[『月刊住職』 2018年8月号より転載]

廃仏毀釈とその前史 圭室諦成著 書肆心水 6300円
幕藩体制の終結から明治への転換期に起きた廃仏毀釈。明治政府の意図を超えた極端な廃仏運動が展開したのはなぜか。社会と宗教の関係を、檀家制度や民間信仰の組織化などから考察。



法隆寺史 上巻 法隆寺編 思文閣出版 6800円
古代から戦後まで、千四百年に及ぶ法隆寺の歴史を通観する初めての寺史が全三巻で刊行予定。第一回配本の上巻には、創建当初の信仰や伽藍の様式が明らかにされる。執筆者は森郁夫他。



律から密へ 晩年の慈雲尊者 秋山学著 春風社 5500円
在家者に十善の法を説き、梵語研究の先駆者でもあった江戸時代の真言宗僧侶、慈雲尊者。近年、発見された最晩年の直筆本『法華陀羅尼略解』をもとに、その思想が再検討されている。



釈宗演と明治 中島美千代著 ぷねうま舎 2800円
釈宗演は後に臨済宗円覚寺派管長にもなった福井県出身の禅僧。福沢諭吉のもとで学び、明治26年にはシカゴで開かれた万国宗教会議に参加した。欧米に「ZEN」を伝えた軌跡を辿る。



法然 平雅行著 山川出版社 800円
乱世に人間の平等を説き、誰もが救われる道を見出した法然の思想は、いかなる歴史的背景のもと生まれたのか。その歩みを辿り、専修念仏が迫害された要因を最新の研究成果から考察する。



現代日本の葬送と墓制 鈴木岩弓他編 吉川弘文館 3800円
副題は「イエ亡き時代の死者のゆくえ」。葬儀や墓、先祖祭祀のあり方など死者をとりまく状況から、近現代を問う。「明治民法と祖先祭祀論」など。



遺跡から「聖地」へ 前島訓子著 法藏館 4800円
現地生活者の大半は非仏教徒であるにもかかわらず、インドのブッダガヤが聖地として蘇ったのはなぜか。聖地復興の軌跡が歴史・経済から辿られる。



印融法印 諸尊表白抄 駕牛会 40000円
室町末期の学僧・印融法印の五百回忌を期し印融による真言宗を代表する表白118編の自筆本を複製。問い合わせは横浜市神奈川区羽沢町の東泉寺。



天部像のすべて 頼富本宏他著 枻出版社 1500円
四天王と毘沙門天、梵天と帝釈天と阿修羅など、古代インドの神々をルーツとし、庶民に慕われた仏たちの姿とその功徳を豊富な写真と共に解説する。



博多の恩人・聖一国師と博多祇園 山笠 集広舎 1500円
八百年続く福岡の伝統行事、博多祇園山笠は僧侶と深い関係があった。その臨済宗僧侶、聖一国師の功績を漫画化。原作・井上政典、漫画・渋田武春。



ロボット工学と仏教 森政弘・上出寛子著 佼成出版社 2400円
「AI時代の科学の限界と可能性」が副題。仏教哲学に造詣が深くロボット工学の世界的権威でもある研究者と、若手の心理学者が、仏教と科学の関係性を語り合った往復メールの書籍化。



ずぼら瞑想 川野泰周著 幻冬舎 1100円
精神科医としてマインドフルネスを指導することでも知られる臨済宗住職が苛立ちや不安への向き合い方を指南。「ずぼら瞑想で集中力をあげる」他。



「禅トレ」で生きるのがラクになる 藤田一照著 世界文化社 1400円
「仕事が終わると、どっと疲れる」「やることが多すぎていつもイライラする」など現代人のストレスへの向き合い方を曹洞宗僧侶が禅思想から指南。



イヤイヤきたえる健康法 樺島勝徳著 禅文化研究所 1800円
著者は京都・嵐山で自然治癒力を高める体操教室を開く臨済宗天龍寺派薬師寺住職。「三週間で体は変わる」として、イラスト付きで健康体操法を伝授。



忘れられない 祈りの聖地 富井義夫 山と渓谷社 1900円
圧倒的な装飾を施した建築物から、自然の岩窟そのままを活かした聖地まで、仏教、キリスト教、イスラームなど世界の祈りの場57カ所の写真集。



新編 日本のミイラ仏をたずねて 土方正志著 天夢人 1800円
かつて即身仏としてミイラ化することで、衆生救済を目指した僧侶たちがいた。全国の即身仏十八体を訪ね、信仰を伝承する人々の声を集めた民俗記。



いのちの最後の授業 カンポン・トーンブンヌム著 サンガ 1500円
著者は22歳の時に、教師として生徒を指導中に事故で全身麻痺になったタイの在家仏教者。瞑想で心の自由を得た体験談が一冊にまとめられた。



禅とジブリ 鈴木敏夫著 淡交社 1600円
スタジオジブリのプロデューサーがジブリの名作を題材として、禅僧三人(玄侑宗久、横田南嶺、細川晋輔)と死生観や人生哲学について語り合う。





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