[月刊『寺門興隆』 2010年1月号より転載]

『ダンマパダ』全詩解説 片山一良著 大蔵出版 9450円
釈尊の金口を伝えるパーリ仏典『ダンマパダ』。二十六章四百二十三偈を、ブッダゴーサ『法句註』に基づき厳密に読み解く他、道元禅師の『正法眼蔵随聞記』を用いて教えの真髄に迫る。



凡俗による如浄禅師語録全評釈 蔭木英雄著 大法輪閣 4200円
如浄禅師は道元禅師の中国の正師。五山文学研究者が如浄禅師の語録を書き下し文にし、『正法眼蔵』『碧巌録』『景徳伝灯録』などの関連資料からの用例をあげた語註に評を加えた研究書。



中世禅律仏教論 大塚紀弘著 山川出版社 5250円
日本中世、新たな仏教勢力の一つと見なされていたのが南宋仏教の影響を受けた禅律仏教だった。栄西らによってもたらされた中国伝来の寺内制度や生活文化とその浸透に注目した研究書。



シャカ族 A・K・シャーキャ著 井沢元彦監修 徳間書店 1995円
「仏陀を輩出した一族に今なお伝わる仏教の原点」が副題。著者はシャカ族の末裔でネパールのマルチタレント。同国に息づく文化・儀礼・哲学から、シャカ族に関わる仏教の源流を探る。



ゼロからの宗教の授業 釈徹宗著 東京書籍 1575円
マンガからだって、宗教は分かる! と本誌連載中の浄土真宗本願寺派住職で比較思想研究者が、仏教・神道・キリスト教・イスラム教などの特徴を、身近なマンガやアニメを通じて説く。



宗教と終末医療 井上ウィマラ・田中雅博他著 佼成出版社 840円
終末医療の場に宗教はどのようにアプローチできるのか。僧侶や病院関係者四人が、実体験や事例に即して宗教の可能性と使命を考察する。新書判。



大江戸お寺繁昌記 安藤優一郎著 平凡社 777円
江戸時代、お寺は商業空間であり娯楽空間だった。当時の活況する寺院を布教方法をはじめ様々な視点から紹介。「大奥が造ったお寺」など。新書判。



植民地朝鮮の宗教と学知 川瀬貴也著 青弓社 3570円
戦時下、日本が朝鮮に対して行った宗教政策にはいかなる日本人像、朝鮮人像が言説として確立させられたか。仏教や神道関係の史料をもとに考察。



自死を見つめて 死と大いなる慈悲 鍋島直樹著 本願寺出版社 840円
年間三万人もの自殺者が出る日本。父親が自殺した学生からの手紙を機に、龍谷大学教授が自殺に対する答えを社会、親鸞聖人の教えから探す。新書判。



人間といういのちの相ⅠⅡ 東本願寺出版部 各1050円
真宗大谷派の機関紙『同朋新聞』の宗祖御遠忌テーマのいのちを問題にした連載インタビューが本にまとめられた。作家の青木新門氏と東京・蓮光寺住職の対談「葬儀の場を問う」他。



妙慶尼流「悩む女」こそ「幸せ」になれる 講談社 650円
著者は毎日二百通もの悩み相談メールに応える真宗大谷派の女性僧侶、川村妙慶師。恋愛や結婚、子育てといった悩み解決のヒントを説く。文庫判。



稲荷大神 中村陽監修 戎光祥出版 2310円
境内に稲荷社を祀るお寺は多いが、その信仰世界について知る向きは少ないのではないか。伏見稲荷大社講務本庁管長による一から分かる稲荷入門書。



鑑真 東野治之著 岩波書店 756円
五度の難破を経てまで日本に渡った鑑真和上。渡日の目的である戒律への思いと、その思想や人柄を、徹底した史料批判から読み解く評伝。新書判。



はじめての「高野山町石道」入門 木下浩良著 セルバ出版 1260円
高野山へ登る七つの道のうち、正面参道とされたのが高野山町石道。この道の特徴である「町石」が歴史・造立スポンサーなどの視点から解説される。



プチうつ 禅セラピー 樺島勝徳著 禅文化研究所 1365円
著者は自らのウツ経験を通じて、お寺で体操教室を始めた京都嵐山の臨済宗天龍寺派薬師寺住職。季刊『禅文化』に連載された家庭でできる禅セラピー「和尚さんの身体講座」が一冊に



穢と大祓 山本幸司著 解放出版社 2625円
日本人の穢れ思想はどのように生まれたのか。秩序を乱す行為としての穢れと秩序回復の働きである祓に注目し、その仕組みと全体像が明かされる。



生き延びること 高桑和巳他編 慶應義塾大学出版会 2520円
生きにくさ、生きづらさが語られる現代社会。生き延びることをテーマに、遺体科学・政治思想・医療人類学など多彩な分野から考察。本誌今月号執筆の高木由臣名誉教授の論考も収載。



拝んでしあわせ奈良の仏像100 西日本出版社 1260円
平城遷都千三百年を迎える奈良。名だたる仏像百体を仏像イラストレーターの田中ひろみさんが絵と共に紹介。せんとくん原作者の仏像レクチャーも。





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