[『月刊住職』 2014年3月号より転載]

禅の思想を知る事典 竹村牧男著 東京堂出版 2800円
禅とはいったい何なのか。東洋大学学長でもある仏教学者が、歴史的展開、思想の系譜、禅語、関連文献、修行の風景、日本の近現代の禅思想家、禅文化など広範囲の視点から解説している。



東アジアのなかの五山文化 小島毅監修 東京大学出版会 2800円
出版・書画・茶・庭園など日本文化の形成に大きな影響を与えた禅宗五山の思想について東アジアという視座から捉えた論考集。「海域ネットワークのなかの五山」「栄西から利休へ」他。



親鸞の伝承と史実 今井雅晴著 法藏館 2000円
なぜ親鸞には真宗の教えから離れた伝承も語り継がれてきたのか。関東地方の伝承を中心に、その歴史的背景や環境、民衆思想が読み解かれる。「親鸞の手紙に見る笠間郡の話題」など。



禅仏教の哲学に向けて 井筒俊彦著・野平宗弘訳 ぷねうま舎 3600円
イスラム学、東洋思想研究の碩学が欧米人に向けて英語で東方仏教思想の根源として禅を説いた本の初めての邦訳版。「自我意識の二つの次元」他。



日蓮と鎌倉 市川浩史著 吉川弘文館 2000円
度重なる流罪にめげず、法華経流布に生涯を捧げた日連の61年の軌跡を、ゆかりの鎌倉の寺院や史跡を歩きながら紹介している。図版、写真収載。



仏と天皇と「日本国」 伊藤由希子著 ぺりかん社 2600円
わが国最古の仏教説話集『日本霊異記』には、仏教とは異なる説話も含まれている。同書に見られる日本人の仏教受容のあり方、編者・景戒の仏教思想が読み解かれる。「仏教と天皇」他。



憑霊信仰の歴史と民俗 酒向伸行著 岩田書院 9500円
今なお僧侶が、狐や天狗などの悪霊落としの祈?を依頼されることは少なくない。日本に伝わる憑霊信仰の系譜を奈良時代から現代までを視野に入れ、その変容過程を明らかにする論考。



仏教になぜ浄土教が生まれたか 松岡由香子著 ノンブル社 2500円
なぜ自覚の宗教である仏教に、他力信仰の浄土思想は生まれたのか。思想形成の過程と背景を原始経典から唐代の仏教までを辿りながら考察される。



鎌倉仏教 佐藤弘夫著 筑摩書房 1000円
鎌倉新仏教はそれまでの仏教と何が違い、どこが民衆をひきつけたのか。宗祖たちの思索と歩みを辿ることで中世仏教が浮き彫りにされる。文庫判。



般若心経は英語で読むとよくわかる みやび出版 1600円
NHK語学番組のテキストや英語習得本を数多く手がけてきたニューヨーク大学名誉博士・竹村日出夫が『般若心経』を英訳しながら、その心を解説。



ご先祖さまも被災した 小滝ちひろ著 岩波書店 1900円
東日本大震災と原発事故に東北の寺社はいかに向き合い、歩んできたのか。寺社や文化財を取材してきた福島県出身の新聞記者が被災地を訪ね、復興に励む僧侶や神主たちの姿をルポする。



知っておきたい涅槃図絵解きガイド 竹林史博著 青山社 3300円
涅槃図は法話の宝庫だった。涅槃会に、ただ掲げておくだけでなく、檀信徒への布教教化の格好の教材として涅槃図を活用するための絵解きガイド。



さすらいの仏教語 玄侑宗久著 中央公論新社 760円
阿弥陀クジ、けげん、つっけんどん、微妙など、日常会話で当たり前のように使われている仏教由来の言葉を作家の臨済宗妙心寺派住職が解説。新書判。



日本人の聖地のかたち 大東俊一著 彩流社 2000円
日本の聖地はいかに形成されたか。熊野、京都、東北に伝わる信仰や供養に着目し、独特の宗教性を浮き彫りにする。「京都の『六地蔵めぐり』」他。



江戸の旅と出版文化 原淳一郎著 三弥井書店 2300円
「寺社参詣史の新視角」が副題。ガイドブックや地図を手にした観光旅行のルーツが江戸時代の寺社参詣にかかわる紀行文や絵図から明らかにされる。



無形民俗文化財が被災するということ 新泉社 2500円
地域をつなぐ祭りや信仰習俗は震災前後でどう変わったのか。宮城県沿岸地域の無形民俗文化財を中心に調査した災害記録。高倉浩樹・滝澤克彦編。



宗教における死生観と超越 高田信良編 方丈堂出版 2300円
国際化が進み宗教の多元化が進む今日、それぞれの信仰はいかに表面化するか。仏教、キリスト教、イスラム教、天理教の事象などをもとに考察される。



日本の戦争と宗教1899~1945 小川原正道著 講談社 1700円
戦時中、仏教や神道、キリスト教が軍や政府に協力した背景には何があったのか。第一次世界大戦と布教権、満州事変との関係などから検証される。





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