[『月刊住職』 2015年12月号より転載]

大乗経典の誕生 平岡聡著 筑摩書房 1700円
副題は「仏伝の再解釈でよみがえるブッダ」。釈尊入滅数百年後に作られたという大乗経典はなぜ大きな思想潮流となり得たのか。経典誕生の背景、ブッダの思想との関わりなどから考察。



般若心経の秘密 田中雅博著 電気情報社 1204円
「スピリチュアル・ケアの経典」が副題。著者は多くの癌患者を看取ってきた医僧の真言宗豊山派住職。『般若心経』にこそ医学では解決できない死の苦しみを解放する鍵があると説く。



ブッダが考えたこと 宮元啓一著 KADOKAWA 800円
生きることの苦しみはどこから生まれ、いかにして断つか。独創的な思考から人間の存在を問い続けたブッダの思想的特徴が明らかにされる。文庫判。



『正法眼蔵』全巻解読 木村清孝著 佼成出版社 3800円
今ここに展開されている現象世界を悟りの世界「現成公案」として受け止める―。東大教授、そして鶴見大学学長など歴任してきた研究者が『正法眼蔵』の思想的全体像を明らかにする。



曽我量深 講話録 全五巻 大法輪閣 一巻 2700円
大谷大学元学長で真宗大谷派僧侶、曽我量深(1875―1971)の最晩年にいたるまでの思索を辿る講話が全五巻に分けて年代順に収録されている。第二巻「本願の国土」まで刊行中。



清沢満之入門 絶対他力とは何か 書肆心水 6900円
近代以降の真宗大谷派教団に大きな位置を占める清沢満之と暁烏敏。清沢の弟子の暁烏が師の思想を語り、著作をまとめたもの。「無限他力いずれのところにかある」「我が信念」他など。



親鸞はどこにいるのか 信楽峻麿著 法藏館 1200円
今の本願寺に親鸞はいない―。生涯をかけて真宗教学に向き合った故・龍谷大学元学長による、教団の戦争協力と今の教学を厳しく問い直した遺稿。



空海の文字とことば 岸田知子著 吉川弘文館 1700円
五筆和尚と呼ばれた書の達人、空海。若き日に遣唐使として学んだ梵字や文房四宝の製作の紹介などを通じて書や言葉からその実像が浮き彫りにされる。



捨てる習慣と軽やかな人生 枡野俊明著 朝日新聞出版 580円
「禅の教えに学ぶ」が副題。世界的庭園デザイナーである横浜の曹洞宗住職が説く生き方指南。「心を磨くために、無心で掃除をする」など。文庫判。



マインドフルネス最前線 香山リカ著 サンガ 900円
仏教瞑想とヨーガを取り入れたアメリカ発の心理学的治療「マインド・フルネス」が注目されている。精神科医が、その効果と実際を僧侶、哲学者、宗教人類学者、医師に問う。新書判。



月に架かる虹 高田好胤著 芸術新聞社 2000円
副題は「戦没者慰霊の旅」。伽藍復興のため百万巻写経勧進に取り組み、修学旅行生への法話でも知られた薬師寺元管主の太平洋戦争の慰霊行脚記録。



こころの薬箱 大谷徹奘著 北國新聞社 1389円
明るい語り口で全国年間二百回以上開く法話会が評判の奈良・薬師寺執事による法話集。「その悲しみと向き合って」「こころに効くこの一言」他。



ブッダ100の言葉 佐々木閑訳・監修 宝島社 1000円
毎日の生活に生かしてほしいブッダの百の言葉を花園大学教授が精選し、「自己を鍛える」「心への配慮」「執着と煩悩」などテーマごとに紹介する。



Q&Aでわかる宗教と教育・人権・平和 加藤西郷他監修 平和文化 1800円
世界にはどんな宗教があるのか。首相や閣僚、政治家が靖国神社に参拝することは何が問題なのか。宗教と国家、社会がかかわる問題をQ&A式で解説。



宗教と震災 三木英著 森話社 2600円
阪神淡路大震災、東日本大震災の発生当時、その後の精神的紐帯に宗教はどのような役割を果たしたのかを描く。「記憶と人をつなぎ続ける難しさ」他。



絵物語 親鸞聖人御絵伝 岡村喜史監修 本願寺出版社 1000円
絵解き説教など民衆布教にも使われてきた掛け軸仕立ての御絵伝を、オールカラーのグラビアで解説。巻末には人名解説・関連地図・年表も収録する。



円空を旅する 井上雄彦著 美術出版社 2200円
東本願寺の屏風も手がけた人気漫画家が江戸時代の僧侶、円空の足跡を北海道、青森、岐阜、愛知、滋賀、三重と訪ねて描いた円空仏のスケッチ集。



よくわかる仏像ハンドブック 江里康慧監修 池田書店 1200円
仏像の成り立ちから種類、特徴、鑑賞法までを解説したハンディサイズの仏像ガイド。代表的な仏像を拝観できる全国約150カ寺のリスト付。





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