7月号画像
A5判・210頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2016年7月号の主な内容 (Vol.504)

[今月号の特集]

院号居士の法名(戒名)を断ったら檀家に損害賠償訴訟を起こされた前代未聞
浄土真宗本願寺派では三字の法名が基本だが、通夜の席で三字法名を授けられた門徒(檀家)が「当家は昔から八字の院号居士をもらっている」と憤慨。墓石の撤去費や新墓石建立代金や慰謝料を賠償せよと裁判にまで訴えたのだ。法廷で争われているのは寺院と檀家の法的関係。司法はどう判断するのだろうか。


国税局に寺院の全資産を差し押さえられ「公売」に付された寺院の存亡の危機
寺院の全財産が「公売」されると聞いて、その意味を直ちに理解できる住職はどれだけいるだろうか。公売とは国税を滞納して課税庁が差し押さえた財産を入札で落札する制度である。なんと、茨城県の天台宗寺院がまさにこの事態に追い込まれているのだ。なぜこんなことになり、寺院は今後、どうなってしまうのか。


刑法学者が問う宗教判例批判! 仏具の刀剣で住職が刑事罰を受けたのは正しいか…原田保(愛知学院大学法科大学院教授)
寺院が所持する刀剣といえば、不動明王などの剣が第一に思い起こされる。槍を持つ尊像もある。これが銃刀法に触れるおそれがあるという。刑法学者が、その司法判断の元となる判決に疑問を呈する。


新連載第3回 データ分析から限界宗教法人とされる寺院
消滅可能性自治体の寺院と宗派は消滅を止められるか…石井研士(國學院大學教授・副学長)

2040年までに消滅する可能性があると推計される自治体に存在する寺院も同じく消滅してしまうのか。この危機的予測に対して各寺院そして宗派には何ができるのか。寺院や僧侶のみならず仏教自体の意義すら問われる状況が迫る。きわめて深刻な現状を前号に続き分析する。



検証! 熊本でこれまでの教訓は生かされたか 宗教社会学者の熊本地震現地報告…稲場圭信(大阪大学大学院教授/宗教社会学者)
4月14日夜の前震と16日未明の本震で震度7。政府の予測もまったくあてにならなかった熊本地震。誰もが避けられない自然災害を前に、特に宗教者たちはいかに立ち向かったのか。宗教社会学者が見た、熊本地震の被災地、被害者の本当のすがた。



災害に備えよう… 今注目の耐震シェルターはお寺に本当に役立つのか
地震に弱いのが建物の1階部分だ。災害が頻発する昨今、その部屋に逃げ込めば命が助かるという耐震シェルターが注目されている。耐震補強よりも安価で工期も短いとPRされている。高齢の老僧や寺族のいるお寺でも備えるべきか。いったいどんなものなのかを取材した。



寺院も認定される「日本遺産」とは何か、必要なものなのか
昨年から文化庁が開始した「日本遺産」。全国各地の文化財をパッケージ化してPRし、観光振興に生かそうというものだ。すでに28件が認定され、かかわる寺院は実に約330カ寺にもおよぶ。日本遺産になって外国人客倍増という事例がある一方、当のお寺が知らないうちに遺産認定されるという何とも不可解なケースも判明した



お寺で参拝ポイントカードや太陽光発電事業所を始めた住職の進取
「お寺にお参りしてポイントをためよう!」と呼びかけ、豪華な景品を用意。さらに門徒出資で独自の太陽光発電事業を始めたお寺がある。北海道美唄市の浄土真宗本願寺派寺院だ。次々と打ち出されるアイデアの背景には寺院を取り巻く未来を見据えた壮大な計画があった。



子供とお寺をつなぐ夏の「地蔵盆」を盛り上げる4カ寺に学ぶ秘訣
昔も今も宗派を超えた仏教行事に夏の「地蔵盆」がある。老若を地元のお地蔵様につなぐだけでなく、地域興しやお寺興しにもなるだけに最近、新たに始めたお寺もある。盛り上げるにはどうすればよいのか。活況する4カ寺に成功のコツを取材した。



山口県のお寺が東京都心で220回も続ける出張講座ルポ
山口県下関市の日?宗寺院が東京都内で開講する仏教講座が、父から子へ住職二代が受け継ぎ、なんと20年以上、220回にわたり続いている。しかも会場費も交通費も手弁当だ。そこまでして、なぜ東京なのか。活気あふれる講座の現場を取材した。



連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔33〕
「売上減の盆提灯を守るには物語の再興しかない」…内藤理恵子(宗教学者)

夏のお盆に提灯を飾るという伝統習俗が廃れ始めているとしたら、仏教儀礼全体の衰退にもつながる現象ではないのか。これにどう対処したらよいか、住職や提灯業者に取材して分かったことは。



第11回本誌「住職関心事アンケート」結果(3)
第11回「住職関心事アンケート」の結果をご報告しよう。今回は「『お墓にペットも埋葬したい』と檀家に言われたら」だ。規則や慣習を守り“認めない”のか、いや、時代の要請に応じて“認める”のか。住職方の意見は分かれた。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔16〕
「多彩な方法でお寺から繁華街や檀家宅に飛び出した住職たちの活躍」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

参詣者や相談者が来るのを待つだけではお寺も先細りしかねないという危機感から、伽藍を飛び出して活動する住職や僧侶が増えている。一般家庭やライブハウスやスタンドバーなど、会社帰りでも立ち寄りやすい場での法話会が好評だという。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(11)
毎日、朝から晩まで津送の準備に明け暮れる日々が……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔5〕
「動けず話せず人工呼吸器のALS患者にとって生きるとは何か」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の難病患者は、日本に約9100人もいるといわれる。しかしその存在自体がほとんど知られていない。いったいなぜか。患者たちの思いに向き合い、患者にとっての生を問う。



連載 本当の創価学会問題 〔60〕
「選挙のためにか名誉会長自らが各所を訪ねているというのは本当か」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
有栖川有栖 (小説家) … 「推理小説が描く死」
蛭子能収 (漫画家・俳優・タレント) … 「女房に連れられて」




[ショートルポ]
●東京都内で曹洞宗寺院が経営する納骨堂が課税と判断されたのは「宗旨宗派不問で業者と組んでいたから」という裁判の禍根●茨城県の真言宗豊山派寺院が巨額負債を負い境内地を国に差し押さえられた訳●お盆の時期にだけ売られる三重と長崎のお寺の「ゆうれい飴」の怖くも愛おしい話




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【浄土真宗本願寺派】築地本願寺が東京銀座にサテライト寺院を開設したのはなぜか
【天台宗】宗議会であげられた重要な質疑と内局の答弁と危機感





住職のための今月のことば「入力ミス」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 新刊告知 
 稲垣真澄が現代社会に斬り込む本誌連載がついに単行本『いつでも法話ができる 現代布教キーワード 必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)として新発売されました。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今こそ宗教と法律の問題新講座〔30〕
 「寺院が行政を裁判に訴える際に知るべき法律とは」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 色即是空の科学事始め〔122〕
 
 「終わっていない水俣病、始まったばかりの原発問題―問われる科学者の倫理責任」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔63〕
 「世界で一番自分が大切だとする考えに釈尊はいかに答えたか」
  鈴木隆泰
(山口県立大学教授)


 秘められた祈りの形講座〔126〕
 「天変地異や国難を汗を流して教えてくれる仏様がいる」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔41〕
 
 「高齢多死社会の生老病死に向き合う仏教―死を前提にした医療が進む中で仏教は何ができるのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔143〕
 「近江国の郷民が残した寄進状から分かる百姓個人が村に仏堂を寄進した本当の訳」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔165〕
 「お寺の『こども園』の庭に突然テントが張られ住人は!?」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔25〕
 「お寺にグリーフケアを取り入れる」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔33〕
 
 「日本人と現代仏教の位相(33)――『聞く』から『聴く』へ 居室訪問活動の可能性」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 70億人の宗教トレンド〔74〕
 「サウジアラビアがいま孤立感を深めているのは宗教の問題か」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔54〕
 「一糸乱れぬ法要に感動するのはなぜか」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔51〕
 「岡部金治郎著『人間は死んだらどうなるか』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔67〕
 「衆生病めば即ち菩薩病む」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔11〕
 「都心に受け継がれる佃島念仏踊り」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 長谷川正浩(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
質問1 お寺にある自治会のゴミ収集所は檀家でも自治会員でないと使えないか
質問2 無料の寺院参詣者用駐車場で事故が発生したら寺院に賠償責任はあるか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
質問1 年収300万円の住職が20年後に隠居後の生活費として退職金1200万円を用意する方法とは
質問2 熊本地震で寺院の収益事業会計から各方面に義援金を送ったが会計はどう処理すべきですか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「ノーベル賞化学者の心に響いた箴言に習おう」


 在俗の説法者〔168〕 「オバマ演説を最期に」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔72〕 「七福神の宝船に学ぶ」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔83〕 「『紙飛行機』の歌に」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔14〕
 「僧侶こそあらゆることをタブー視せず堂々と向きあおう」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔159〕 「百カ日法要の法話」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔211〕 「どんな悲しい涙でもいつかは乾く時がくる」
  峯岸正典
(曹洞宗長楽寺住職、宗教間対話研究所所長)


 いまどきマンガ説法〔48〕 「ゲス」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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