[月刊『寺門興隆』 2013年10月号より転載]

親鸞の信仰と呪術 小山聡子著 吉川弘文館 11000円
呪術と人々の生活が強く結びついた平安後期から鎌倉前期、親鸞の信仰や教えはその価値観にどう向き合ったのか。師の法然や門弟、親鸞の家族の病気治療や臨終行儀から解き明かす論考。



増補 アビダルマ教学 西村実則著 法藏館 12000円
副題は「倶舎論の煩悩論」。紀元前二世紀頃から作られたアビダルマ論書は煩悩の定義をどう位置づけてきたか。『倶舎論』に至るまでの仏教心理分析史研究の前著に新論考を加えた増補版。



日本中世の異文化接触 村井章介著 東京大学出版会 7800円
禅僧が記した大陸見聞紀、肖像画の賛に見られる禅の日中交流など、中世の東アジア諸国における交流と伝播のあり方が対外関係史研究者によって明らかにされる。「天台聖教の還流」他。



戦国期東武蔵の戦乱と信仰 加増啓二著 岩田書院 8200円
武士の台頭で支配者層の塗り替えが行われた戦国時代、信仰はどのように人々と地域を結びつけたのか。東武蔵を中心とした地域信仰研究。「中世寺院の過去帳と東武蔵周辺地域」など。



浄土三部経 原文・現代語訳・佐々木惠精解説 本願寺出版社 900円
真宗の所依の経典である『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』の原文に現代語訳を付した文庫本。浄土真宗本願寺派総合研究所編。



仏教の真実 田上太秀著 講談社 740円
釈迦が本当に伝えたかったことは何か。釈迦の教えや仏教用語の意味を分かりやすく説いた入門書。「尽くすと愛するが人の道の基本」など。新書判。



あなたの知らない空海と真言宗 山折哲雄監修 洋泉社 860円
空海を生んだ佐伯氏とはどんな一族か? 本尊「大日如来」はどんな仏像なの? 約七十のQ&Aで空海と真言宗について解説した入門書。新書判。



現代社会と宗教 佐藤悦成編著 成文堂 4000円
いま社会に宗教はどんな役割を果たしているのか。東日本大震災後の日本国内における宗教から中国や台湾における宗教事情と変化、ヨーロッパの禅仏教など多様な視点から捉えた論文集。



宗教と政治 日本政治学会編 木鐸社 4000円
国内から海外の状況まで宗教と政治をめぐる諸問題を扱った論文集。「『政治』による『宗教』利用・排除」「多文化主義と宗教的マイノリティ」他。



聖地巡礼・ビギニング 内田樹・釈徹宗著 東京書籍 1500円
古より人々を集める聖地の力とは何か。思想家と、比較宗教学者でもある大阪の浄土真宗本願寺派如来寺住職が大阪、京都、奈良の三都市の寺町など宗教的にコアな土地を訪ねて語り合う。



今を生きる 僧侶の言葉 かんき出版 1300円
築地本願寺を拠点に生老病死の苦に寄り添う東京ビハーラの僧侶や医師らの体験談と思いがまとめられた。「この瞬間、心は元気に生きている」など。



アメリカで仏教を学ぶ 室謙二著 平凡社 760円
アメリカで仏教はどのように伝えられているのか。カリフォルニアで仏教に目覚めたという著者の仏教体験記。「英語で空を考える」など。新書判。



内山興正老師 いのちの問答 櫛谷宗則編 大法輪閣 1800円
多くの弟子に慕われた曹洞宗の故・内山興正師(1912―1998)の生前の名問答が一冊にまとめられた。「私が天地に吹きぬける言葉」など。



山伏ノート 坂本大三郎著 技術評論社 1580円
東日本大震災と原発事故は日本人の価値観を大きく変えた。山伏の世界に飛び込んだ著者が自然と共に生き、自然と向き合う山伏の知恵を紹介する。



仏像歳時記 關信子著 東京堂出版 2500円
仏像は美術品ではなく祈りの対象である。彼岸会、花祭り、盂蘭盆会など春夏秋冬のお寺の行事を訪ね、そのなかで仏像の魅力を紹介した手引書。



日本の地獄・極楽なんでも図鑑 全三巻 ミネルヴァ書房 各巻2800円
副題は「みたい! しりたい! しらべたい!」。子供向けにカラフルな絵本で地獄・極楽の世界をくわしく解説した全三巻本が完結。松尾恒一監修。



世界の宗教と人口 早瀬保子・小島宏編著 原書房 3200円
世界三大宗教から新宗教まで、その分布と特徴、社会における各種政策との関係などが人口学という切り口から明らかにされる。「宗教と出生力」他。



「カルト宗教」取材したらこうだった 藤倉善郎著 宝島社 571円
宗教団体主催の偽装就職セミナーやセックス教団への潜入などカルト教団に体当たり取材を続ける著者の見たカルトの実態が明らかにされる。文庫判。





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