[『月刊住職』 2018年1月号より転載]

一遍仏教と時宗教団 長澤昌幸著 法藏館 5000円
すべてを捨て、全国を遊行して念仏を伝えた一遍。遺された門弟はいかに思想を継承し、時衆教団を形成したか。近世にいたる思想の系譜が検証される。「明治期時宗教団の子弟教育」など。



触頭制度の研究 宇高良哲著 青史出版 6500円
全国の寺院統制を図るために江戸幕府が各宗派に置いた触頭制度。その成立から改廃にいたるまでの制度の実態を寺院史料の研究によって解明しつつ、江戸幕府の宗教政策も明らかにする。



如来教の成立・展開と史的基盤 神田秀雄著 吉川弘文館 11000円
病気治しや亡魂慰撫の要求が高まった江戸時代後期、尾張で元奉公人の女性により創唱された如来教は民衆宗教・新宗教の嚆矢とされる。当時の仏教的世界観を視野にその誕生が探られる。



臨終行儀の歴史 高僧往生伝 岸田緑渓著 湘南社 2800円
平安・鎌倉期に盛んに行われた臨終行儀はなぜ衰退したか。儀礼に込められた思想と、現代終末期ケアとの共通点を浄土真宗本願寺派僧侶が考察する。



日蓮における宗教的自覚と救済 間宮啓壬著 東北大学出版会 7000円
著者は住職でもある身延山大学教授。伊豆流罪、小松原法難、佐渡流罪と苦難に遭いながらも教えを貫いた日蓮の思想展開を宗教学と日本思想史からのアプローチで丹念に迫った思想研究。



仏典をよむ1 ブッダの生涯 中村元著 岩波書店 940円
好評を博した中村元のラジオ連続講座を全四巻の文庫版で刊行。第1巻はブッダ誕生から最後の説法までが原始仏典より読み解かれる。前田專學監修。



鈴木大拙コロンビア大学セミナー講義 方丈堂出版 上下巻計4600円
西欧社会における「禅」への理解の始まりとなった、鈴木大拙のアメリカ・コロンビア大学におけるセミナー講義(1952~53)が上下巻で初邦訳された。重松宗育、常盤義伸編訳。



ごまかさない仏教 佐々木閑・宮崎哲弥著 新潮社 1400円
どのお経が「正典」か、なぜ「梵天勧請」は決定的瞬間か、釈迦は本当に「十二支縁起」を悟ったのか、など仏教学者と評論家が基本を問い直す対談。



ブッダたちの仏教 並川孝儀著 筑摩書房 760円
インドで誕生した仏教は、二千年以上をかけてアジア各地に伝播し変容した。仏教の歴史を「仏」と「教え」という二つの極をもつ運動として捉え、その潮流が浮き彫りにされる。新書判。



法華経をインド仏教史から読み解く 藤本坦孝著 展転社 2000円
諸経の王といわれる『法華経』を初学者にも分かりやすく解説。「多様な教えの統合を説く法華経」「説法に先んじて描出される多様な世界」など。



聖なる珠の物語 藤巻和宏著 平凡社 1000円
聖なる場所は、いかにして生成されるのか。空海が中国から請来した「如意宝珠」を中心に、室生寺や高野山が聖地として編成された様相が辿られる。



兼好法師 小川剛生著 中央公論新社 820円
『徒然草』で名高い鎌倉時代の僧侶、吉田兼好。だが現在、広く知られるその経歴はねつ造されたものだったという。史料からその実像に迫る。新書判。



佛教の文様 打敷の織と刺繍 池修編著 光村推古書院 2800円
お寺で用いる打敷には、どんな文様が描かれているのか。染織の粋を集めたデザインと色彩、歴史、宗教観などが様々な文様を通じて紹介されている。



禅の庭Ⅲ 枡野俊明作品集 枡野俊明著 毎日新聞出版 3000円
現代の石立僧として知られる庭園デザイナーで曹洞宗住職が、この8年間、アジアやアメリカなど国内外で手掛けた15の作品を写真と共に紹介する。



心が軽くなる仏教とのつきあいかた 勝桂子著 啓文社書房 1500円
行政書士で葬祭カウンセラーである著者が、葬儀や年回忌法要、お布施、供養の疑問を分かりやすく解説し「マイいきつけ寺院」の見つけ方を指南。



ニッポンのおみくじ 鏑木麻矢著 グラフィック社 1600円
外国人旅行者にも大人気のおみくじ。古典的なものからニューウェーブのタイプまで、全国の寺社に置かれた232のおみくじを写真をまじえてルポ。



お墓からの招待状 合田一道著 北海道出版企画センター 1200円
副題は「怪異・珍奇・面白墓めぐり」。国定忠治からキリスト、浦島太郎、因幡の白兎まで、全国各地の不思議なお墓を巡り埋葬された人物の伝承を紹介。



絵本・じょやのかね とうごうなりさ作 福音館書店 1200円
モノトーンの版画で大晦日の雰囲気とお寺の様子を描いた絵本。父親に連れられ、生まれて初めて除夜の鐘を撞きに行った少年の目から描かれている。





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