[月刊『寺門興隆』 2013年6月号より転載]

中世禅籍叢刊 第一巻 栄西集 臨川書店 15000円
各地の寺院に伝わる中世禅籍を集め、仏教学・国文学・史学など多様な分野からの解説を加えた全十巻叢書第一巻が刊行された。第二巻は道元集、第三巻は達磨宗を予定。末木文美士他編。



法華経の事典 渡邊寶陽監修 東京堂出版 4200円
諸経の王といわれる『法華経』。その成立と伝播、中世から近代にいたる日本の受容過程や日本文化とのかかわりが解説される。「天台談義と『法華経』」「近代日本の法華経讃仰」他。



日本人の地獄と極楽 五来重著 吉川弘文館 2100円
日本人は地獄極楽を持つ山中他界と、極楽浄土に向かう補陀落渡海の海中他界という二つの他界観を持っていた。各地に残る民俗信仰調査から、日本人の信仰生活を明らかにした名著の復刊。



〈仏の物語〉の伝承と変容 山口周子著 京都大学学術出版会 2800円
モンゴル仏伝『仏と十二の行い』と日本の『今昔物語』を中心にインドの仏教物語の伝播と変容の過程を、原典と翻訳版の史料に基づき辿っている。



中世の契約社会と文書 村石正行著 思文閣出版 7500円
寄進や売買の際に、中世社会ではどのような契約書を交わしていたのか。禅宗寺院などの例を中心に中世の契約文書作成のあり方を明らかにする研究論考。「長楽寺の復興と売寄進」他。



オカルト・ジャパン パーシヴァル・ローエル著 岩田書院 8900円
副題は「外国人の見た明治の御嶽行者と憑霊文化」。著者は明治時代に五回にわたり来日し、日本の宗教文化に関する著作を残したアメリカの天文学者。体験談も交えた御嶽研究の初完訳。



近世庶民仏教の研究 柏原祐泉著 法藏館 11000円
因幡の源左など浄土真宗において妙好人の存在とは何なのか。幕末における「妙好人伝」編纂の意味から近世に流布した世俗倫理思想、近代的思惟の形成との関連が考察された研究書。



親鸞ルネサンス 他力による自立 明石書店 1600円
福島第一原発事故後の世界をどう生きるか。親鸞思想を通じて現代社会の抱える課題と人間存在のあり方を問う安冨歩東京大学教授と真宗大谷派住職(佐野明弘、本多雅人)による提言集。



別れの文化 大村英昭・井上俊編 書肆クラルテ 2000円
近代文明への問い直しが求められている今、宗教の役割とは何か。人間の生き方と逝き方をめぐる臨床社会学論。「『死ねない時代』の宗教社会学」他。大村英昭は本誌連載中の宗教社会学者。



史実 中世仏教 第二巻 井原今朝男著 興山舎 3500円
死を恐れ物忌が定着する中世になぜ僧侶が貴族や庶民に必要とされたのか。本誌連載をまとめた第二巻刊行。神仏抗争や寺院を支える金融システムの実像も明らかに。



13歳からの仏教 龍谷総合学園編 本願寺出版社 1200円
「一番わかりやすい浄土真宗入門」が副題。何のために生きているのか。大人への入り口に立った思春期の子供のためにまとめられた浄土真宗解説書。



空海と真言宗がわかる本 大法輪閣編集部編 大法輪閣 1500円
空海の生涯、思想、書、大師霊場から梵字・曼荼羅の基礎知識、真言宗の葬送儀礼までを網羅した密教入門書。「ここがすごい空海の密教思想」他。



猫のように生きる 板橋興宗著 二玄社 1600円
「からだで感じる生きかた指南」が副題。今年八十六歳の福井・曹洞宗御誕生寺住職の法話集。「修行をすると、どう変わっていくのですか?」など。



禅が教える「大人」になるための8つの修行 祥伝社 800円
著者はドイツ人禅僧のネルケ無方・曹洞宗安泰寺住職。精神的に未熟な人間が増えているようだ。大人になるために必要な仏教思想が説かれた新書判。



怒らない 禅の作法 枡野俊明著 河出書房新社 1200円
世界各国のホテルやオフィスの庭を手がける庭園デザイナーで、横浜の曹洞宗建功寺住職が、怒りにとらわれずに生きるための禅的思考を説く法話集。



光の山 玄侑宗久著 新潮社 1400円
大震災と原発事故に見舞われた地で命はどう生き、何を感じているのか。芥川賞作家で福島県三春町の臨済宗妙心寺派福聚寺住職による最新の短編集。



漫画・日本霊異記 ichida著 メディアファクトリー 840円
悪行には罰があたり、善行は報われる。日本人の心性に深く根付いた宗教観や他界観が織り込まれた仏教説話集『日本霊異記』に人気漫画家が挑む。





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