[『月刊住職』 2017年1月号より転載]

国分寺の誕生 須田勉著 吉川弘文館 1800円
「古代日本の国家プロジェクト」が副題。仏教を中心とする国家構想の拠点たる国分寺・国分尼寺だが、その堂塔配置は各地の地域情勢に合わせたものだった。遺構から各寺の特徴を考察。



上座仏教事典 パーリ学仏教文化学会編 めこん 12000円
スリランカや東南アジアに広がった上座仏教を聖典・教義、修行・儀礼などの教理面から実践形態まで、総説編・項目編・資料編の構成で仏典研究と地域研究の両面から紹介する総合事典。



戦後歴史学と日本仏教 オリオン・クラウタウ編 法藏館 3800円
敗戦は歴史学者、宗教学者の思想にいかなる影響を与えたのか。戦後の日本仏教観を、研究者15人(家永三郎、井上光貞、圭室諦成、中村元、五来重など)の営みから比較考察した論考集。



呪縛・護法・阿尾奢法 小田悦代著 岩田書院 6000円
副題は「説話にみる僧の験力」。医学の未発達な時代、病気治療は僧侶の祈祷に頼るものが多かった。説話に断片的に記された病気治療加持の実態を漢訳密教経典を参考に読み解いている。



説話の中の僧たち 京都仏教説話研究会編 新典社 2400円
『今昔物語集』『古事談』『日本霊異記』『沙石集』など仏教説話や史書に登場する僧侶の描かれ方に着目し、当時の仏教観を読み解く。巻末に「説話を読むためにお勧めの本」も付す。



サンダハンの入門サンスクリット 東方出版 7000円
ヴェーダや法句経、般若心経、法華経などを教材に編纂されたサンスクリット入門講座。各課に練習問題と解答も収録。A・ヴィディヤランカール著。



新版 臨済宗の常識 藤原東演著 朱鷺書房 1600円
インドの達磨大師から、中国の臨済禅師を経て、鎌倉時代に栄西によって伝えられた臨済禅。その教えと歴史、作法、葬儀や法事、年中行事まで解説。



おじさん仏教 小池龍之介著 徳間書店 1300円
職場のストレス、家庭問題など過去にも未来にも捉われる中高年男性に、僧侶が煩悶に向き合う方法を伝える。「私は誰からも評価されていない」他。



社会の中でカンボジア仏教を生きる 大坪加奈子著 風響社 800円
カンボジアの仏教徒の信仰生活「功徳の実践」は、戒律の保持や仏教儀礼の参加だけでなく地域の弱者にも振り向けられる。その実態の調査報告。



「ひとり」の哲学 山折哲雄著 新潮社 1300円
単独で生きることが不幸に捉えられるのは、真に自立した生き方が見失われているからではないか。ひとりの哲学を構築した先人としての親鸞、道元、日蓮、そして法然、一遍の思想に迫る。



真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 幻冬舎 840円
仏教と近代科学が到達した真理とは「人生に生きる意味はない」だった。花園大学の佐々木閑教授と、宇宙物理学者の大栗博司教授の対談集。新書判。



暮らしのなかの仏教語 大江憲成著 東本願寺出版 750円
出世、有頂天、退屈、有り難う、など仏教由来の48語について、九州大谷短大元学長でもある住職が、言葉に込められた意味を味わいながら説く。



他力の自由 浄土門仏教論集成 柳宗悦著 書肆心水 6900円
民芸思想家、柳宗悦が捉えた他力思想とはどのようなものか。「堪忍の教え 道徳と宗教」「才市の歌」「妙好人の話」「因幡の源左」など随筆集成。



教えて、お坊さん!「さとり」ってなんですか KADOKAWA 1400円
著者の小出遥子は仏教好きの32歳の女性。悟りの本質を僧侶6人(藤田一照、横田南嶺、小池龍之介、堀澤祖門、釈徹宗、大峯顕)に尋ねている。



池上彰のよくわかる世界の宗教 仏教 池上彰著 丸善出版 3000円
元ニュースキャスターが、子供向けに仏教の歴史や教えについて分かりやすく解説した入門書。「仏教における生命の考え方」他。こどもくらぶ編。



世界のお墓文化紀行 長江曜子監修 誠文堂新光社 2000円
お墓には民族や国の死生観が反映されている。世界各地のお墓やユニークな葬法、お墓事情をオールカラーの写真で紹介する世界「墓」ガイドブック。



マンガで教養 やさしい仏像 朝日新聞出版 1200円
如来、菩薩、明王、天部の役割と意味を、「諸菩薩が、もし会社で働いていたら、どう行動する?」という設定でマンガで紹介する。吉田さらさ監修。



ぬりえ 曼荼羅の仏 長谷法寿絵・解説 枻出版社 1200円
ぬりえをしながら、菩薩について学ぼう。仏師で種智院大学の特任教授が如来、菩薩、明王、天部など40体の仏像の塗り絵の下絵と解説を付す。





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