[月刊『寺門興隆』 2012年12月号より転載]

法華経成立の新解釈 平岡聡著 大蔵出版 4400円
紀元五十年から百五十年頃に成立したとされる法華経は古来より様々な解釈が行われてきた。著者は仏陀の過去世・在世・滅後を描いた仏伝であると見なし、新たな読み解きを試みている。



梵学秘要篇 高橋尚夫・佐久間秀紘編 ノンブル社 12000円
江戸末期に仏画僧として活躍し、慈雲尊者の流れを汲む正統梵学の継承者ともいわれる無言蔵大願が記した梵字悉曇学習のための、初学者向けの手引書が百五十年の時を経て復刊された。



山岳信仰と村落社会 西海賢二編 岩田書院 6900円
日本の山岳信仰と参詣道にテーマを絞った研究論集。「近世における淡島信仰とその展開」「現代に生きる高尾山先達」など山岳信仰を支える信仰共同体を歴史学、民俗学から捉えている。



修験道その伝播と定着 宮家準著 法藏館 3300円
吉野、熊野、伊勢、羽黒、白山など日本各地に伝わる修験の霊山の成立と伝播の過程を山伏や比丘尼の唱導、勧進活動を通じて解明を試みる研究書。



〈神〉と〈鬼〉の間 志賀市子著 風響社 5000円
無縁仏に対する祭祀供養は日本、朝鮮半島、中国を含む東アジア全域に共通する信仰形態という。中国東南部における無縁死者の埋葬と祭祀を中心に霊魂観の成立と展開を考察している。



仏教美術論集 第一巻 様式論 林温編 竹林舎 20000円
仏教美術を第一線の研究者が多様な視点から論じた全七巻本の第一巻『様式論 スタイルとモードの分析』が刊行された。仏像、仏画や曼荼羅、寺院、仏教工芸を様式から分析している。



長谷寺銅板法華説相図の研究 中央公論美術出版 12000円
表面に『法華経』見宝塔品に基づく多宝塔や仏菩薩の彫刻が施され、27行273文字の銘文が刻まれた国宝「銅板法華説相図」に対する新たな総合研究の成果。著者は片岡直樹。



宗教の事典 山折哲雄監修 朝倉書店 25000円
仏教やキリスト教など世界宗教からマイノリティの宗教までを歴史・経済・政治など多様な視点から捉えた総合事典。現代日本の宗教動向にも触れる。



妻帯仏教の民族誌 川橋範子著 人文書院 2400円
出家を掲げる一方で妻帯が公然のものとされてきた近代日本仏教教団における女性の立場、僧侶の妻や尼僧による近年の仏教改革運動を調査している。



精読・仏教の言葉 親鸞 梯實圓著 大法輪閣 1900円
今年八十五歳を迎えた浄土真宗本願寺派の勧学でもある親鸞教学の第一人者が『歎異抄』『教行信証』の深意を原文・現代語訳を添えて説いた法話集。



知られざる親鸞 松尾剛次著 平凡社 840円
法然への帰入、玉日姫の実在、越後配流の事情など、親鸞の生涯の重大事に注目し、従来の定説では解けなかった謎に迫ろうとした親鸞論。新書判。



蓮如 神田千里著 山川出版社 800円
教団発展に尽くし、本願寺中興の祖とされる蓮如の歩みは常に乱世の民衆と共にあった。当時の社会背景を通して伝道の姿が浮き彫りにされている。



信仰・宗派の違いをこえて 鈴木徹衆著 新日本出版社 2400円
著者は日本宗教者平和協議会の発足当時からかかわってきた東京・真宗大谷派乗願寺住職。反戦と平和運動に尽力してきた僧侶が見たものとは何か。



曹洞宗は朝鮮で何をしたのか 一戸彰晃著 皓星社 4500円
戦時下、植民地・朝鮮には多くの日本寺院が建立されたが、どんな役割を持っていたのか。青森県の曹洞宗寺院住職が現地を訪ね、歴史調査を行った。



仏教活論序論 井上円了著・佐藤厚訳 大東出版社 1500円
明治初期、欧米文化尊重の流れのなかで伝統宗教である仏教の意義を鮮やかに論じ、大きな反響を呼んだ井上円了『仏教活論序論』の現代語訳化。



茶の湯とは何ぞや 有馬頼底著 世界文化社 2000円
千利休が七十年かけても答えが出なかった茶の湯の世界。うわべではなく、茶の道に投げかけられた本当の心を臨済宗相国寺派管長が問いかける法話集。



見仏記ガイドブック いとうせいこう・みうらじゅん著 角川書店 1500円
全国のお寺をユニークなイラストとエッセイで紹介し、若者に大ヒットした『見仏記』シリーズ。二十年間に及ぶお寺参拝記録を一冊にまとめたもの。



西川玄房和尚の精進料理でつくるデザートおやつ 淡交社 1200円
精進料理で知られる京都の臨済宗妙心寺派東林院住職による季節の食材を生かしたスイーツレシピ集。「茶巾ゆり」「さといもミルクのトリュフ」他。





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