[『月刊住職』 2015年4月号より転載]

中国浄土教儀礼の研究 齊藤隆信著 法藏館 15000円
副題は「善導と法照の讃偈の律動を中心として」。唐代に浄土教儀礼が盛況したのはなぜか。中国仏教に大きな影響を与えた善導と法照の讃偈を中国学の研究成果を反映して分析する。



全訳 アティシャ 菩提道灯論 望月海慧訳 起心書房 7700円
チベット仏教中興の祖とされ、11世紀に活躍したインド出身の僧侶、アティシャが悟りへの道を論じた歴史的名著『菩提道灯論』の全訳。パンチェン・ラマなどの注釈や科文も付される。



仏教美術論集 近世の宗教美術 矢島新編 竹林舎 20000円
仏教美術について様式、図像、機能、組織など多方面から論じる全七巻シリーズの第七巻「近世の宗教美術」として刊行。近世の地獄絵や参詣曼荼羅から仏教絵画、宗教建築についての論考。



色定法師と源平の争乱 田村圓澄著 海鳥社 1500円
栄西の弟で鎌倉時代の臨済宗僧侶、色定法師は平家滅亡の二年後、『一切経』書写を発願した。動機、目的、支援者について論じられる。一昨年、97歳で逝去した研究者の最後の著作。



空海はいかにして空海となったか 武内孝善著 角川学芸出版 1700円
私は仏そのものである―。空海の認識と宇宙観はいかにして生まれたか。誕生から唐での恵果との出会いまでの前半生を辿り思想形成過程を見つめる。



日蓮 藤井寛清著 淡交社 1200円
日本仏教の宗祖七人(栄西・親鸞・空海・最澄・法然・道元・日蓮)の生い立ち、修行、布教、思想、縁の寺院を辿るシリーズの完結本。第七巻の『日蓮』の著者は京都の日蓮宗十乗院住職。



白隠慧鶴 般若心経毒語 遠島満宗著 風媒社 3000円
『般若心経』はナンセンス? 臨済宗中興の祖、白隠による逆説とユーモアに満ちた『般若心経毒語』を曹洞宗住職が解読、現代における人間を問う。



現代仏教塾Ⅰ 吉村均・三木悟・岩井昌悟著 幻冬舎 1200円
日本仏教の宗派主義を越え、近代仏教学を問い直す。この二点を根本課題として真宗大谷派住職の願いで立ち上げられた講座「現代仏教塾」の講義録。



善の根拠 南直哉著 講談社 760円
人を殺してみたかったという殺人動機が聞かれる時代に、善をいかに説くことができるのか。恐山菩提寺院代でもある曹洞宗住職が論じる。新書判。



聖地巡礼ライジング 熊野紀行 東京書籍 1500円
なぜ人は熊野に惹かれるのか。聖地に込められた宗教性とは何か。比較宗教学者でもある浄土真宗本願寺派の釈徹宗住職と、思想家の内田樹が熊野を実際に歩きつつ、同地の宗教性を探る。



良寛さんの戒語 自由訳 新井満著 考古堂書店 1200円
「すべて言葉は惜しみ惜しみいふべし」など、良寛が遺した言葉の使い方や会話にかかわる戒め90カ条。その意味を作家が分かりやすく自由訳。



生類供養と日本人 長野浩典著 弦書房 2000円
犬や馬など身近な動物や虫から鯨や熊といった海や山の生きものまで日本人はなぜ生類供養を行ってきたのか。日本人と動物のかかわりが考察される。



東チベットの宗教空間 川田進著 北海道大学出版会 6500円
副題は「中国共産党の宗教政策と社会変容」。チベット自治区に隣接する東チベットの仏教の変遷を20年以上に及ぶ現地調査と文献調査で描き出す。



人生が100倍オモシロくなる仏の教え 露の団姫著 エイ出版社 1300円
関西の気鋭の若手落語家で天台宗の尼僧が、仏教の教えから世界観、信仰、お勤め、お寺の歴史と役割、暮らしの中の仏教用語を楽しく解説する入門書。



医療文化と仏教文化 田畑正久著 本願寺出版社 600円
いま医療現場で仏教が求められているのはなぜか。浄土真宗の門徒でもある現役医師が、医療現場の現状から臨床における仏教との協同を訴える。



医師と僧侶が語る死と闘わない生き方 ディスカヴァー21 1000円
作家でもある臨済宗妙心寺派の玄侑宗久住職と、ガン医療の第一人者である外科医の土橋重隆氏による対談集。「ガンは『概念の病気』」他。新書判。



きりえ仏教かみしばい 全2巻 国書刊行会 11500円
切り絵による影絵を行う僧侶グループ「ともしえ」作の仏教紙芝居。釈尊誕生物語『うまれたひ』、出家と生老病死の『しもんしゅつゆう』の2セット。



宗教と現代がわかる本 2015 渡邊直樹編 平凡社 1600円
特集は「宗教がよくわかるマンガ100」。宗教がわかる漫画百冊を紹介。京都・東本願寺の屏風を描いた漫画家、井上雄彦と釈徹宗住職の対談もある。





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