「人間が人間らしく生きるために必要なものとは何かに思いを巡らしつつ……」…玄侑宗久(臨済宗妙心寺派住職/作家)




好評連載ドキュメント 新米住職のワーキングプア記〔8〕
「マイナス14kgという業の深さにおののかされる半年でした」…水月昭道(浄土真宗本願寺派住職)




好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔48〕
「墓参り代行業がはやっているというのは本当か」…内藤理恵子(宗教学者)

墓じまいとか墓ばなれとか、従来の墓所への“注文”が多くなっているのは墓所自体の問題というよりそれを使用する方の都合のせいである。こうしたなか墓参り代行業も参入している。その状況を取材した。
 既刊告知 
 この連載を元にした単行本、内藤理恵子著『あなたの葬送は誰がしてくれるのか――激変する供養のカタチ』(本体価格2,900円)が大反響です。遺族・葬送・お墓参りと納骨・供養・終活など30項目にわたって葬儀や供養の激変を克明にリポートした本書は、読めば読むほど葬送を通じて寺院住職への期待が高まっていることが分かります。



障害者を快く迎えるお寺にしよう〔22〕
「安定と継続という檻に障害者は閉じ込められていやしないか」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員))

相談支援専門員の価値観や力量で障害者に提供できる福祉サービスの内容は変わってくる。その相談員による自由記述欄に最も多くあらわされているのが「安定」と「継続」だった……。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔41〕
「猛威を振るった廃仏毀釈によって寺院と僧侶はどうされたのか」…圭室文雄(明治大学名誉教授))

これまで見てきた水戸藩と同様、鹿児島藩が廃仏毀釈を断行したのは明治時代以前からだった。「寺院を破却した後の僧侶は兵隊にする」「教員にする」などと処遇まで決められていたのだ。





[寺院・住職に直言提言]
藤原智美 (作家) … 「カンナさんのこと」
柳美里 (作家) … 「よしろうくんの死」




[ショートルポ]
●大阪市の曹洞宗寺院の納骨堂で業者による脱税事件が発覚したが業者の営利に寺院が収奪されているのか
●真宗大谷派の『宗報』で開教拠点予定地と月50万円を支給しての新寺建立者を公募した手法と成果




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【真言宗智山派】宗派が遠隔地に居住する檀家や一般に向けて寺院紹介の窓口を設けた成果
【臨済宗妙心寺派】無住職寺院対策「第二の人生」プロジェクトは5年にして実を結んだのか





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔80〕
「死後の世界の存在を問われた釈尊はいかに答えなかったのか――サンジャインの懐疑論と釈尊の無記」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)

 既刊告知 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教』第1巻、第2巻(ともに本体価格2,400円)が大好評。第1巻は、王子シッダールタ誕生から釈尊の覚りへの道、さらにサンガの発展までを詳述。第2巻は、釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。





住職のための今月のことば 「ロシア革命100年」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 この連載を元にした稲垣真澄著『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むための実例集として最適。







 [好評連載]

 本当の創価学会問題 〔75〕
 
「創価学会に入会して得られるとする利点特典が変わりつつある理由」
  段勲
(ジャーナリスト)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔55〕
 
「病院が患者や家族に手が回らないとしたら――高齢多死社会でなぜ延命治療の是非を問題とすべきなのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 秘められた祈りの形講座〔136〕
 「今なお盛んな『巡礼』にはいかなる功徳があるのか」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)

 既刊告知 
 本誌連載をもとにした豊嶋泰國著『仏教現世利益事典―天変地異も不幸も乗り越えられる祈りの形』(本体価格3,100円)が檀信徒への説法の幅が広がると好評です。「お餅を供えたり食べるのは万民豊楽の訳」「寺院で行われる厄除け厄落としにどんな方法があるか」など、現世を生きるための仏教の50の利益とその実践を実証的に説く。



 色即是空の科学事始め〔139〕
 
 「海が酸化すると命が危ない――なぜエネルギーの使い過ぎをしてはならないのか」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)

 既刊告知 
 本誌連載を単行本とした『人間だけでは生きられない―科学者として東京オリンピックに反対します』(本体価格2,300円)が各界より大注目です。「年をとると一日が速く過ぎるわけ」「放射線被曝限度量は誰が決めるのか」など、日本を代表する宇宙物理学者による最新科学情報の厳選70話を収録。



 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔179〕
 「出入り業者からも“お寺も大変だ”と言われています」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔69〕
 「日本で最初にラーメンを食べたのは誰か」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔44〕
 「寺院宗派からの宗教法人法問題」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔42〕
 特別編「日本のお寺が世界のお寺になる日」
  松本紹圭
(『一般財団法人お寺の未来代表理事)


 今からの宗教酔眼千里眼〔50〕
 
「日本人と現代仏教の位相(50)――近代仏教社会事業とキリスト教(3)」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 70億人の宗教トレンド〔91〕
 「中東を揺るがすのはIS(イスラム国)のみならず。注目すべきはクルド人独立運動その問題の現実」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔84〕
 「五百生手無し」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔65〕
 「松尾尊兊『石橋湛山評論集』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔28〕
 「ハロウィンにもヒントがある」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 本間久雄(弁護士)・ 伯母治之(弁護士)
質問1 納骨堂を建立する際に1000区画中400区画を業者に譲渡して建築費用を捻出する手法は問題か
質問2 住職は認知症が始まっている老齢檀家の後見人になれるのか。なるとどのような制約があるのか


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 役所と寺院の両方から得た退職金は退職金控除の対象となりますか
質問2 住職に資金を借りて寺院が賃貸アパートを買い副住職の住居とする問題





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「生とは何か、死とは何か、と問われて何とするか」


 在俗の説法者〔185〕 「実話劇『焼け跡から』」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)

 既刊好評 
 この連載を元にした単行本、篠原鋭一著『この世でもっとも大切な話』(本体価格1,800円)が、たちまち大絶賛です。「少年院からの手紙」「風でもいいから会いたい」「原発に引き裂かれたもの」など感動あふれる説法の話材となる30の実話を収録した最高最善のお説教読本です。MBSラジオで連続ラジオドラマにもなった、感涙のロングセラー『みんなに読んでほしい本当の話』第1集~第3集(本体価格各1,429円)、第4集(本体価格2,000円)も檀信徒や友人へのプレゼントに大好評です。



 生きるとは何か〔89〕 「自国第一の破れる日」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)

 既刊好評 
 この連載および旧連載「伝承説話の智慧」を元にした落語と仏教説話満載の単行本、亀井鑛著『だれでもできる大往生』(本体価格1,900円)、面白くてためになる落語名作をまとめた『落語で大往生』(本体価格1,700円)がいずれも大好評。住職の法話の教本として、また人生に悩む檀信徒への施本に最適です。



 スピリチュアルケア講座〔100〕 「全人的ケアへの道」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔31〕
 「尼さんになって思わぬ面白い勘違いにあっています」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 すぐ使える法話セミナー〔8〕 「六波羅蜜の『忍辱』」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)

 既刊好評 
 なぜ人の死に仏教が関わり、僧侶がその導師となれるのか。村越英裕著『すぐに活用できる 全宗派対応 葬儀実践全書』(本体価格4,300円)では、その答えとなる各宗の葬儀次第、戒名法名法号、歎徳文・諷誦文・引導・表白の法語、導師の説法などの全要諦をそのまま使えるように編集。僧侶必読の書。



 法語伝道聖句三昧〔228〕 「攝引容受(しょういんようじゅ)」
  田中治郎
(文筆家)


 いまどきマンガ説法〔65〕 「マッチ売り」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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