[『月刊住職』 2016年11月号より転載]

現代意訳 大般涅槃経 原田霊道著 書肆心水 6400円
釈尊入滅を叙述した『大般涅槃経』は「一切生類悉皆成仏」の旨を明らかにし、すべての大乗経典に理論的根拠を与えたとされる。そのエッセンスを故・浄土宗僧侶が意訳で明らかにする。



現代文 大笑小笑 説教譬喩集 黒瀬知圓著 国書刊行会 4800円
人を惹きつける説教のコツはあるか。狂歌、川柳、都都逸なども織り込んだ大正時代の本願寺派布教使の名説教を、節談説教の再興に尽力する大谷派の府越義博住職が現代語訳化して編纂。



海東高僧伝 覚訓著 平凡社 3100円
仏教は大陸から朝鮮半島にいかなる僧侶によって流布され、伝来したのか。13世紀に編纂された朝鮮半島の高僧伝記集。編訳は小峯和明、金英順。



韓国仏像史 水野さや著 名古屋大学出版会 4800円
「三国時代から朝鮮王朝まで」が副題。豊かな造形で知られる朝鮮半島の仏像はいかに華ひらいたか。東アジア圏の文化交流を視座に、独自の美が生まれた歴史的背景が明らかにされる。



善光寺の歴史と信仰 牛山佳幸著 法藏館 2500円
年間600万人が参詣する長野・善光寺。庶民の信仰を集めるその魅力と特徴を歴史学の最新成果をふまえて紹介。「中世の仏教界と善光寺信仰」など。



教養としての仏教入門 中村圭志著 幻冬舎 840円
お盆やお彼岸には墓参り、亡くなったら大半は仏式葬儀を行う日本人のために仏教の歴史、宗派の違い、一神教との比較などを平易に解説。新書判。



密教 大楽に生きるワザ 大下大圓著 日本評論社 1600円
著者はスピリチュアルケアワーカーとしても活動経験を持つ、飛騨の高野山真言宗千光寺住職。「統合瞑想があなたを変える」として密教思想を紹介。



ありのままに、ひたむきに 不安な今を生きる PHP研究所 600円
著者は西本願寺の大谷光淳門主。30代の若き門主が、現代社会を生き抜くための心の持ちようを説いた法話集。「一瞬一瞬を精いっぱい生きる」他。



曽我量深に聞く「救済と自証」 小林光麿著 大法輪閣 2700円
副題は「地上の救主、法蔵菩薩降誕の意義」。真宗の伝統教学を近代思想に開いた曽我量深のその生涯のテーマに学徒の故・大谷派住職が読み解く。



禅に親しむ 北野大雲著 禅文化研究所 1300円
著者は日々、在家の参禅者などの指導を行う京都の長岡禅塾副塾長。禅を身近に親しんでほしいと禅者の413話を選りすぐり、その心を解き明かす。



僧侶が語る死の正体 サンガ 1800円
死とは何か、ブッダはどう説いたか。宗教者五人(ネルケ無方、プラユキ・ナラテボー、釈徹宗、南直哉、アルボムッレ・スマナサーラ)による法話集。



民衆史の遺産 第十巻 憑きもの 谷川健一他編 大和書房 6000円
民俗学の視点から日本の民衆文化に迫るシリーズ第十巻。狐、蛇、犬神などの憑きものと、それを使役する憑きもの筋といわれた人々の発生を分析。



郡上踊りと白鳥踊り 曽我孝司著 雄山閣 2000円
白山麓の盆踊り、郡上踊りと白鳥踊りは、毎年数万人が訪れるという日本有数の盆踊り。世代を超えて伝えられた魂揺さぶる踊りの背景と歴史が紹介される。



浅草と高尾山の不思議 川副秀樹著 言視舎 1600円
今や外国人旅行者にも大人気の東京名所、浅草と高尾山。この二大観光地の魅力の訳を宗教的環境を中心に説明。「不思議な神々が集う信仰ランド」他。



豊前国英彦山 その歴史と信仰 長嶺正秀他著 海鳥社 2000円
福岡県と大分県にまたがる標高約1200百㍍の英彦山は、西国一の霊場といわれた。一大宗教勢力に成長した山岳信仰の姿をカラー写真などと共に紹介。



奥琵琶湖「観音の里」の歴史 大東俊一著 彩流社 2000円
なぜ湖北地方には優れた観音像が多く残っているのか。渡来人との交流、古代氏族の在来信仰、中世以降の惣村での仏像奉祀など歴史から考察される。





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