12月号画像
A5判・192頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之 画伯)
2012年12月号の主な内容 (No.169)

[今月号の特集]

放射能差別が東日本大震災被災者を苦しめている
福島の原発事故は東日本大震災被災者のふるさとを奪ったばかりか、人権をも奪おうとしている。放射能に対する偏見のせいで、人々の心の中に差別が生まれているのだ。この惨い現実に国は、仏教界は何ができるのか?


檀家の半数近くが菩提寺を捨てた住職不信任の理由とは
お寺はいったい誰のためにあるのか。そんな思いにかられる事態に陥ったのが甲信越の真言宗智山派寺院だ。檀家の7割が反対するのを知りつつ宗派は亡き先代の息子を住職に任命した。これを見た檀家の半数近くが菩提寺を去ってしまったのだ――。



原爆復興のために墓地を市営霊園に移した6カ寺に管理費徴収の是非
広島市が市営墓地の「管理費を徴収する」といえば6カ寺は「払わない」と憤る。なぜなら6カ寺は原発復興に協力して広島の中心街から郊外に墓地を移転させた経緯があるからだ。だが、市はあくまで管理費を徴収するという。当然、6カ寺は反発した。何が問題なのか。現地に取材した。



本堂が建つ寺有地なのになぜ国は返してくれないのか
鎌倉市・臨済宗建長寺派寺院の本堂が建つ境内地が登記上なぜか国有地になっている!? 室町時代に創建の古刹なのに。周囲の土地はすべて寺院名義なのに。どうしてこんなことになったのか。寺院は寺領の奪還を求めて国を提訴した。裁判の模様を速報する。



専門家が教える 寺院への遺贈をトラブルなく行う遺言知識
「自分が死んだら財産はお寺に寄付したい。遺言を作りたいが、どうすればよいか」。檀家からこんな申し出を受けたらどう応えるか。寄進をトラブルなく受けるために住職が知っておくべきことは何か。遺言・相続の専門家に聞いた。



尖閣諸島問題で仏教日中交流も宗教用具産業も大困惑!?
日中関係が一気に冷え込んだ。中国当局の戦略もあるのか、様々な業界に影響が及んでいる。長年、友好関係を築いてきた両国の仏教界にも亀裂が入るのか。仏壇や墓石など中国に依存する日本の宗教関連産業への影響はあるか。実態を取材した。



若者の就学を支える各宗派の奨学金制度
伝統教団は就学困難な若者に対し、どのような支援を行っているのか。10大宗派の取り組みを取材した。複数の教団からは「金融不況下、奨学金の原資から得られる利益が年々減っているため、運用は厳しい」と現状を憂慮する声も……。



はやらそう! 大晦日からの「二年参り」で寺院の活性化
大晦日から元旦にかけての「二年参り」は檀家はもとより広く地域の人々にもお寺の良さを知ってもらえる好機だ。お金をかけず参詣者を呼ぶ、長野県・真言宗智山派長円寺、栃木県・曹洞宗慶雲寺、愛知県・臨済宗妙心寺派大興寺、山形県・曹洞宗玉川寺、広島県・日蓮宗實相寺の工夫や実践を取材した。二年参りをはやらそう!



震災も師父逝去も乗り越え伽藍復興を遂げた不屈の寺族ドキュメント
神戸市須磨区の高野山真言宗弘誠寺は阪神淡路大震災で伽藍が全焼。5年後には住職が亡くなった。だが住職夫人だった澤田庚秀さんはこの大ピンチにめげず、見事に伽藍を復興したのだ。波乱の人生と不屈の歩みに学ぶ。



魚の供養碑を全国に巡って分かったこと…田口理恵(東海大学海洋学部海洋文明学科准教授)
東海大学海洋学部に「お魚供養研究会」がある。2009年より水域の生き物たちの供養や祀りに関して全国調査を行っているという。その代表研究者の実に興味深いリポート。



守秘義務を護らぬ宗教者は罰せられると知るべし…廣橋隆(宗教ジャーナリスト)
保護すべき個人情報と守秘すべき秘密は異なる――こんな論議が注目された会合があった。東京都宗教連盟主催の宗教法人実務運営研究協議会だ。寺院活動に欠かせぬ問題に絞り報告しよう。



プロが教える法衣の上手な洗い方〔1〕…中田輝道(浄土真宗本願寺派長松寺住職/ナチュラルクリーン㈱最高顧問、社長代行)
住職が毎日着る白衣は何かと汚れやシミが付くものだ。が、いちいち洗濯屋に出すのも費用が嵩む。お寺でできる応急処置はないのか。クリーニングのプロ住職に、コツを教えてもらおう。



[寺院・住職に直言提言]
赤瀬川原平 (作家/美術家) … 「場所からの仏教」
佐藤賢一 (小説家) … 「フランス革命と宗教」




[ショートルポ]
● 檀徒会費2万円の横領で大分県の浄土宗西山禅林寺派寺院が市議を告訴したのはなぜか ● お寺に届いた内閣府「民間非営利団体実態調査調査票」の狙いと対応法 ● 北九州市の世界平和パゴダ再興とミャンマー大使館の本気度 ●葬祭大手が臨済宗妙心寺派を事業妨害で訴えた裁判の和解金





 [好評連載]

 今からはじめる未来の住職塾〔2〕
 「お寺の使命を見つめ直すことが必要な訳」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長/浄土真宗本願寺派僧侶)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔3〕
 「オウム真理教に入信した若者は社会に適応できるのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 今に生きる人々に伝えたい仏教の実践的解釈論〔21〕
 「誰にでもくる老いの問題に釈尊はいかに答えたか」
  奈良康明
(仏教学術振興会理事長・駒澤大学名誉教授)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔20〕
 「在家からの最初の出家者を釈尊はどのようにして弟子にしたか」
  鈴木隆泰
(山口県立大学大学院教授・国際文化学研究科長)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔100〕
 「中世地域社会を築いた山伏集団の公権力」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授)


 本当の創価学会問題〔20〕
 「社会が憂える統一教会と創価学会に問われる献金使途をめぐる問題」

  段勲
(ジャーナリスト)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔24〕
 「三界は一心の作なり」
  勝崎裕彦
(大正大学仏教学部長・浄土宗住職)


 つっぱり和尚骨山日記〔168〕
 
 「『私の次第なんてこんなもんですよ』と秋晴れの空に向かって和尚が僻むわけ」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔122〕
 「思わぬ入院生活でわが身を反省したり喜んだり……」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔12〕
 「ものの測り方を話してみませんか」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔15〕
 「栄西著『喫茶養生記』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 色即是空の科学事始め〔79〕
 「金平糖の角の数はなぜ一定か」
  池内了
(総合研究大学院大学教授・宇宙物理学者)


 我他彼此二仏中間
 「なんでそんな“前だおし”をしなきゃならないのか!?」
  大村英昭
(大阪大学名誉教授・浄土真宗本願寺派僧侶)


 住職のための今月のことば
 「iPS細胞」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 70億人の宗教トレンド〔32〕
 「イスラムの人々が世界に訴えている問題に学ぶべきこととは」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 法律相談… 橋口玲(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
  質問1 住職や寺族の給与はいくらなのかと檀家に聞かれたら答えるべきか?
  質問2 天涯孤独ゆえ死後は財産を寺にあげるという檀家の話をどう受けるか?


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
  質問1 住職の兄夫婦が住む庫裡や無料の駐車場に固定資産税が課せられたが対処方法は?
  質問2 税制改正で生命保険料や介護医療保険の所得税控除額はどう変わったのですか?





[法話特集] ●毎号12ページの「法話特集」別冊が付きます。



 お説教のタネ本「戦争は人の心の中で生れるものであるから……」


 在俗の説法者〔125〕 「非戦の誓い」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔29〕 「これでいいのだ」
  亀井鑛
(NHKETV「こころの時代」司会者)


 スピリチュアルケア講座〔40〕 「三種類の赤ちゃん」
  井上ウィマラ
(高野山大学准教授)


 仏教儀礼入門〔128〕 「末法の世の三階教――唐代仏教の一大偉観」
  多田孝正
(天台学会会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔116〕 「北条泰時の葬儀」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔169〕
 
「僕はできないことではなく、できることを考えている(オスカー・ピストリウス)」
  田中治郎
(みち書房代表)


 いまどきマンガ説法〔5〕 「有頂天」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






Copyright (C) 2006-2012 kohzansha. All Rights Reserved.