[『月刊住職』 2017年10月号より転載]

阿毘達磨仏教における業論の研究 清水俊史著 大蔵出版 13000円
副題は「説一切有部と上座部を中心に」。仏教は因果の理論をいかに体系化したか。初期経典から上座部の教理書までを視野に入れ、仏教における業法輪廻の教理化を浮き彫りにする論考。



『臨済録』研究の現在 禅文化研究所編 12000円
昨年、臨済禅師遠諱記念事業として花園大学で開かれた臨済禅師と『臨済録』を主題とする国際学会で発表された論文集。アジア、欧米諸国の研究者による最新成果がまとめられている。



瞑想経典編 A・スマナサーラ著 サンガ 1800円
ストレス軽減やリセットに役立てたいと現役世代に瞑想が注目されている。テーラワーダの長老によるヴィパッサナー瞑想のための五つの経典の解説。



中世仏教文学の思想 沼波政保著 法藏館 12000円
中世において人間の精神の表出としての文学に無常観はいかに影響したか。『撰集抄』や『平家物語』、中世仏教説話集、隠者文学などの研究から考察。「仏教説話における因果応報」など。



日韓怪異論 死と救済の物語を読み解く 笠間書院 2200円
何が救いで何が苦なのか。日韓の文学に描かれた怪異譚の比較から死生観の違いを考察する論文集。「亡霊として夢枕に立つ人物と救済」他。清泉女子大学「日本文学と怪異」研究会編。



親鸞と日本主義 中島岳志著 新潮社 1400円
倉田百三の『出家とその弟子』など大正期から昭和初期における親鸞思想への注目は、やがて「国体」を正当化する論理として右翼や国粋主義者の拠り所となる。信仰と愛国の危険性に迫る。



親鸞の仏道 寺川俊昭著 東本願寺出版 750円
親鸞が明らかにした浄土真宗はどのように展開し、現代に生きているのか。主著『教行信証』に流れる信仰的情念を辿り、思想と信念を尋ねる。文庫判。



一遍 捨聖の思想 桜井哲夫著 平凡社 860円
心がとらわれているのは生死に迷う道、無心こそ涅槃の境地。信をも捨て念仏へと向かう一遍の他力思想を、日本浄土教のルーツから辿る。新書判。



特高に奪われた青春 工藤美知尋著 芙蓉書房出版 1800円
山形の曹洞宗寺院に生まれ、エスペラント運動を通して反戦平和を訴え続けたことで、特高の弾圧を受け、32歳で病死した斎藤秀一の事件を辿る。



「イタコ」の誕生 大道晴香著 弘文堂 4500円
青森の恐山菩提寺の門前などに見られ、死者を呼び出し生者へのメッセージを伝える巫女「イタコ」。東北の民俗宗教が伝説化した背景をフィールドワークと資料から浮き彫りにしている。



道元禅師の周辺にて 大谷哲夫著 仏教タイムス社 1000円
道元と栄西の間に相見はあったのか。東北福祉大学長で『永平広録』研究の第一人者が道元の謎に迫る。ヨーロッパ、ハワイ布教についての論考も収載。



人生の標準時計 苦悩なく生きる術 安達瑞光著 風詠社 1500円
著者は20年にわたって心の悩みなど人生相談を受けてきた京都府の曹洞宗神応寺住職。人間関係のストレスや心の病などへの向き合い方を説く法話集。



手ぶら人生 境野勝悟著 三笠書房 630円
副題は「禅が教える『いい歳の重ね方』」。老いの悩み、人間の成熟、人生後半の楽しみ方など誰もが抱える課題に答える臨済宗僧侶の説法集。文庫判。



心配しなさんな。悩みはいつか消えるもの 秀和システム 1000円
著者は福井県にある曹洞宗御誕生寺の板橋興宗住職。九十年の人生を経てあるがままの生き方を説く。「迷ったときは、直感の声にのってみる」他。



いま、死んでもいいように 小池龍之介著 幻冬舎 580円
自分らしく生きる、老いてなお盛ん等々、巷に広がるこれらの言葉の欺瞞性を明かし、いまここを見つめることを説く。「〝生命力〟に執着しない」他。



だいぶつさまのうんどうかい 苅田澄子文・中川学絵 アリス館 1400円
仏様の運動会に大仏様が初参加。でも失敗ばかりで……。奇想天外の物語に、イラストレーターでもある浄土宗西山禅林寺派僧侶が絵を描いた絵本。



東洋的な見方 鈴木大拙著 KADOKAWA 680円
二分性の上に成り立つ西洋思想に対して、不二性の東洋思想を明らかにした鈴木大拙。帰国後に記された論考14編を収録。「東西雑感」他。文庫判。



図録 全国の美しい御朱印 八木透監修 マイナビ出版 2180円
御朱印ガールなど、若者にも人気の御朱印。西国三十三所、坂東三十三観音、世界遺産の寺社など全国の御朱印を都道府県ごとに写真と文章で紹介。





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