[月刊『寺門興隆』 2012年2月号より転載]

問答と論争の仏教 M・レップ他編 法藏館 3500円
副題は「宗教的コミュニケーションの射程」。問答・論議、宗論により各宗派の教義は展開してきた。伝統の形式に着目し、現代の仏教実践までを視野に入れた共同研究がまとめられている。



初唐仏教美術の研究 肥田路美著 中央公論美術出版 30000円
唐代初期、インド仏教はいかに受容されたか。仏像から図像まで今に伝わる仏教美術から当時を考察する。「初唐仏教美術と世俗権の相互関係」など。



国分寺の創建 思想・制度編 須田勉他編 吉川弘文館 14500円
日本仏教史を考える上で国分寺研究は必須といわれる。国分寺の創建背景にあった思想や制度を明らかにした研究論文集。近年発掘調査の進む安芸・三河・下野・遠江などの成果も反映。



人類の宗教の歴史 L・フレデリック著 トランスビュー 3200円
 「9大潮流の誕生・本質・未来」が副題。仏教・キリスト教・イスラム教の世界三大宗教からヒンドゥー教、ユダヤ教など主な宗教・思想の信仰の儀礼と歴史を描き出す。今枝由郎訳。



越境する日韓宗教文化 李元範・櫻井義秀著 北海道大学出版会 7000円
なぜ韓国で創価学会は多くの信者を獲得できたのか。日本で韓国系キリスト教が教勢を伸ばしているのはなぜか。国境を越えて受容される宗教の動態を日韓両国の研究者が調査し明らかに。



インド仏教人物列伝 服部育郎著 大法輪閣 1500円
「ブッダと弟子の物語」が副題。最初に悟りを開いた弟子や、最初に尼僧になった女性弟子、釈尊に帰依した国王など仏弟子四十人のエピソード集。



新・仏教とジェンダー 女性たちの挑戦 梨の木舎 2400円
現代の仏教教団に所属する女性たちは、いかなる現実と向き合っているのか。超宗派の寺族女性や女性僧侶からなる「女性と仏教 東海・関東ネットワーク」による問題提起集の第三弾。



講座同朋運動 同和教育振興会編 明石書店 5000円
西本願寺教団は部落差別問題にいかに取り組んできたか。第一巻は水平運動と同朋運動の関わりから差別法名・過去帳調査の成果と課題、僧侶研修会などの歴史を辿る。全五巻を予定。



お大師さんと高野山・奥の院 日野西眞定著 慶友社 2800円
高野山はどのような信仰世界に支えられてきたのか。長年、高野山研究に携わってきた僧侶が、高野山の年中行事を民俗学の視座から解き明かす。



宮崎哲弥 仏教教理問答 サンガ 1600円
サブタイトルは「連続対論 今、語るべき仏教」。気鋭の評論家・宮崎哲弥と僧侶五人(白川密成、釈徹宗、勝本華蓮、南直哉、林田康順)の対談集。



増補 求道と悦楽 入矢義高著 岩波書店 1360円
「中国の禅と詩」が副題。著者は唐宋代の口語・俗語を多用した禅語録の精読から中国禅の研究を深めた碩学。随想と関連論文を一冊にまとめたもの。



禅僧が教える老いと死をたのしむ一句のちから イースト・プレス 952円
著者は仏教徒の視点から死や生命倫理の諸問題について言及してきた曹洞宗住職の中野東禅。誰にも訪れる老いと死との向き合い方を優しく説く。



自分をみつめる禅問答 南直哉著 角川学芸出版 667円
宗教は必要か? 私とは何か? 苦はどこから生まれるのか? 誰もが抱く問いに福井県の曹洞宗住職が禅の教えから問答形式で切り込む。文庫判。



願いの力 大谷光真著 本願寺出版社 700円
現代社会の諸問題と親鸞教学について、浄土真宗本願寺派門主が語る法話集。明石康・元国連事務次長や秋葉忠利・前広島市長らとの対談も収める。



平常心のレッスン 小池龍之介著 朝日新聞出版 760円
本誌連載の青年住職が欲望をコントロールして平常心を保つ方法を指南。「なぜ、人を嫌いになるのか」「生老病死に平常心で臨む」など。新書判。



お坊さんが教えるこころが整う掃除の本 Discover21 1300円
著者は、超宗派の人気ウェブサイトマガジン「彼岸寺」の発起人でもある浄土真宗本願寺派の青年僧・松本圭介。家中のありとあらゆる部分の掃除の仕方と心得を仏教的見地から解説する。



原発 総被曝の危機 いのちを守りたい 游学社 1300円
編者は超宗教からなる「原子力行政を問い直す宗教者の会」。脱原発を目指し僧侶や牧師はいかに行動しているのか。その実情と主張をまとめたもの。



宗教年鑑 平成二十二年版 文化庁編 ぎょうせい 2476円
仏教から神道、キリスト教、新宗教まで。信者数や教師数など、日本の宗教の概要がつかめる宗教年鑑の最新版。





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